兄弟が増えて母子ともに健康だが、問題点があった。
いや、俺と親父に言わせれば問題点でもなんでもない。
そんなもんクソくらえだ!
現代人2人のパワーを舐めるなよ! しかもトップミドルダウン? トップトップダウン? なんていうかわからんけど、小佐々の当主と沢森の(実質的な)当主の親父が言うんだから誰も逆らえない。
びっくりしたのが、出産が『穢れ』だって事。もーまじ意味わからん。なんでって話なんだよね。大切な大切な、かけがえのない命の誕生なのに、なんでそれが穢れになるんだろうか?
それでも、うちは親父が俺と同じで転生者だから、できる限りそばにいたらしい。『いけません!』っていう家臣をフル無視したようだ。当然だね。
まあこの時代、なんで母親から命が生まれるかも解明されていない。母子ともに生存率も低かったようだから、それが悪霊だったり魑魅魍魎が跋扈すると考えられたんだろう。それから悪霊だけじゃなく意味不明な迷信も多かったようだ。
だから、次のような事を実践した。
・頭に血を上せない為に産後七日間は横にもならせない。
→即刻廃止
・産椅(さんい)という椅子に正座させ、四六時中監視がついて眠れない。
→さらに意味不明。廃止。
・産後には栄養価が高いモノは毒。
→一番意味不明、いるだろ! 普通に! 廃止。
ただでさえ、出産っていう大仕事を終えて疲れ切っているのに、栄養補給ができないなんてありえない。どう考えても、産後の肥立ちが悪くてってこのせいやん!
そ、し、て、今回は双子。
双子はなんと畜生腹と言われて忌み嫌われるようだ。穢れの最たるものらしい。
ま、じ、で、そんなの関係ねえ!
犬猫と同じで多産は不浄だとか、悪霊や呪術師の仕業とか、生前心中した男女だとか、もうあげればキリがない。医者じゃないから専門的な事はわからんけど、知らないって怖いなって本当に思った。
双子だとわかった瞬間に、産婆は一人を殺そうとしたらしい。母が泣いて叫んで頼むから、異変を感じて駆けつけた俺と親父が産婆を制止した。
産婆としては当然の事(当時としては)なので不問にしたが、家臣からは不吉なので一人を里子に出そうという案がでた。もちろん二人で全却下。当たり前だ!
この時代、知らない事わからない事、全部悪霊のせいにしている。科学が未発達、というかない時代には、未知のものは神か悪霊の仕業だったんだなって改めて思った。
男の子は吉法師(信長?)、女の子は愛姫(伊達政宗の奥さん!)に決まった。
親父、わざとやろ?
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