第62話 『山本先輩』

 1986年(昭和61年)3月16日(日) <風間悠真>

 山本つばき製油所。

 これが山本先輩の実家で祖父母と両親がやっている。父親は主に営業で外回りをしていて、母親は経理や農作業をしているそうだ。祖父母はもういい歳だけど、元気らしい。

 長崎県五峰郡五峰町大字上竹○○番地1乙

 0959-52-○×△□




 オレの手には卒業式の時に由美子先輩からもらったメモがある。自転車で行けばなんとか30~40分で行ける距離。そしてオレは、どうしようもなく、卒業式のあの由美子先輩との事が忘れられない……。

 気がついたら、電話をかけていた。

「……はい、山本です」

 由美子先輩じゃない!

「あ、は、あの……僕は風間と申しますが、えと……在学中に由美子先輩に大変お世話になりまして、卒業式にちゃんとお礼が言えなかったので、あの、お話、いや、いらっしゃいますか?」

「ああ、そうね(そうなんだ)。なんね(なーんだ)、由美子の友達ね(友達なんだ)。ちょっと待っとって(待ってて)」

 母親だろうか、おばあちゃんだろうか? まったく女の声はわからない。

「……もしもーし、悠真♡なに? もう私に会いたくなった?」

「え、あ、いや……まあ」

 オレは頭が回らない。あの一件が頭から離れないからだ。

「もー、はっきりしないなあ」

 由美子先輩は笑いながら言った。

「まあいいや、これからウチ来る? お昼からは家に誰もいないんだ。みんな仕事で畑と会社に行くから」

 由美子先輩の会社と畑(椿畑もしくは自生)は、自宅からは歩けば30分前後の距離で、よっぽど用事がないと戻ってこない。

「あ、うん、はい……」

「そう? じゃあ待ってるね♡」

 51脳は完全に停止している。13脳の頭の中はあのことだけだ。

 ……あのこと。

 由美子先輩とのこと。キスして、あんなことをされた。オレはどう受け止めていいかわからない。でもとにかく会いたい。いや、されたいのが本音だ。

 卒業式の事を考えると鮮明に脳内によみがえる。

 13脳のすばらしさと言おうか、中学生の性欲と言おうか、なんだろう? 画像認識力? 空間把握? 瞬間映像記憶?

 今でこそAVがあるし、街中にいけばそういう店がある。AVの存在は知っていたが正直なところ手が出なかったし、家にビデオデッキがなかったんだ。

 そう考えると股間が膨らんでいることに気付いたが、待て待て。今やっちゃいかん。

 我慢だ、我慢。




 自転車をこいで35分。

 由美子先輩の自宅へメモと電話どおりに向かうと、石垣の上に漆喰なのかコンクリートなのかわからないが、塀で囲まれた豪邸があった。

 ちょっとびっくりしながらピンポンを押す。

 豪邸なのにピンポン。農村ののどかさを感じる。

「はーい♡」

 遠くで由美子先輩の声が聞こえ、走って門までやってきた。

 Tシャツとスウェットにサンダル。その上に薄手のパーカーを羽織っている。

 げ! 先輩ノーブラじゃねえか! 思わず目をそらしそうになるが、そらさない。ふくよかな膨らみに、突起の形が想像できるほどの存在感……。

「あー悠真~。なに見てんの~えっちぃ~♡」

 慌てて目をそらすオレだが、先輩は構わず腕を組んで玄関へと案内してくれて、そのまま家に上がった。どうやら本当に家族はいないようだ。

「あ、ホントにいませんね。家族」

「うん。お昼ご飯食べにくるときぐらいだよ。あとは夕方まで帰ってこない」

「へえー」

 たわいのない話をしながら階段を上り、2階の由美子先輩の部屋へと向かう。

 先輩の部屋は8畳ほどの広さで、ベッドと机、本棚が置いてあった。女の部屋に入るのは初めてじゃないけど、美咲や凪咲なぎさ、純美や礼子の部屋とは違う、なんだかいい匂いがしてクラクラする。

 オレは緊張しながら部屋に入りベッドに腰掛けた。

 すると由美子先輩はオレの横に座り、肩にもたれかかってくる。先輩の胸が腕に当たる。

「あ! そうだ……。ごめん、汗かいてるから、シャワー浴びてきていい?」

 え? ええええええ?

 ヤバい! そう言えばオレ、昨日風呂入って、寝る前に2回もしてるから……。まずい!

「あ! あのっ……先輩! えっと……オレも汗かいたんで、先輩の後にシャワー借りても良いですか?」

 何言ってんだオレは! ムチャクチャなこと言ってるぞ? でもアレするとき、オレのが臭かったら先輩引くだろうな……ん? 卒業式ではそのまんましてくれたぞ?

 いやいやいや! うーん……。

「いいよ! じゃあ悠真♡一緒に入っちゃう?」
 
「え? あ、いや……」

 オレはさらに混乱する。どうすりゃいいんだ! ああもう、考えすぎて訳がわからん!

「あは♡悠真ってカワイイね」

 そう言って由美子先輩は立ち上がって部屋を出ていくと、すぐにTシャツと短パン、それにトランクスを持って戻ってきた。

「はいこれ。お兄ちゃんのだけど、新品だから」

 オレに一式を手渡した由美子先輩は、反対側の手に着替えを持ちながら立ち上がると、恋人みたいに自然に腕を絡めてきた。門から玄関へオレを案内したときと同じで寄り添いながら部屋のドアまで歩き、器用にドアを開ける。

「いこっ♡」

「あ、はい……」

 オレは緊張しながら、しかしドキドキしている事を悟られないように先輩の後をついていった。

 階段を降りてリビングを通り過ぎ、廊下を進むと脱衣所と浴室がある。

「ちょっと待っててね」

 そう言って先輩は脱衣所で服を脱ぎ始めた。オレはそれをじっと見ていたが、下着姿になると先輩はにっこりほほえんで『恥ずかしいよ~』と言いながらも脱いでいく。

 オレはトランクス1枚になるまで脱いでいたが、下半身は両手で隠しても隠しきれないくらいに怒張していた。

「悠真、あ――♡」

 脱ぎ終わってタオルで前を隠した先輩は、振り返ってオレを見ると下半身に目がくぎづけになる。

 先輩が見ているのはオレのあそこだ。そして先輩はハッと我に返り、両手で顔を覆った。でも指の隙間からオレの息子を見ていることは明白だった。

 その瞬間先輩の体を覆っていたタオルがハラリと落ち、おれのモノはさらに怒張し反り返った。

 先輩のおっぱいはまさに美巨乳。

 巨乳=デブのイメージを完全に払拭してくれるのに十分な形状だ。

 形が良くて乳輪も小さく、乳首もツンと立っている。ウエストは細くくびれていてお尻もほどよく肉付きが良い。陰毛は薄く、性器の周りに少しだけあるだけだ。

 そんなことが一瞬で頭をかく巡っていたころ、先輩はおもむろにくわえた。




 ぱくっ。




「あ! ああ! 先輩、まだ風呂に入ってないよ……」

「んっんぐっ……」

 じゅぽじゅぽ、じゅるじゅると音を立てて先輩はする。

 その音と光景にオレのモノはさらにそそり立ったが、先輩の頭を軽く押さえながら、オレは果てた。

 先輩はゆっくり口を離すと、まだオレのが付いている先っぽをレロレロ舐め回し、手で竿をしごきながらゆっくりと掃除するようにしてくれた。

 ああもう! もうダメだ! もう耐えられない! そんな声が聞こえた気がしたが、オレは2回目を出して、先輩と一緒にお風呂に入り、きれいに洗いっこをして2階に上がった。




 先輩の部屋でもう1回戦? 2人とも裸でアレして、ここまでくればもう……? とオレは思ったが、なぜか最後の一線は越えさせてくれなかった。




 なんでだ?




 次回予告 第63話 『春休み開始、それぞれの時間』

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