内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

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第603話 石山本願寺包囲戦(1574/5/21)

天正三年五月一日(1574/5/21)  純久からの連絡を受けた純正の行動は早かった。    三好の淡路水軍を用いて木津川口を封鎖し、海上からの補給路を断ったのだ。摂津の三好軍も動員して北側を封鎖し、南側は織田領で逃げ場はない。  京都の独...
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第602話 東西本願寺と加賀、紀伊の服属(1574/5/11)

天正三年四月二十一日(1574/5/11)  太田和利三郎(治部少輔)政直や日高甲斐守喜、伊集院掃部助忠棟をはじめとした小佐々家外務省の渉外担当官は、多くを語らず、ただ聞かれた事のみを答えた。  これは可、これは非という形の説明に終始したの...
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第601話 本願寺、割れる? 大激論の末に

天正三年二月十三日(1574/3/6) 近江 比叡山延暦寺  越前の朝倉義景を滅ぼす前、元亀二年十一月に、信長は勅書に基づいて畿内の反織田勢力に和睦の条件を通達していた。  信長も各勢力が素直に応じるとは思ってはいなかったが、朝倉攻めのため...
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第600話 戦争と平和(1574/2/17)

天正三年一月二十六日(1574/2/17) 摂津 石山本願寺 「なんと! そのような事できようはずがない」  本願寺顕如は七里頼周の報告を聞き、鼻で笑うかのように言い放った。 「されど従わねば、われらは小佐々の敵となりますぞ」 「わかってお...
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第599話 加賀一向宗、騒乱の幕引き(1574/2/10)

天正三年一月十九日(1574/2/10) 加賀 「では三河守殿、どうあっても織田家との|諍《いさか》、弓を伏せて越前討ち入りを取りやめる気にはなりませぬか」  太田和利三郎政直はもう二刻(4時間)も話し込んでいる。それでも七里三河守|頼周《...
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第598話 バッタ型脱進機と壱式時計の完成。加賀侵攻の是非に関する合議

天正二年九月十日(1573/10/5) 肥前諫早城 時計製作研究所 織田主導の真の平等合議同盟というべき条件を書き連ねた条約締結に向け、光秀と虎盛が各国を回っている頃、肥前諫早城下にある時計製作研究所では一人の男が奮闘していた。 3年前の元...
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第597話 馬場信春の秘策と三十年後、五十年後を見据えて

天正二年九月十日(1573/10/5) 安芸日野山城 吉川元春居城 「殿、武田大膳大夫様が郎党、曽根九朗右衛門尉様がお見えにございます」 「うむ、通すが良い」  日野山城は中世山城でありながら、堀切や竪堀といった一般的な防御施設が見あたらな...
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第596話 尾甲同盟と加賀紀伊討ち入りの策

天正二年八月十九日(1573/9/15) 甲斐 躑躅ヶ崎館  信長は加賀・紀伊侵攻作戦の合議対策をするための策を練るとともに、必須条件である甲斐の武田家との通商・安保同盟を結ぶために光秀を武田家に送った。 「はじめて御意を得ます。織田兵部卿...
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第595話 織田家の技術革新と加賀・紀伊問題 

天正二年六月二十八日(1573/07/26) 志摩国答志郡とうしぐん 船津村 「ふふふ、壮観よの、嘉隆。あの一番大きな船はいかほどあるのだ?」 「は、大型の安宅船程はございましょうか。他の船は小早と関船の中ほどにございます。しめて十隻にあい...
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第594話 一貫四百五十匁(約12ポンド)一貫斎砲と五馬力蒸気機関

天正二年五月二十三日(1573/6/22) 肥前 川の近く 某所  ぐわんぐわんぐわん……。どがしゃんどがしゃんどがしゃん……。  水車を動力とした大型切削機械が二つ並んでいる。  ぐわんぐわんぐわん……。どがしゃんどがしゃんどがしゃん……...
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第593話 女真派遣団の帰国と蝦夷地開拓

天正二年四月十二日(1573/5/23) 諫早城  二年前の夏に始まった蝦夷地の開拓と入植は順調に進んでいた。  蝦夷地交易を独占的に任せている太田和屋弥次郎の交易船の運航とあわせて、人員の輸送も行われたのだ。  まずは大首長チパパタインの...
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第592話 一挺のフリントロック銃が欧州を変える

1573年4月3日 ネーデルランド  ダダン、ダダン、ダダンダダンダダン。ダダン、ダダン、ダダンダダンダダン。(スネアドラムの音)  ga vooruit(前へすすめ!)  一列目の横隊の兵は銃を両手で持ち、銃口を前に向けて進み、二列目以降...
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第591話 北方探険艦隊の帰還と暗躍・北条氏政(1573/3/31)

天正二年二月十八日(1573/3/31) 肥前 諫早 「よう戻ってきたな三郎右衛門に清右衛門。大義であった」  北方探険艦隊司令の伊能三郎右衛門忠孝と副将の間宮清右衛門森蔵である。  2人は探検艦隊を率いて北海道を西岸から北上し、樺太を発見...
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第590話 信長の悪あがきと純正の妥協

天正二年 一月十七日(1573/02/19) 近江国蒲生郡  日ノ本大同盟合議所 「拒否権の儀、ならびにその他の題目についてもおおよそ得心しておる。然れど一つだけ、一つだけ発議いたしたい」 「なんでござろう」  信長は拒否権にしばりをつけら...
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第589話 終戦決定と責任。そして大国の拒否権発動。

天正二年 一月十七日(1573/02/19) 近江国蒲生郡  日ノ本大同盟合議所 『日ノ本大同盟』の憲章、そして細部規約の制定と同意のための会談も大詰めである。  ・終戦の可否とその時期の決定基準  ・大同盟軍内での各国(甲)の作戦行動によ...
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第588話 報復行動の可否と恩賞の基準

天正二年 一月十六日(1573/02/18) 近江国蒲生郡  日ノ本大同盟合議所 「では敵から討ち入られた時は如何いかが致すのでしょうか」  徳川家の青山忠成が発言し、石川数正もそれを後押しする。  これは何も軍事行動だけとは限らない。  ...
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第587話 織田信長と武田勝頼の密談会盟。軍事行動合議制の可否

天正二年 一月十四日(1573/02/16) 夜 近江国蒲生郡 武佐宿村 織田宿舎 「殿、いかがなさるおつもりですか?」 「左様、このままでは織田は完全に小佐々の下風に立ち、顔色をうかがわねばならなくなりますぞ」  光秀の言葉に秀吉が同調す...
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第586話 何が軍事行動か?その定義

天正二年 一月十四日(1573/02/16) 近江国蒲生郡 武佐宿村 小佐々織田合議所  年が明けて天正二年、純正は朝廷への新年の挨拶と義父への挨拶を終え、合議所にいた。藤子と娘の篤は二条晴良宅に預けている。  小佐々織田合議所という仮称だ...
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第585話 合議制による銭の力で日ノ本一統。(1572/12/05)

天正元年 十一月一日(1572/12/05) 諫早城  「すなわち知行ではなく、銭にて報いると?」 「その通り」 「然されど、銭の配分なり、いずれの大名に如何いかに銭をまわすかなど、後々差し障りがございませぬか?」 「無用じゃ」  純正には...
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第584話 純正の大義名分と信長の大義名分(1572/12/05)

天正元年 十一月一日(1572/12/05) 諫早城  「さてみんな、集まってもらったのは他でもない。例の如く小佐々家の今後の基本方針と、織田・武田・徳川・浅井・畠山・里見に対する外交姿勢について論じたいからである」  集まった閣僚の表情は...
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第583話 シリコン含有率の高い鉄と垂直型ドリルによる大砲の規格化

天正元年(1572)十月五日 諫早城   下越においては、謙信にとって僥倖ぎょうこうとも言える状況であった。  本庄城、鳥坂城、新発田城の奪還後に膠着こうちゃく状態になり、伊達・蘆名両軍も防衛陣地を下げて抵抗していたのだが、伊達領の北にある...
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第582話 房総の雄 里見佐馬頭義弘

天正元年(1572)九月二十八日 上総 久留里城 「殿! 安房勝山城より急使にございます!」 「なんじゃ、騒々しい。通せ」  上総久留里城主であり、安房と上総を治める里見佐馬頭さまのかみ義弘のもとに、安房国平郡勝山城より急ぎの知らせが入った...
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第581話 織田信長&徳川家康&浅井長政の野望

天正元年(1572)九月十一日 岐阜城 「さて、小佐々が謙信と軍いくさをしておる間、荷留と津留のみであるが、われらも助力いたした。その間、伊賀と紀伊において進展はあったか?」 「は、伊賀においては最低限の権益を与えることで服属をさせました。...
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第580話 武田大膳大夫勝頼の野望

天正元年(1572)九月二日 甲斐 躑躅ヶ崎館 「わしは、其方そなた達あっての武田じゃと思うておる」  武田家第十七代当主で、甲斐源氏二十代目である武田勝頼は、重臣を前にそう言った。  馬場美濃守(信房)に山県三郎兵衛尉(昌景)、高坂弾正(...
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第579話 純正の同盟国の事情。畠山義慶と佐渡の儀。

天正元年(1572)八月十五日 能登 七尾城   発 修理大夫 宛 権中納言  秘メ……○▽■ぐしゃぐしゃぽい……。    平九郎、元気ですか?   いや、最初は例の通信文で書こうとしたんだけど、あれ、いくら暗号っつったってダダ漏れでしょ?...
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第578話 松前異変

天正元年(1572)八月二日 京都 越後屋近江屋敷  組屋源四郎は気が気ではない。  屋敷の中で待たされてはいたものの、立ち上がっては座り、立ち上がっては座りで、室内をウロウロしている。  やがてゆっくりとした足音が聞こえると、障子があいた...
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第577話 尚元王の死と万暦帝の即位

天正元年(1572)七月十九日  三ヶ月前に、純正の同盟国(通商和親・準安保)である、琉球王国第二尚氏王統の第五代国王である尚元王が崩御した。  特に名君というわけでもなく、普通の王であったが、古来より王朝の代替わりの際には政情が不安定にな...
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第576話 オラニエ公、イスパニアの敗報を知る。

天正元年(1572)六月十六日  史実でいうところの元亀三年六月十六日、ユリウス暦1572年7月10日。 (現在の西暦=グレゴリオ暦は1582年に変更されます)  オランダ、ネーデルランドと呼ばれる地域で、いわゆるオランダ独立戦争の真っ最中...
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第575話 電気という概念と様々な試行錯誤

天正元年(1572)六月一日 『磁気的現象と電気的現象についての考察:天正元年六月一日(注:ユリウス暦1572/7/10):太田和忠右衛門政藤』  そう題された論文の中身を読み返し、頭をひねりながら修正を繰り返しているのは、科学技術省大臣で...
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第574話 上杉戦の反省と留学生の今後

少し遡って天正元年(1572) 三月三十日 諫早城 織田信忠  小佐々の殿様、権中納言様が上杉と軍いくさをなさっているさなか、春休みという事でわれらはいったん故郷へ帰り、元服を済ませた。  父は今年の三月が中学の終わりで、小佐々の領民は卒業...
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第573話 しばらくは内政に関わろう。技術開発の進捗状況。

天正元年(1572) 五月十五日 諫早城  ・反射炉  ・大砲  ・ライフル  ・後装式  ・パーカッションロック……。  ・蒸気機関に蒸気船……。  純正は、ぱっと考えて出てくるものを羅列したが、そのほとんどが兵器に関わるものだった。  ...
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第572話 純正の帰国と打ち壊しと三職推任問題。

天正元年(1572) 五月七日 諫早城  朝廷に対して佐渡征伐の勅書を願い出てから、発せられたのは諫早に戻ってからであった。  発 治部大丞 宛 権中納言  秘メ 過日ヨリ 奏上奉リケリ 佐渡攻メノ 勅書 下サレケリ 秘メ  発 権中納言 ...