姜維信繁

天下百年の計?

第698話 『力による現状変更と海上保険と貿易会社』(1582/7/10)

天正十一年六月二十一日(1582/7/10) 新政府暫定庁舎  信長を襲った犯人は全部で47人。  純正の予想通り、犯人グループは朝倉・六角・松永・本願寺の残党であったが、首謀者はまだ見つかっていなかった。しいて首謀者としてあげるなら、六角...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第145話 『その頃の幕府と各藩』(1852/1/31)

嘉永五年一月十一日(1852/1/31) 江戸城  この頃の幕府と言えば江戸湾の台場構築と、大村藩へ盛んに幕臣を派遣して、技術の吸収に邁進まいしんしているところであった。しかし肝心の財政再建は遅々として進まず、第七台場まで造成予定の台場は、...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第144話 『アーク溶接と場所請負商人』(1852/1/11)

嘉永四年十二月二十日(1852/1/11) 精煉れん方 理化学・工学研究所 信之介研究室   信之介は夜も眠らずに研究室にこもっていた。目の前には、数ヶ月かけて組み立てた発電機がある。手のひらで優しく機械をなぞりながら、信之介はこれが次世代...
天下百年の計?

第697話 『本能寺の変』(1582/6/21)

天正十一年六月二日(1582/6/21) 京都大使館   織田信長をはじめとした旧来の新政府の面々に加え、北条からの使者を諫早に迎える事が出来たのは大きかった。氏規も江雪斎も小佐々の国力と軍事力に度肝を抜かれ、すっかり新政府の一員としての考...
『邪馬壱国の壱与~1,769年の眠りから覚めた美女とおっさん。時代考証や設定などは完全無視です!~』

第3話 『吉野ヶ里遺跡と歴史の矛盾』2024年6月9日(日)

2024年6月9日(日) 長崎県西海市 宮田遺跡 <修一> 「ひゃあ! な、なんじゃこれは! 獣か雷か!」  まあ、まともな反応だ。 「獣でも雷でもないよ。乗り物」 「乗り物? 馬鹿を申すでない。担ぎ手が一人もおらぬではないか。担ぎ手もおら...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第143話 『横瀬参号船渠と七ツ釜四号船渠並びに幕臣報告書』(1851/12/20) 

嘉永四年十一月二十八日(1851/12/20)   次郎は2号ドックが8月に完成した後、新たに予算を計上した。  ・横瀬村(横瀬浦)に3号ドック(長さ156.5m幅28.78m深さ8.4m工期4年)、七ツ釜村に4号ドック(長さ158.4m幅...
天下百年の計?

第696話 『冷蔵と冷凍に関する話』(1582/5/18) 

天正十一年四月二十六日(1582/5/18)   ジエチルエーテルの気化による冷却で氷ができることがわかり、冷蔵庫の発明となった。これは手動で喞筒そくとう(ポンプ)を押し、その動力で氷を作って冷却するという物である。  現在の冷蔵庫に比べる...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第142話 『商船学校と海軍兵学校』(1851/11/28) 

嘉永四年十一月六日(1851/11/28)   大村藩で最初の洋式帆船の船乗りは、深澤家の漁師である。  14年前に捕鯨衆深澤組の復活を条件に、出島のオランダ商館に入り浸り、洋式帆船の造船術や操船術、航海術を時間をかけながら習得した者達だ。...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第695話 『花の大諫早』(1582/2/26)

天正十一年二月四日(1582/2/26) 豊後府内  翌日、一行は駅馬車に乗り、陸路で諫早に向かう事となった。 「真まことや(そう言えば)、お主が岐阜に来ることはあっても、わしが赴く事はなかったの。これが初めてではないか?」 「然様さように...
転生したら弱小領主の嫡男でした!!元アラフィフの戦国サバイバル

第141話 『蝦夷地開発の上書と小曽根乾堂』(1851/11/6) 

嘉永四年十月十三日(1851/11/6)  江戸城 「伊勢守殿(阿部正弘)、蝦夷の伊豆守殿(松前崇広)より上書が来たとか。随分と真剣なお顔でござるが、如何いかなる内容だったのでござろうか」  牧野忠雅は、険しい顔をしながら書類を見ている阿部...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第694話 『新政府議員の諫早紀行』(1582/2/21)

天正十一年一月二十九日(1582/2/21) 堺 「純正め、また面妖な船を造りおって」  信長は聞こえない程度の小さな声で呟いた。  多くの商人や労働者で賑わう堺の湊には、見たこともない形をした新造船を見ようという見物人が大勢集っている。 ...
『邪馬壱国の壱与~1,769年の眠りから覚めた美女とおっさん。時代考証や設定などは完全無視です!~』

第2話 『邪馬壱国の壱与』2024年6月9日(日)

2024年6月9日(日) 長崎県西海市 宮田遺跡 <修一>  俺の前に立ちはだかるのは、目の前で蘇った古代の女性、”壱与”らしい。  ……馬鹿な事を。考古学を学ぶ者で、いや、日本史の古代を学んだ者なら頭の片隅にあるであろうその名前だ。目の前...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第140話 『ゴムの安定供給とスクリュー、金属加工、後装砲の研究』(1851/10/13) 

嘉永四年九月十九日(1851/10/13) 大村藩 精煉れん方 象山研究室  佐久間象山はノートを片手に、各実験結果を詳細に記録していた。  ブルークは温度計と時計を手にしながら、加熱のタイミングを厳密に管理している。杉亨こう二は実験装置の...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第693話 『天然痘ワクチンと北条氏規』(1582/1/29)

天正十一年一月六日(1582/1/29) 純アルメイダ大学内研究室  大学の研究室では様々な分野に分かれて研究がなされている。  医学の分野に限って言えば、新薬の開発やワクチンなどだ。純アルメイダ大学の第一期卒業生である楢林朔玄さくげんは、...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第139話 『蒸気缶と工作機械。台場造成と海軍伝習所』(1851/9/19)

嘉永四年八月二十四日(1851/9/19)  この月の17日に、上野俊之丞が亡くなった。陽気で明るく、ムードメーカー的な存在で、年齢を感じさせない気さくな性格は、誰からも好かれていたのだ。  葬儀はしめやかに行われた。上野彦馬は14歳。五教...
『邪馬壱国の壱与~1,769年の眠りから覚めた美女とおっさん。時代考証や設定などは完全無視です!~』

第1話 『扉』2024年6月8日(土)

2024年6月8日(土) 九州大学 「であるからして、九州地方、特に長崎県の西彼杵半島においては平野部が少なく、特に西岸の角力すもう灘沿岸には……」  講義の時間が終わり、片付けをする生徒達が目立つ。考古学の非常勤講師である中村修一は、ふう...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第692話 『ウラジオストク(北領掌)、オホーツク(狩海)、ペトロパブロフスク・カムチャツキー(勘察加市)』

天正十年十二月十二日(1582/1/6)  織田信忠はスペインとの海戦以降、信長の命により美濃に戻り、家督を継いでいた。織田家の当主としてはまだ3年目ではあったが、信長は徐々に権限を委譲していったのだ。  これは何も信忠に限った事ではない。...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第138話 『造船計画』(1851/7/30)

嘉永四年七月三日(1851/7/30) <次郎左衛門>  「ああそれから、掘削の人夫は松代の領内の者を使っても良いが、蒸留は絶対に土地の者を雇ってはならぬぞ。絶対にじゃ。越後と出羽の油田も買いあされ」  俺は考えられうる油田を全部買いあさる...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第691話 『ヌルハチ』(1581/12/12)

天正十年十一月十七日(1581/12/12) 「そうか、ヌルハチが一統したか」 「は、今は足場固めをしているようですが、直に他の女直へも勢力を拡げようとするでしょう」 「うむ。張居正はいかがだ? 持ち直しそうか?」 「それは未だわかりません...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第137話 『松代藩と松前藩。ソルベイ法とアンモニア』(1851/7/3) 

嘉永四年六月十五日(1851/7/3)  松代城  松代藩領内の浅川油田では調査の結果、油井として産出が認められたのは十八カ所で、産出量の見込みは一つの油井で1日平均1石7斗3升との事であった。精製すれば約三分の一が灯油となる。  そのまま...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第690話 『公方と朝廷と北条』(1581/6/17) 

天正十年五月十六日(1581/6/17) 小田原御所  小田原御所とは、逃亡してきた義昭のために氏政が建てた仮初めの御所である。史実でも小弓公方だ古河公方だと、よくわからない関東公方がいたが、義昭は名実ともに小田原公方となってしまったのだ。...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第136話 『ジャスポー銃の完成と金属薬莢への道』(1851/6/15) 

嘉永四年五月十六日(1851/6/15) 大村城下 <次郎左衛門>  万次郎さんには安心してもらいたいので、土佐の幡多郡中ノ浜村にいる家族に手紙を書いた。それから、万次郎さんは日本語の読み書きが出来なかったから、代筆で手紙を何枚も書いてあげ...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第689話 『殖産と産業育成政策』(1581/5/16)

天正十年四月十四日(1581/5/16) 小佐々家大使館 「さて、皆に集まってもらったのは他でもない。新政府の財源としている負担金であるが、予算の半数以上を我が家中が出して居る。その為、他の各国には負担金の分を上げてもらうべく、生業を興し栄...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第135話 『大村修理とジョン万次郎』(1851/5/16)

嘉永四年四月十六日(1851/5/16) 大村城下 <次郎左衛門> 「なんと! ……これは、なんと様変わりしたものよ……」  殿の出府とあわせて江戸を発った弟君の修理様(大村純熈ひろ・当時は利純)は、嫡男の甲吉郎様が家督を継ぐとなってから、...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第688話 『貨幣政策と度量衡、明の陰り』(1581/4/14) 

天正十年三月十一日(1581/4/14) 南近江 暫定新政府庁舎  庁舎の会議室は和室ではなく洋室である。  上座に純正が座り、官位の順に並んでいる。窓から差し込む光が重厚な木製のテーブルを照らし、各大名が座る中、財務大臣の太田屋弥市が立ち...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第134話 『魚油・干鰯の増産と藩士続々』(1851/4/16)

嘉永四年三月十五日(1851/4/16) 江戸城御用部屋 上の間  江戸城には緊張感が漂っていた。  大村藩主純顕あきと家老の次郎が数名の幕閣と対峙じしている。老中首座である阿部正弘が静かに口を開いた。 「大村丹後守殿、本日はお越しいただき...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第687話 『大阪城その後。東玄甫の健康診断と検疫システムの拡充』(1581/3/11) 

天正十年二月七日(1581/3/11) <純正>  困った……。重要な事。重大な事を思い出した。大阪城だ新政府だと言っていたが、4年後に近畿地方で大地震が発生するんだ。世に言う天正大地震。マグニチュード8以上の超大型地震。  地震が起きれば...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第133話 『継電器と隼人と幕府と佐賀』(1851/3/5) 

嘉永四年二月三日(1851/3/5)  精|煉《れん》方 理化学・工学研究室  一昨年の三月に電信機の公開実験に成功し、新たに送信距離の限界という課題に直面したブルークと宇田川興斎は、その距離を延ばすための試行錯誤を繰り返していた。 「先生...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第686話 『おーやじ、なんばしょっとね?』(1581/2/7)

天正十年一月四日(1581/2/7) 肥前飯盛城 <純正>  昨年末、松浦の爺様が亡くなった。享年八十八。  史実より3年長く生きたけど、人間五十年の二人分の大往生だ。史実にいない俺が統一を推し進めたものだから、喪主は平戸松浦からの養子では...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第132話 『薩摩からの手紙。ゴムと隼人と産物方』(1851/2/3) 

嘉永四年一月三日(1851/2/3) 師走の候、丹後守殿(大村純顕)におかれましては益々ご清祥の事とお慶び申し上げ候。※下に超訳あり。  未だ見知らず(会った事もない)、また申し入れず(手紙のやり取りもない)候と雖いえども、先般、御家中が一...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第685話 『大日本政府、初年度予算(負担金)と電池』(1581/1/4)

天正九年十一月二十九日(1581/1/4) 肥前国 純アルメイダ大学 医学部研究室  東玄甫は解剖台の上のカエルに向かって立っていた。手に持っているメスの1本は切断用、もう1本は固定用だ。カエルの足を慎重に切り開き、筋肉を露出させる。  人...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第131話 『幕府のその後と2号ドックと2番艦。江戸四人衆』(1851/1/3)

天正九年十月二十三日(1580/11/29)  工房の中は工具の音と共に、試行錯誤が続く中での緊張感が漂っていた。加工職人は金属の短冊状の板を慎重に扱いながら、曲げて筒状に成形する作業に取り組んでいる。 「この金属板をしかと丸めることができ...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第684話 『注射器の開発と北条・イスパニア・ポルトガル』(1580/11/29)

天正九年十月二十三日(1580/11/29)  工房の中は工具の音と共に、試行錯誤が続く中での緊張感が漂っていた。加工職人は金属の短冊状の板を慎重に扱いながら、曲げて筒状に成形する作業に取り組んでいる。 「この金属板をしかと丸めることができ...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第130話 『条件』(1850/12/2) 

嘉永三年十一月十七日(1850/12/2) 江戸城御用部屋 上の間 「なに? では何を望むのだ?」  正弘が聞く。 「御老中様、我が家中といたしましては蒸気船の技を供し、その代わりに『大船建造の禁』を廃して頂くことを求めております」  次郎...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第683話 『柳とキナと百三十万二千九百貫』(1580/10/23)

天正九年九月十五日(1580/10/23) 「松庵先生、また一緒に研究を進めましょう」  東玄甫は診療所の裏庭で宇田川松庵に声をかけた。宇田川松庵は雷酸水銀を発見した化学者で、科学技術省の職員である。庭には何度も使用された柳の木がそびえてい...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第129話 『江戸城御用部屋、上の間にて』(1850/12/2)

嘉永三年十一月十七日(1850/12/2) 江戸城御用部屋 上の間 「大村丹後守純顕あき、命により登城いたしましてございます」 「大村家中、太田和次郎左衛門にございます」  二人は老中首座の阿部正弘より呼び出しをうけ、江戸城にいた。  9月...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第682話 『上杉家の処遇と新しい政庁』(1580/11/18) 

天正九年九月十五日(1580/11/18)  大同盟合議所 「ああそれから大膳大夫殿、上杉はいかが相成りましたかな?」  純正は別に勝頼を弾劾するつもりもなく、上杉の去就など眼中になかった。奥州や関東の服属大名と同じだ。他の加盟国は小佐々の...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第128話 『江戸参府の儀と製茶』(1850/11/2)

遡って嘉永三年三月一日(1850/4/12) 大村政庁 「さて、此度こたび皆を呼んだのは、来る九月の江戸参府の儀にて、大いに諮らねばならぬ題目があっての事じゃ。次郎左衛門、よいか」  いつも柔和な純顕あきには珍しく、少し険しい顔をしている。...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第681話 『大日本政府樹立に向けての第二回会議』(1580/10/23)  

天正九年九月十五日(1580/10/23)  大同盟合議所 「内府殿。つかぬ事をお伺いするが、蝦夷地の蠣崎ならびに奥州の大浦と安東、常陸の佐竹に下野の宇都宮が、小佐々の御家中に服属を申し出て、それをお認めになったというのは誠にござろうか」 ...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第127話 『造船所と新型帆船。一斗缶の開発と一年の空白をどう使う?』(1850/9/14)  

嘉永三年八月九日(1850/9/14)    一昨年に建造を開始した大規模造船ドックが完成した。しかし、来年の蒸気機関とそれを用いた工作機械が到着しなければ近代的な造船はできない。あと1年あるが、それまでこのドックは遊ぶ事になる。  造船ド...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第680話 『紡績機の改良・発明。人類、空へ』(1580/9/15) 

天正九年八月七日(1580/9/15) <純正>  俺が今世に転生して19年がたった。  その間に技術革新が発生し、その分野は多岐にわたった。軍事技術や兵器ばっかりに目が行くけど、昔の日本の明治維新と同じで、忘れちゃならない物がある。  紡...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第126話 『鍋島直正の苦悩と島津斉彬の決断。幕府は如何に?オランダ風説書』(1850/8/9)

嘉永三年七月二日(1850/8/9) 江戸城 一右同説ニ而者にては東印度海並に唐国海に英吉利イギリス海軍左之通り相備有之由あいそなえありのよしに候。 (同記事によると、東インドおよび中国近海における英海軍は以下の通り)  十五隻  和蘭オラ...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第679話 『北条と奥州』(1580/8/7) 

天正九年六月二十七日(1580/8/7)  「内大臣である」  純正の前に三人の使者が、時を同じくして訪れていた。もちろんまったくの同時ではない。  渡島国おしまのくに(北海道・渡島半島)の蠣崎かきざき若狭守季広すえひろ、陸奥西部の大浦(津...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第125話 『冷蔵庫の改良とダゲレオタイプかカロタイプか』(1850/6/22) 

嘉永三年五月十三日(1850/6/22) 佐賀城 「なに? そんな馬鹿な? そのような物、見た事も聞いた事もないぞ! ……いや、待て。待て、待て……」  佐賀藩主、鍋島直正は考えている。  佐賀藩が今製造して改良中の反射炉を、大村藩ではすで...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第678話 『艦隊の帰還と世界地図。大同盟の財源は?』(1580/6/27) 

天正九年五月十六日(1580/6/27) 京都 大使館 発 南四(南遣第四艦隊) 宛 屋形  メ 籠手田湊(ポートモレスビー)ニテ 婆羅島(ボルネオ島)ヨリ南ヲ 随時哨戒中 新幾内亜ニューギニア島ヨリ東ノ島々ノ 沖合ニテ イスパニアノ艦影 ...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第124話 『お里の妊娠と缶詰とドラム缶』(1850/5/13)

嘉永三年四月二日(1850/5/13) <次郎左衛門>  お里が、妊娠した。  こういう時、男ってどうなんだ? てなくらいなんだかよくわかんなくなる。 「何してんの! ジロちゃん! 早く行ってあげて! おさっちゃん、ああ見えて……ああ、もう...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第677話 『まず発議した。後はおいおい考えよう。見積もりいくら?』

天正九年四月三日(1580/5/16) 京都 大使館 「まずは全体の法を決めねばならぬ。その後省庁をつくり、内閣をつくる」  純正は現在肥前国に設置された省庁を中央政府、仮に大日本幕府と呼ぼう。その中に省庁を同じように置く事を考えた。そして...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第123話 『吉田松陰と宮部鼎蔵の大村探訪記とスクリューと潤滑油とゴムの話』(1850/4/2) 

嘉永三年二月二十日(1850/4/2)  川棚 「な、なんじゃあこれは」 「石か? 石積みの家に、どこからかわからぬが、がしゃんがしゃんと音が聞こえる」  前日、平戸藩城下で一泊した後、紹介状を携えて二人は南へ向かい、そこで遭遇したのだ。 ...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第676話 『中央政府構想の波紋』(1580/4/3)

天正九年三月十九日(1580/4/3) 南近江 大同盟合議所  「徳川殿。武田殿。此度こたびの所領の件については、大同盟加盟の際の約定の通り、これで仕舞いという事でよろしいな」 「異論ございませぬ」 「異論、……ございませぬ」  家康は満面...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第122話 『吉田松陰、平戸から大村へ。鋼板切断機、ロール成形機、溶接機、プレス機、運搬機器の開発』

嘉永三年二月十九日(1850/4/1)  「初めて御意を得ます。長州より参りました、毛利家中、吉田寅次郎と申します」  松陰は長州藩主毛利敬親の命を受け、平戸藩への遊学と、一年間の長崎を含めた西国見聞の旅の最中であった。まず平戸藩主に挨拶を...