戦国に転生した歴史オタクが縦横無尽に駆け巡る、無双もなくチートもないが、一心不乱に生きぬくストーリー。

沢森武は一見普通のサラリーマン。ある時事故に会い、気絶から覚めたら戦国時代の地方領主の跡取りとして転生していた。この異時代を生き抜くため、彼はその膨大な歴史の知識を広く浅い現代知識を活用して新しい産業を興す。南蛮貿易を活発化させ、新しい技術や商品を導入する。そして、独自の商品や技術で市場に参入し、他の商人や大名との交渉や競争に打ち勝つ。

しかし、すべてが順調なわけではない。革命的な動きは、他の大名からの敵意や嫉妬を引き起こす。彼の領地や技術を狙う者たちが次々と現れ、仲間や領民を守るための戦いに挑むことになる。

東と西の転生者

第765話 『勢力圏構想-東アジア-』

天正十九年八月十九日(1590/9/17) 諫早 <小佐々純正>  オレは風呂に入りながら考えていた。  ある程度の世界情勢が理解できたので、それを踏まえた肥前国の勢力圏の構想だ。転生してきたばかりのころは、生き延びるのに必死だった。しかし...
東と西の転生者

第764話 『新しき三省』

天正十九年七月二十日(1590/7/20) 諫早 <小佐々純正>  オレは諫早に戻ってきて城に戻り、吃緊きっきんの陸海軍の再編を終えて、ぐったりした。  もうそろそろリタイヤしてもいいんじゃね? 国内は統一してないけど戦は終わったし、大日本...
東と西の転生者

第763話 『陸軍再編』

天正十九年六月十九日(1590/7/20) 諫早  海軍に続いて行ったのが陸軍の再編である。  インド・アフリカなど、南方から西方へ国土が拡張し、北方ではアラスカから沿海州まで統治するようになった。そのためこれまで連隊規模や小隊~大隊規模の...
東と西の転生者

第762話 『肥前国の海軍再編と大日本国、そして極東情勢』

天正十九年六月十二日(1590/7/13) 諫早 「殿下、お帰りなさいませ」  3年前の天正16年(1587)1月に諫早を出発した海外領土の視察であったが、3年半の歳月を経て終了した。長崎の湊みなとには純正一行の到着を待ちわびた閣僚と民衆が...
東と西の転生者

第761話 『北方三国同盟と明の滅亡への序曲』

天正十九年五月十一日(1590/6/12) 紫禁城 「兵はいる。だが動かすことは難しいだろう」  内閣大学士の申時行は誰に告げるわけでもなく、静かに、淡々と述べた。 「100万の兵を抱え、各地の衛所にも精鋭がいる。しかし……」 「軍餉ぐんし...
東と西の転生者

第760話 『乱、その後』

天正十九年四月八日(1590/5/11) へトゥアラ 「申し上げます! 明国、寧夏鎮ねいかちんの副総兵、哱拝ぼはい殿の使者がお越しになっております」 「なに? 明の? ……よし、通すがよい」  建州女真の首都であるへトゥアラの政庁で政務をと...
東と西の転生者

第759話 『哱拝の乱』

天正十九年三月四日(1590/4/8) 紫禁城   天正十一年(1582年)に張居正が死んでから、都・北京の空気は少しずつ、しかし確実に変質していった。  かつて大和殿で政務を執っていた万暦帝の姿は、もはや見られない。  名宰相であった張居...
東と西の転生者

第758話 『オランダの軍事事情』

天正十九年一月二十八日(1590/3/4) <フレデリック・ヘンドリック>  さて、去年からジャガイモの栽培を行っているが、初めてにしては上出来と言っていい収穫だった。現代のジャガイモとは少し違うところもあるけれど、主食になり得ることを確認...
東と西の転生者

第757話 『暖炉とストーブ』

天正十八年十二月二十三日(1590/1/28) <フレデリック・ヘンドリック>  寒い! 寒い寒い寒い!  オランダの暖房は、ほとんどが暖炉だ。  オランダというよりその当時(今)のヨーロッパの主流が暖炉なのである。1475年にフランスで初...
東と西の転生者

第756話 『フアン・デ・サルセードとマルティン・デ・ゴイチ ―大日本国産業事情視察録―』

天正十八年十一月十六日(1589/12/23) <フアン・デ・サルセード>  フアン・デ・サルセード 記(40歳、第2次フィリピン海戦当時29歳)  11年前、私とマルティンは第2次フィリピン海戦の敗将として肥前国に連れてこられた。  私は...
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第755話 『肥前銀行と大日本国銀行』

天正十八年十月九日(1589/11/16)   灰色の雲に覆われた空の下、肥前国諫早において大日本国銀行監査総監の近江屋治郎右衛門は、随員20名を従えて肥前銀行本店に到着した。  5層の巨大な蔵造りの建物群は、それ自体が1つの街区を形成して...
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第754話 『大日本国予算審議会』

天正十八年八月三十日(1589/10/9)   「それでは方々、天正十八年度、第一回補正予算会議を開きたいと存じます」  肥前国の財務大臣である太田和屋弥市が立ち上がり、会議の開始を告げた。大日本国の中で肥前国があまりに強力であり、その近代...
東と西の転生者

第753話 『ヤンから聞く世界情勢』

天正十八年七月二十日(1589/8/30)  <フレデリック>  クルシウスはライデン大学の教授で、植物学の大家だ。オランダどころかヨーロッパ全体で、植物学についてはかなりの影響力を持った人物である。  こんな事なら最初っからクルシウスに聞...
東と西の転生者

第752話 『飢饉のその後とジャガイモ畑』

天正十八年五月二十六日(1589/7/8) 仙台城 「では、早速本題に入りま しょう」  と小佐々治三郎純久が切り出した。 「只今ただいまの奥州の事の様ことのさまについて、伊達殿から説いていただきましょう」  政宗は深刻な表情で答える。 「...
東と西の転生者

第751話 『6歳の子供にできる事とできないこと。肥前国と大日本国』

天正十八年四月十二日(1589/5/26) 仙台城 「殿! 各県から援助米の求め多く、とても城の蔵だけでは処する事能いませぬ!」 「各県の備蓄米はないのか?」 「すでに底をつき、ゆえに総督府へ懇願がきているのでございます」  各県、各郡、各...
東と西の転生者

第750話 『フレデリックの立場と仕事』

天正十八年二月二七日(1589/4/12) リスボン 王宮  1か月に及ぶ協議の末、肥前国とポルトガルとの間に条約が結ばれた。  肥前国ポルトガル王国相互防衛条約  肥前国とポルトガル王国は、両国の安全保障を強化し、相互の防衛協力を確立する...
東と西の転生者

第749話 『フレデリック・ヘンドリックと日葡安保条約締結なるか?』

天正十八年一月十四日(1589/2/28) <フレデリック・ヘンドリック> 「フレデリック! よかった、無事だったのだな」  部屋に入ってきた男は、ほっとした表情で近づいてきた。服装や言葉遣いは、まるで中世のヨーロッパの貴族のようだ。オレは...
東と西の転生者

第748話 『ポルトガル王都リスボンと新たな転生者』

天正十八年一月十四日(1589/2/28)   元亀二年(1571年)から開発が始められた炸裂弾とその砲は、日夜国友一貫斎を中心として研究開発がなされていたが、すでに18年の歳月が流れていた。  一貫斎は、純正の叔父であり、肥前国の科学技術...
大日本国から世界へ

第747話 『モノモタパ王』

天正十七年十月六日(1588/11/24) ケープタウン  純正はインドへ駆逐艦を派遣し、カリカットの総督府からポルトガル領のゴアを経由して、ムガル帝国領内の通過を許可してもらって、オスマン帝国へ使者をだした。  同時にポルトガルへも親書を...
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第746話 『ケープタウンとポルトガル。周辺の王国とインドと同じ状況』

天正十七年十月六日(1588/11/24) ケープタウン  カリカットからソコトラ沖の海戦を経て、マダガスカルに到着して現地を視察した後、純正の艦隊はケープタウンに到着した。 「父上、朝夕は肌寒いですが、日中は過ごし易うございますね」 「う...
転生したら弱小領主の嫡男でした!!元アラフィフの戦国サバイバル

第242話 『箱館ロシア領事館と大村藩、そして幕府。……やはり攘夷じゃあ!』

安政六年十一月三十日(1859/12/23) 箱館 ロシア領事館 「さて、|如何《いか》なる|故《ゆえ》にて|斯様《かよう》な仕儀とあいなったか、しかとお伺いしたい」  松前藩家老の松前勘解由と立石昭三郎は、ロシア領事のヨシフ・ゴシケーヴィ...
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第745話 『オスマントルコ帝国とポルトガル』

天正十七年八月十六日(1588/10/6) アラビア海ソコトラ島沖 「各員、警戒を厳となせ」  純正は単艦で(補給艦含まず)航海をしていたが、カリカットの印阿第一艦隊よりケープタウンまで護衛の要望があったので、隷下の一個水雷戦隊(軽巡一、駆...
転生したら弱小領主の嫡男でした!!元アラフィフの戦国サバイバル

第239話 『兵備輸入取締令(へいびゆにゅうとりしまりれい)と大浦・小曽根商会の横浜・箱館支所』

安政六年九月二十六日(1859/10/21)   次郎はこれを予見していたのだろうか。  大村藩がオランダに最新軍艦を発注し、しかも鋼鉄艦を発注した直後に、幕府から全国の諸大名に以下の法令が発布された。『兵備輸入取締令』  ・いかなる諸大名...
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第744話 『アルマダの海戦の敗北とカリカット総督府』

天正十七年六月二十四日(1588/8/16) 「な、なんだと? そんなバカな……」  フェリペ2世はアルマダの海戦の敗報を絶望と共に知った。  手から報告書が滑り落ちて床に散らばるが、側近たちは固唾をのんで王の反応を見守っている。やがて彼は...
転生したら弱小領主の嫡男でした!!元アラフィフの戦国サバイバル

第234話 『勘定奉行並びに外国奉行小栗上野介、彼を知り己を知れば百戦殆からず』

安政六年六月六日(1859/7/5) 江戸 一橋慶喜邸 『勅みことのりを以もって~中略~一橋刑部卿きょう慶喜、隠居の沙汰を取りやめるものとする』 「ふむ、これはまた、如何いかなる事か」  一橋慶喜は江戸の邸宅で読み上げられた沙汰を、再度頭の...
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第743話 『アラスカ並びに北米西岸の探険・入植と太平洋横断計画』

天正十七年四月十二日(1588/5/7)  天正十三年の六月から十一個艦隊体制と、八月から海軍艦艇の蒸気機関推進化をすすめていた肥前国海軍であったが、ようやくその体を成すようになってきた。  160隻ほどあった既存艦艇は予備艦艇として、特に...
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第742話 『籠手田安経と三度、イスパニアの影』

天正十七年二月二十七日(1588/3/28)  純正が向かう東南アジア総督府はカリマンタン島のクチンにあり、ブルネイ県・スラウェシ県・インドネシア県・ニューギニア県・オーストラリア県の広大な領域を統括する総督府である。  陸地面積だけでルソ...
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第741話 『ルソン総督と北川長介純清』

天正十六年十二月二十九日(1588/1/27)フィリピン 「父上、やはりルソンまで来ると暑うございますね。台湾も暖こうございましたが、さらに南だとこうも暑いものでしょうか」 「ふふ、平十郎よ、そなたは肥前国から出るのは初めてではなかろう? ...
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第740話 『台湾総督府』 

天正十六年十一月三十日(1587/11/30)台湾総督府  純正が台湾への入植を始めたのは今から21年前、永禄十年の1567年であり、信長との同盟を結ぶ前の肥前の一大名に過ぎない頃であった。  当初は入植者の原住民による殺害事件などの悲惨な...
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第739話 『病床の尚永王』

天正十六年十一月一日(1587/11/30)琉球国 首里城  首里城の守礼門前、琉球王国の廷臣たちが厳かに列をなし、国王尚永は緊張した面持ちで控えていた。彼の周りには、琉球の伝統的な礼服を身にまとった側近たちが、不安げな表情を浮かべている。...
天下百年の計?

第738話 『李氏朝鮮第14代国王宣祖への謁見』

天正十六年十月一日(1587/11/1)九州地方 対馬県 厳原港 「これはこれは関白殿下、斯様かように何もないところにお越し頂き、この義調よししげ、光栄の至りにございます」  厳原の港でそう答えるのは、対馬宗家17代当主であった宗義調である...
天下百年の計?

第737話 『ウラジオストクにて、ヌルハチと』

天正十六年八月二十九日(1587/10/1)~の1か月前 へトゥアラ 「なに? 肥前国の国王が海參崴かいわんわい(ウラジオストク)へ来ているだと?」  海西女真との戦いを終えて、本拠地であるへトゥアラへ戻ってきたヌルハチは、斥候の報告を聞い...
天下百年の計?

第736話 『ペトロパブロフスク・カムチャツキーからオホーツクをへてウラジオストクへ』

天正十六年六月十七日(1587/7/22)沿海地方 沿海県 ニコラエフスク・ナ・アムーレ(北黒瀬浦)  純正は小樽を出港後、1か月半かけて北加伊道沿岸を回り、その後カムチャッカ半島のペトロパブロフスク・カムチャツキー、オホーツクのオホーツク...
天下百年の計?

第735話 「北加伊道は、まだ、蝦夷地なのか」

天正十六年三月十日(1587/4/17)北加伊道地方 小樽 旅館  純正は男の子を大浴場へ連れて行った後に服を脱がせるが、ボロボロで汚れている。どう考えても接客で働いていたとは思えない。裏方の仕事をさせられていたのだろうか。  それでも10...
天下百年の計?

第734話 『北加伊道、小樽』 

天正十六年三月十日(1587/4/17)北加伊道地方 小樽総督府 「寒い、寒すぎるな。まじで寒いぞ」  もう26年いる純正でも、現代語がでてしまう時がある。いわゆる感情が高ぶった時やその逆の時だ。  無意識なのだろうか、幼少時というか50才...
天下百年の計?

第733話 『北常陸県、那珂湊にて三大名と』

天正十六年二月二十五日(1587/4/2)北常陸県 那珂湊 湊御殿  那珂湊は下野国那須郡から常陸国を貫流して太平洋に注ぐ那珂川の河口部に位置し、水戸などの同河川流域と海路を結ぶターミナルとして栄えていた。  とは言っても、規模で考えれば堺...
天下百年の計?

第732話 『吉原県吉原湊』

天正十六年一月十八日(1587/2/25)  地震発生から1年と2か月が経ったが、純正は地震が発生してすぐに決定をした。  向こう10年間を復旧期間とし、全域の復旧ならびに新規の高層建築の建造を禁止したのだ。もちろん、計画していた大阪城も例...
天下百年の計?

第731話 『天正大地震』

天正十四年十一月二十九日(1586/1/18) 「そうか、やはり起きたか。すぐに救援物資の輸送の手配にかかれ」 「はは」  純正は全国視察を考えていたが、史実通り、大地震が発生した。  震源地が複数あり、被害は若狭湾から三河湾までと広範囲に...
天下百年の計?

第730話 『肥前国内行政機構再編制』

天正十四年七月十六日(1585/8/11) 諫早城  純正は毛利家への仕置きと併せて、肥前国内の行政機構と、大日本国内での小佐々領内の呼称について改称・改編を行った。  まず、小佐々家の統治下にある全ての所領を肥前州とした。海外領土も全てで...
天下百年の計?

第729話 『平穏無事と、相成るか』

天正十四年六月十九日(1585/7/16) 安芸 日野山城  「然様さようか。……純正が然様な事を」   病床にあった吉川元春は、純正の仕置きに対して短くそう言った。  鬼吉川の名に恥じない猛将で名をはせた元春も病気には勝てない。純正の事は...
天下百年の計?

第728話 『毛利だけの優遇措置とも言える』

天正十四年五月二十二日(1585/6/19) 諫早城  100万石を超える毛利の所領の差配は簡単ではない。もちろん、前述のように警察機構は独立して各国に設置され、各郡、各村に署を置き派出所をおいて治安維持にあたっている。  しかしそれ以外は...
天下百年の計?

第727話 『毛利輝元、小早川隆景、吉川元春』

天正十四年四月二十四日(1585/5/23) 諫早城 <小佐々純正>  ……さて、困った。  困ったというよりも、いま問題は起きていないんだけど、将来的にもしかしたら問題になるかもしれない、という課題で頭を悩ましている。こうなったのは、自分...
天下百年の計?

第726話 『上知か転封か減封か』

天正十四年三月二十五日(1585/4/24) 京都 「お久しゅうございます治部少輔じぶのしょう(純久)殿」 「おお、これは……直江殿、これはこれは……十年以上、天正の初め以来にござろうか」  肥前国の庁舎と新政府の庁舎は近い。  そのため純...
天下百年の計?

第725話 『奥羽越三州同盟』

天正十四年二月二十四日(1585/3/25) 出羽国 置賜郡 米沢城  場内は殺伐とした雰囲気でありながらも、一つの目的を持って|怱々《そうそう》たる面々が集まっている。  南部大膳大夫だいぜんのだいぶ信直、斯波民部大輔みんぶのたいふ詮直あ...
天下百年の計?

第724話 『会合衆の世界進出と九州五傑』

天正十四年一月十五日(1585/2/14) 堺 「そう、それが最も難し事なのだ」  会合衆の議論は連日続き、白熱していった。  千宗易(利休)の提案に多くの者が興味を示す一方で、実現に向けての課題も浮き彫りになっていた。  山上宗二は腕を組...
天下百年の計?

第723話 『肥前国(州)の貿易状況』

天正十三年十二月十五日(1585/1/15) 諫早城  大日本国と肥前国(州)とでは、経済規模がまるで違う。  厳密に言えば肥前国は小佐々州として大日本国の構成州となっている訳であるから、その肥前国の貿易収益の何パーセントかが大日本国の貿易...
天下百年の計?

第722話 『フェリペ二世の焦りと欧州情勢』

天正十三年十一月十四日(1584/12/15) スペイン マドリード王宮  スペイン王フェリペ二世は苛立ちの極致であった。  6年前、1578年6月にヌエバエスパーニャ副王の艦隊が壊滅して以降、副王の更迭ならびに内政の拡充を行ってきた。海軍...
天下百年の計?

第721話 『ヌエバエスパーニャ出兵論と新しい薬の話』

天正十三年十月十二日(1584/11/14) 海軍省内 「イスパニアの勢を、ふつと(完全に)消し去るべきではございませぬか?」  こういう議論が海軍内の若手将校の間で公然とされるようになったのは、第二次対イスパニア戦争勝利後の事である。一度...
天下百年の計?

第720話 『セバスティアン一世の治世と駐ポルトガル肥前国(大日本国)大使館』

天正十三年九月九日(1584/10/12) リスボン王宮   「宰相よ、今、肥前国との貿易収支はどうなっている?」  宰相は書類に目を落とし、慎重に答える。 「陛下、現状ではかろうじて収支が0の状態です」 「……そうか。かろうじて、か。一時...
天下百年の計?

第719話 『汽帆船対戦列艦』

天正十三年八月五日(1584/9/9)  角力灘すもうなだ  夏の暑さがまだ残る日の午前9時、2隻の巨船が波間に浮かんでいた。  肥前国海軍第一艦隊の誇る1,750トン74門戦列艦『八島』と、最新の蒸気機関を搭載した1,800トンの汽帆船『...