緊迫の極東と、より東へ 第512話 能登にて七人衆との会談と、岐阜での一節 天正元年(元亀三年・1572年) 三月五日 能登国 |鳳至《ふげし》郡 天堂城 純正一行は天堂城下で昨日歓待を受け、翌日登城して改めて挨拶を受けた。 「畠山修理大夫義慶よしのりにございます。権中納言様におかれましては、ことさら西国より能登... 2023.12.11 緊迫の極東と、より東へ
緊迫の極東と、より東へ 第511話 能登の輪島湊から天堂城へ 能登畠山氏第十代畠山義慶と会う 天正元年(元亀三年・1572年) 三月四日 能登国 鳳至ふげし郡 輪島湊 二月の二十五日に敦賀を出たのだが、風が悪かった。 途中の甲楽城かぶらき浦、新保浦、鮎川浦、三国浦……風待ちをしながら一週間かかってようやく輪島湊に到着した。 「ぶ... 2023.12.10 緊迫の極東と、より東へ
緊迫の極東と、より東へ 第510話 肥前より能登へ、敦賀にて純正、長政と初対面す。 天正元年(1572) 二月二十四日 越前国 敦賀郡 敦賀 「何? 権中納言様が敦賀にお越しになっていると?」 長政は仰天した。 越前の統治においては前波吉継をはじめとした朝倉旧臣が行ってはいたが、三国浦をあらたな領地とした長政は、小谷城... 2023.12.09 緊迫の極東と、より東へ
緊迫の極東と、より東へ 第507話 肥前より能登へ、肥前松浦郡にて新旧相まみえる夜 天正元年(1572) 二月二十一日 肥前松浦郡 浦村 日高城(唐津市浦字浦川内) 小佐々純正 発 治部大丞 宛 権中納言 秘メ 織田軍 二日 越前ニ 討チ入リケリ 杣山そまやま城ニハ 六日ニ 掛カリケリ 城兵 善ク争フモ 翌七日 ... 2023.12.06 緊迫の極東と、より東へ
緊迫の極東と、より東へ 第506話 武田勝頼へのKDA(小佐々家開発援助)と有用微生物群(EM) 天正元年(元亀三年・1572年) 二月二十日 甲斐国と言えば黒川金山、黒川金山と言えば戦国の武田家を支えた甲州金を産出した金山として有名である。 信玄の代に最盛期を迎えた黒川金山であるが、勝頼の代にはその産出量も減り、衰退しつつあった... 2023.12.05 緊迫の極東と、より東へ
緊迫の極東と、より東へ 第505話 明との冊封か小佐々との安保条約か。琉球は岐路にたつ 天正元年(元亀三年・1572年) 二月十五日 琉球 首里城 皇帝勅諭琉球王国中山王尚元 奉天承運皇帝制曰 琉球与明朝的関係併不新鮮很久以前洪武五年就開始進貢二百年来一直以諸侯的名義進貢祭祀正朔 這不僅是以皇帝的名義出兵更是在琉球危難... 2023.12.04 緊迫の極東と、より東へ
緊迫の極東と、より東へ 第504話 加越同盟と越前の未来 天正元年(元亀三年・1572年) 二月六日 「敵大軍なれども われに地の利あり 心配に及ばず 一乗谷で 督戦 あれ」 一乗谷にあって全体を指揮していた義景のもとに、巳の一つ刻(09:00)に戦端が開かれたとの一報が入ったのは申一つ刻(12... 2023.12.03 緊迫の極東と、より東へ
緊迫の極東と、より東へ 第503話 みせかけの和議と越後の龍を封ずる方法 天正元年(元亀三年・1572年) 二月三日 発 甲斐守(日高喜) 宛 権中納言(純正) 複 治部大丞(純久) 秘メ 越中 一向宗 利得ノ権 放チ(手放シ)難シニテ 和睦ハ 難シト 思ヘドモ 上杉トノ 戦 望マザル 模様ニテ 和睦ノ調... 2023.12.02 緊迫の極東と、より東へ
緊迫の極東と、より東へ 第502話 信長、三度越前を攻める。 天正元年(元亀三年・1572年) 二月月二日 雪解けを待って織田軍が越前へ侵攻した。 織田家の直轄兵力が四万八千、浅井が一万二千、伊勢の兵が一万三千、合計七万三千である。 これでも十分各地に守備兵を残しているのだ。越前では敦賀郡司が... 2023.12.01 緊迫の極東と、より東へ
緊迫の極東と、より東へ 第501話 悲報?朗報?リスボン王宮にて隣国の不幸を聞くセバスティアン一世 天正元年(元亀三年・1572年) 二月一日 ポルトガル リスボン王宮 「陛下、東インド艦隊のフランシスコ・デ・アルメイダ提督より報告文が届いております」 セバスティアン1世は、昨年の三月にも小佐々領の状況を聞いていた。そのアルメイダからの... 2023.11.29 緊迫の極東と、より東へ
緊迫の極東と、より東へ 第500話 上杉不識庵謙信という男の本性 天正元年(元亀三年・1572年) 正月十八日 越後 春日山城 「……。せっかくおいでになったのだ。通すが良い」 上杉謙信と須田満親の前に、小佐々の狐、利三郎が相まみえる。 「はじめてご尊顔を拝しまする、小佐々権中納言様が家臣、太田和治部少... 2023.11.29 緊迫の極東と、より東へ
緊迫の極東と、より東へ 第499話 越中と越後の情勢 上杉謙信に挑む 天正元年(元亀三年・1572年) 正月十八日 越中 井波城 「然ればおいらか(率直)に申し上げまする。越後の事にて、申し上げたき儀がござりてまかり越しました」 日高甲斐守喜このむの言葉に瑞泉寺証心と勝興寺顕栄は顔を見合わせる。 「越後の儀... 2023.11.28 緊迫の極東と、より東へ
緊迫の極東と、より東へ 第497話 和睦交渉のゆくえと幸若丸の元服 天正元年(元亀三年・1572年) 正月十一日 「領地の返還、割譲以外に和睦の条件がございますか?」 家康と石川数正は話し合っている。曽根虎盛の言う事に腹を立てても、確かに寝返った国人衆の扱いには困るのが現実だ。 織田・徳川と武田の和睦... 2023.11.26 緊迫の極東と、より東へ
緊迫の極東と、より東へ 第496話 孤立無援に四面楚歌 徳川家康vs.曽根虎盛 元亀三年改め天正元年(1572年) 正月九日 岐阜城 信長としては反織田の包囲網が崩れたとは言え油断できない状況であり、雪解けを待って朝倉攻めをする為には、武田との和睦は喫緊の課題であった。 そのため純久の仲介で光秀を調整役として、虎盛... 2023.11.25 緊迫の極東と、より東へ
緊迫の極東と、より東へ 第495話 元亀から天正へ 純正と信長、連盟での奏上と勅書 元亀三年改め天正元年(1572年) 正月 かねてからの懸案事項であった元号であるが、純正と信長の連名により昨年奏上され、天正と改められた。 本来、天正への改元は元亀四年、つまり来年に行われるはず(史実)であったが、前倒しである。 歴史... 2023.11.24 緊迫の極東と、より東へ
緊迫の極東と、より東へ 第494話 ヌルハチと越後の龍 上杉不識庵謙信という男 とは言ったものの、超大国・明なんだよな。 放置したとして、万が一の事が起こりえない、とも断言できないところが苦しいところだ。永楽帝の死後の洪熙帝と宣徳帝の時代に、明の国力は充実した。 その後、安定と衰退とを繰り返し、先代皇帝の嘉靖帝の代... 2023.11.23 緊迫の極東と、より東へ
緊迫の極東と、より東へ 第492話 明への外交対策……別に、いらんよな? 元亀二年 十二月十二日 諫早城 「御屋形様、台湾総督の若林中務少輔様より使者がお越しになっています」 「総督の? わかった、通すが良い」 純正は以前台湾問題を閣議で話し合った事を思い出した。 永禄十一年の事件の際、台湾出兵と再度の入植の... 2023.11.21 緊迫の極東と、より東へ
緊迫の極東と、より東へ 第491話 蝦夷地ヲタルナイからの商団の帰還 元亀二年 十二月十二日 諫早城 織田信長が畿内の諸勢力と和睦交渉を行いつつ、来年の越前攻めの準備をしている頃、はるか西の小佐々家では対外的な報告が目白押しであった。 「寒い! 寒いっ寒いっ寒いっ!」 純正はそう言いながら眠気覚ましの珈琲... 2023.11.21 緊迫の極東と、より東へ
緊迫の極東と、より東へ 第490話 台湾総督若林中務少輔鎮興、明国使節と相対す。 元亀二年 十一月二十六日 結局、石山本願寺は武器弾薬を破棄し、起請文を書いて信長に一万四千貫を支払うことで和睦を結んだ。 聖職者が起請文などおかしな話ではあるが、武装解除と起請文は信長の譲れない条件だったのだ。 起請文はいわゆる約束事... 2023.11.20 緊迫の極東と、より東へ
緊迫の極東と、より東へ 第489話 石山本願寺坊官下間頼廉、和睦条件の緩和に挑む。 元亀二年 十一月二十日 中途半端な包囲網が信玄ありきで成立していたのだが、武田の撤退により事実上瓦解した。 将軍義昭は殺害されるのを恐れて逃亡し、他の抵抗勢力も各個撃破され、残りは厳しい和睦の条件をのむべきか、という瀬戸際に立たされてい... 2023.11.18 緊迫の極東と、より東へ
緊迫の極東と、より東へ 第488話 耐火レンガと反射炉への道 元亀二年 十一月十五日 信長は勅書に基づき、延暦寺や本願寺、伊賀衆や雑賀、松永弾正、そして朝倉義景に対して事実上の降伏勧告とも言える和議の申し出を行った。 条件は次の通り。 ・延暦寺は武装解除して賠償金二千貫。そもそも何の理由があって... 2023.11.17 緊迫の極東と、より東へ
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰 第487話 北条 MEETS イスパニア 1571年(元亀二年) 11月12日 ヌエバ・エスパーニャ メキシコシティ 遣フィリピーナ艦隊士官、ホセ・デ・エステバンによって、ヌエバ・エスパーニャ副王マルティン・エンリケス・デ・アルマンサの前に連れてこられたのは、ルイス・デ・カルデナ... 2023.11.16 第2.5次信長包囲網と迫り来る陰
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰 第485話 武田勝頼の両目、真田昌幸と曽根虎盛 遡って元亀二年 九月十二日 甲斐 躑躅ヶ崎館 「誠に! 誠に御屋形様は、生きておられるのですか?」 勝頼は武田の重臣である馬場美濃守信房に訊いた。 「誠だ」 「では何故、それがしには身罷られたなどど、嘘をおっしゃったのですか」 「お主、御... 2023.11.14 第2.5次信長包囲網と迫り来る陰
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰 第484話 織田弾正忠信長と太田和治部少輔直正。狐と狸の化かし合い。 元亀二年 十月二十一日 信貴山城 織田軍本陣 勅書です! 信長さん 長い間戦乱が続いて、ようやく平和になってきたかな~と思ってたけど、またきな臭くなってきているような? という事をスゲー病んで考えて込んでる今日この頃。 理由のない戦争... 2023.11.13 第2.5次信長包囲網と迫り来る陰
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰 第483話 織田弾正忠信長、不戦と天下安寧を願う勅命に困惑す。 元亀二年 十月二十一日 信貴山城 織田軍本陣 「ほうほうほう、これはこれは……。飛ぶ鳥を落とす勢いの天下の小佐々家中、重鎮の御三方ではありませぬか」 信長が純久はもとより、直茂や利三郎の事をどれだけ知っているかは不明だが、少し皮肉交じりの... 2023.11.12 第2.5次信長包囲網と迫り来る陰
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰 第482話 甲斐武田家、ハードランディング? 元亀二年 十月五日 京都 大使館 先日の純久の申し出どおりに関白二条晴良邸に伺うことになり、三人は午前中から手土産を選んでいた。 「関白様は甘味がお好きなので、いくつか中ノ屋の茶菓子店より持ってこさせました。一人一つずつ、進呈なさればよろ... 2023.11.11 第2.5次信長包囲網と迫り来る陰
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰 第481話 親書とポルトガル交換留学生、そして明の張居正 元亀二年 十月四日 諫早城 小佐々純正 親愛なる小佐々純正殿、 貴殿の国書を拝読し、東インドの状況とイスパニアの脅威について深く理解しました。 しかし、残念ながら現時点で軍事支援をすることは、困難です。わがポルトガルとイスパニアは隣国... 2023.11.10 第2.5次信長包囲網と迫り来る陰
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰 第480話 鍋島左衛門大夫直茂、小佐々治部少丞純久、太田和治部少輔政直、一同に会す 元亀二年 十月二日 京都 大使館 「久しいの治部少丞、息災であったか」 「これは利三郎様、お元気そうでなによりにございます。お心遣いかたじけのうございます」 純久は三年ぶりに上司である利三郎に会い、喜びもひとしおであった。 しかし一方で... 2023.11.09 第2.5次信長包囲網と迫り来る陰
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰 第477話 曽根九郎左衛門尉虎盛、小佐々治部少丞純久と相対す。 元亀二年 九月二十一日 京都 在京小佐々大使館 「大使、曽根九郎とおっしゃる方がお見えになっています。お通ししますか?」 曽根、九郎? 左衛門尉? 誰だ? そう純久は思った。思い当たる節がない。 「わかった。通しなさい。ああ、飲み物も用意... 2023.11.06 第2.5次信長包囲網と迫り来る陰
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰 第475話 義昭、流浪将軍となる 元亀二年 九月二日 京都 室町御所 信長が義昭に提示した条件は二つであった。 人質を出す事と、異見十七箇条を認める事である。義昭にとってはどちらも認められるものではなかったが、交渉の余地はない。 なにせ和睦という体の降伏なのである。 ... 2023.11.04 第2.5次信長包囲網と迫り来る陰
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰 第473話 『ヲタルナイからイシカラペツ。大首長チパパタイン』 元亀二年 八月二十二日 北海道 後志国しりべしのくに・石狩国 「ア、ヌカラ(見えた!)」 とアイヌの少年は叫んだ。 それを聞いて藤兵衛も叫ぶ。時間をかけただけはあった。本来なら大人を雇いたいところであったが、チコモタインやハシタインの... 2023.11.02 第2.5次信長包囲網と迫り来る陰
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰 第471話 五畿七道から五畿八道へ。蝦夷地開拓事始め。 遡って元亀二年 七月十九日 蝦夷国 松前 「夏だというのに……まったく暑くありませんね。旦那様」 「そうだな、藤兵衛。まあ、これだけ北に来ればそうなるのだろうな。私にとってもここまで北に来るのは初めてなのだ」 九州の肥前から蝦夷地の松前に... 2023.10.31 第2.5次信長包囲網と迫り来る陰
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰 第469話 武田軍撤退ス……信玄ノ容体ヤ如何二? 元亀二年 七月二十日 京都大使館 発 外務省三河 宛 治部少丞 秘メ 武田軍 退却セリ 巷説デハ 浜松城 要害ナレバ 陥落セシムルニ 一月ハ 要ス ソノ間 越後ニ 動キアラバ 信濃ナラビニ 上野ノ 守リ 危ウシト 流布サレリ 然... 2023.10.29 第2.5次信長包囲網と迫り来る陰
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰 第468話 アドラー・フォン・リューベック?3,000トン級帆船・戦列艦建造計画 元亀二年 七月十七日 諫早城 「ああ、そうでした。海軍省からなにかありますか?」 直茂が示し合わせたかのように、海軍大臣の深堀純賢に発言を促す。純賢は純正の顔を見て、純正はうん、とうなずく。 海軍省への予算配分と技術協力において負担が必... 2023.10.28 第2.5次信長包囲網と迫り来る陰
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰 第467話 『明の隆慶帝と琉球国王尚元王、変動する国際情勢』 元亀二年 七月十七日 諫早城 「次は司法省ですが、なにかござるか?」 直茂が司法大臣の佐志方杢兵衛に尋ねる。 「は、それでは失礼して。実は小佐々諸法度に関わる事にて、少々問題が出ております」 「ほう、なんだそれは?」 法の整備や施行など... 2023.10.27 第2.5次信長包囲網と迫り来る陰
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰 第466話 青銅砲から鋳鉄砲へ、純正、難題を一貫斎に投げかける 元亀二年 七月十七日 諫早城 純正は先日、野田城陥落の報をうけ、京都の大使館内が騒然となったという報せを受けた。いや、野田城の陥落自体は問題ではない。問題はその後なのだ。 将軍義昭が挙兵した。 やっぱりか、と純正は思ったが、こればかり... 2023.10.26 第2.5次信長包囲網と迫り来る陰
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰 第465話 小佐々純久とグネッキ・ソルディ・オルガンティノ 元亀二年 七月十六日 京都 大使館 「おお、これはオルガンティノ殿、久しいですね。どうされたのですか?」 京都でフロイスとともに布教をしているオルガンティノが訪問してきた。 オルガンティノはイエズス会の宣教師で司祭である。 昨年の元亀... 2023.10.25 第2.5次信長包囲網と迫り来る陰
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰 第464話 異国との交錯と得体の知れない小佐々家の存在 元亀二年 七月十二日 小笠原諸島 父島 「隊長! 何を言っているんだ! ? こいつらが俺たちの船を沈めたんだ! 敵だ! 敵は殺さなければならない!」 いったい何を言っているんだ? 守備隊長のフェルナンド・アルバレス・デ・トレドはもとよ... 2023.10.24 第2.5次信長包囲網と迫り来る陰
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰 第463話 イエズス会とイスパニアと小笠原諸島 元亀二年 七月十二日 小笠原諸島 父島 『¡Ey! ¡Mirar! ¡Puedo ver el barco! ¡Parece que se dirige hacia aquí!』 (おーい! 見てみろ! 船が見えるぞ! こっちに向かってい... 2023.10.24 第2.5次信長包囲網と迫り来る陰
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰 第462話 友、勝行の変貌と純正の決意:マニラ沖海戦の教訓と課題 元亀二年 七月五日 諫早城 「殿、肥前介様がお見えになりました」 「うむ、通せ」 諫早城の執務室で政務を執っている純正のもとに、海軍総司令の深沢肥前介勝行が現れた。 勝行は官位には全く関心がなかったが、西国を統べる大国小佐々の閣僚が無位... 2023.10.24 第2.5次信長包囲網と迫り来る陰
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰 第461話 野田城の戦い 元亀二年 六月二十八日 武田軍は徳川軍を三方ヶ原で破った後、野田城を包囲した。 家康は浜松城から動く事ができず、織田軍も山県・馬場・山家三方衆の連合軍に翻弄され、三方ヶ原の敗戦による兵の逃散を抑えるのがやっとであった。 野田城は河岸段... 2023.10.23 第2.5次信長包囲網と迫り来る陰
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰 第460話 海軍再建計画と山陰山陽大街道計画 元亀二年 五月二十四日 姫路城 純正は五月十二日には塩置城に入り、赤松義祐と三木道有の仕置をした。 すでに毛利・小早川・三村の連合軍は、播磨北部の国人を制圧して城下に集まっており、宇喜多・陸軍連合軍も沿岸の城を制圧して集結していた。 「... 2023.10.22 第2.5次信長包囲網と迫り来る陰
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰 第459話 ポルトガル東インド艦隊から見るイスパニアの野望と小佐々軍の奮闘 遡って元亀二年 四月二十五日 マカオ 「何い? 小佐々艦隊がイスパニアの艦隊を破っただと? 誤報ではなかろうな?」 「は、間違いございません! また、ミゲル・ロペス・デ・レガスピ総司令官は戦死との事」 「なんと!」 マカオのポルトガル商館... 2023.10.21 第2.5次信長包囲網と迫り来る陰
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰 第458話 抜本的な海軍戦術思考の見直しと、三方ヶ原の幽霊 元亀二年 五月九日 「はあぁぁぁ! ? 馬鹿な! ありえんありえんありえんありえん!」 純正はその二つの報告を聞いた時に、怒鳴るとも叫ぶとも表し難い大声を出して立ち上がった。幕舎の中に居並ぶ面々はもちろんのこと、周辺の近習や兵士が、何事か... 2023.10.20 第2.5次信長包囲網と迫り来る陰西国王小佐々純正と第三勢力
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰 第457話 二俣城の陥落と三方ヶ原の戦い 元亀二年 五月九日 武田高信への仕置を終えた後、純正は鳥取城へ向かう途中で山名豊国への謁見を許し、但馬へ入った。塩冶高清が治める桐山城、芦屋城、長高連が治める林甫城がある。 「初めてご尊顔を拝し奉りまする、長越前守高連にございます。近衛中... 2023.10.19 第2.5次信長包囲網と迫り来る陰
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰 第455話 悪人?吉川駿河守元春 元亀二年 四月二十一日 伯耆国 岩倉城 吉川元春の軍勢が岩倉城を包囲した翌日、美作の小田草城へ向かっていた南条元続は急報を受けた。急ぎ陣払いをして岩倉城の救援に向かったのだが、すでに城は落とされた後であった。 吉川軍の裏切りという事態と... 2023.10.17 第2.5次信長包囲網と迫り来る陰
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰 第454話 伯耆国岩倉城と備前国天神山城の行方 元亀二年 四月十七日 伯耆国 岩倉城 「おお、見よ! 駿河守様が後詰めとしてこられたぞ!」 城主の小鴨元清は、丸に三つ引両の吉川の旗印に小躍りして喜んだ。河村郡と久米郡、八橋郡の大部分を治める、国人領主の南条元継の弟である。 今回の一斉... 2023.10.16 第2.5次信長包囲網と迫り来る陰
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰 第453話 駿河守の策略と忠義の試金石:吉川駿河守と鍋島加賀守の運命 元亀二年 四月八日 吉田郡山城 「駿河守殿、それは一体どういう事かな? 直茂、よいな?」 「は、ははあ」 さすがの鍋島直茂も、歯切れが悪い。純正の恩情で不問にされた事であるが、元春が言った事が本当ならば、自分も罪を負わなければならないから... 2023.10.15 第2.5次信長包囲網と迫り来る陰
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰 第451話 吉田郡山城にて、一体何を拠所とするのか? 元亀二年 四月八日 三河方面の山県・秋山の別働隊と、遠江の信玄本隊からなる武田の西上軍は、服属を願い出てきた将兵や降伏した城の兵をあわせると、七千人あまり増加していた。 三河では奥三河の山家三方衆、遠江では北遠江の天野景貫らをはじめと... 2023.10.13 第2.5次信長包囲網と迫り来る陰
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰 第450話 雑賀党と太田党、そして西国では嵐の前の静けさ 元亀二年 三月二十一日 京都大使館 「さて、まったく変なやつだと昔から思っていたが、その変わったやつが、ここまで家中を大きくしたのだからな。こたびの差配も、考えたら的を得ている」 小佐々治部少丞純久は、純正の書状をみながら、つぶやく。 ... 2023.10.12 第2.5次信長包囲網と迫り来る陰