盟約

転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第272話 『皇女和宮とロシア全権との交渉』

文久二年一月十五日(1862/2/13)~二月十一日(3/11) 「なんだって! ? 襲われた? いつ? どこで? 誰が?」  史実と歴史が変わっても対馬の問題は解決しておらず、他の問題も山積みである。  しかし次郎は攘夷じょういに関しては...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第271話 『坂下門外』

文久二年一月十五日(1862/2/13)  江戸城 「申し上げます! 御大老様、坂下門外にて襲われましてございます!」 「なに! ? 真か?」  大老安藤信正襲撃の報はまたたく間に江戸城をかけめぐり、久世広周は信正の安否を問うた。 「幸いに...
北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。

第627話 『大同盟脱退に関する傾向と対策。対織田家戦略の見直し』(1576/10/25)

天正五年十月四日(1576/10/25) 諫早城 「そうか。織田からはそのような要望が」  純正は経産大臣の岡甚右衛門からの報告を聞いて、考え込む。 「皆、いかが思う? 織田は誠に同盟を抜けると思うか?」 「まずないでしょう」  そういうの...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第591話 北方探険艦隊の帰還と暗躍・北条氏政(1573/3/31)

天正二年二月十八日(1573/3/31) 肥前 諫早 「よう戻ってきたな三郎右衛門に清右衛門。大義であった」  北方探険艦隊司令の伊能三郎右衛門忠孝と副将の間宮清右衛門森蔵である。  2人は探検艦隊を率いて北海道を西岸から北上し、樺太を発見...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第587話 織田信長と武田勝頼の密談会盟。軍事行動合議制の可否

天正二年 一月十四日(1573/02/16) 夜 近江国蒲生郡 武佐宿村 織田宿舎 「殿、いかがなさるおつもりですか?」 「左様、このままでは織田は完全に小佐々の下風に立ち、顔色をうかがわねばならなくなりますぞ」  光秀の言葉に秀吉が同調す...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第586話 何が軍事行動か?その定義

天正二年 一月十四日(1573/02/16) 近江国蒲生郡 武佐宿村 小佐々織田合議所  年が明けて天正二年、純正は朝廷への新年の挨拶と義父への挨拶を終え、合議所にいた。藤子と娘の篤は二条晴良宅に預けている。  小佐々織田合議所という仮称だ...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第585話 合議制による銭の力で日ノ本一統。(1572/12/05)

天正元年 十一月一日(1572/12/05) 諫早城  「すなわち知行ではなく、銭にて報いると?」 「その通り」 「然されど、銭の配分なり、いずれの大名に如何いかに銭をまわすかなど、後々差し障りがございませぬか?」 「無用じゃ」  純正には...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第582話 房総の雄 里見佐馬頭義弘

天正元年(1572)九月二十八日 上総 久留里城 「殿! 安房勝山城より急使にございます!」 「なんじゃ、騒々しい。通せ」  上総久留里城主であり、安房と上総を治める里見佐馬頭さまのかみ義弘のもとに、安房国平郡勝山城より急ぎの知らせが入った...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第580話 武田大膳大夫勝頼の野望

天正元年(1572)九月二日 甲斐 躑躅ヶ崎館 「わしは、其方そなた達あっての武田じゃと思うておる」  武田家第十七代当主で、甲斐源氏二十代目である武田勝頼は、重臣を前にそう言った。  馬場美濃守(信房)に山県三郎兵衛尉(昌景)、高坂弾正(...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第574話 上杉戦の反省と留学生の今後

少し遡って天正元年(1572) 三月三十日 諫早城 織田信忠  小佐々の殿様、権中納言様が上杉と軍いくさをなさっているさなか、春休みという事でわれらはいったん故郷へ帰り、元服を済ませた。  父は今年の三月が中学の終わりで、小佐々の領民は卒業...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第551話 信長の計略と上杉包囲網なるか?

天正元年 四月四日 京都 大使館  発 在能番所(能登所口湊) 宛 権中納言  秘メ 立花殿 出立 畠山殿 合力 越中へ 向カフ 秘メ ○三三○  秘メ 第四艦隊 出港後 帰港セズ ナホ 天気晴朗ナリ 秘メ ○三三一  発 越前堀江館 宛 ...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第531話 風神・雷神。畠山義慶の苦悩と決断

天正元年(1572) 三月二十八日 京都 大使館  先日十三日の御申出、石山の御坊の御意趣(石山本願寺の意向)にも沿うものにて、お受け致したく存じ候。  以後は幾久しく誼よしみを通わし、盛んに商いを行いたく存じ候。  さて、権中納言様(純正...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第530話 はたして上杉謙信に小佐々純正は勝てるのだろうか?

天正元年(元亀三年・1572) 三月二十七日 京都 大使館 小佐々純正  さて、今の状況を整理してみよう。どうだろうか?  まず、初動が遅れた事は否めない。今まで俺は軍事行動では先手先手を打ってきた。  しかし今回に限っては、状況判断が甘く...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第529話 第二次越相同盟と手切之一札

天正元年 三月二十六日 相模 小田原城  なほなほ(いよいよ) その後のちの事ことの様さま(状況)は如何いかがに候哉そうろうや(いかがでしょうか)、承り候ひうけたまわりそうらい飛脚を以てもって申し入れ候。(事情を聞いて飛脚でお知らせしました...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第517話 遊佐続光の苦悩 親上杉派の危機と上杉謙信の脅威

天正元年(1572年) 三月十三日 能登国 所口湊 「一体何なのだ、この米の量は尋常ではないぞ」  遊佐続光つぐみつ(親上杉)は大量の兵糧が運び込まれているのを聞いて、慌てて所口湊へ向かい様子を見に来ていたのだ。  交易船もさることながら、...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第516話 上杉謙信・越後の龍を阻む者達 純正、近江にて織田信長と会談す

天正元年(1572年) 三月十二日 近江国蒲生郡 武佐宿村 小佐々織田合議所  近江国蒲生郡武佐宿村(滋賀県近江八幡市武佐町)に、小佐々家と織田家の会議を行う施設が建てられている。  基本というか、岐阜城であったり小佐々の大使館では、いろい...
緊迫の極東と、より東へ

第500話 上杉不識庵謙信という男の本性

天正元年(元亀三年・1572年) 正月十八日 越後 春日山城 「……。せっかくおいでになったのだ。通すが良い」  上杉謙信と須田満親の前に、小佐々の狐、利三郎が相まみえる。 「はじめてご尊顔を拝しまする、小佐々権中納言様が家臣、太田和治部少...
緊迫の極東と、より東へ

第496話 孤立無援に四面楚歌 徳川家康vs.曽根虎盛

元亀三年改め天正元年(1572年) 正月九日 岐阜城  信長としては反織田の包囲網が崩れたとは言え油断できない状況であり、雪解けを待って朝倉攻めをする為には、武田との和睦は喫緊の課題であった。  そのため純久の仲介で光秀を調整役として、虎盛...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第483話 織田弾正忠信長、不戦と天下安寧を願う勅命に困惑す。

元亀二年 十月二十一日 信貴山城 織田軍本陣 「ほうほうほう、これはこれは……。飛ぶ鳥を落とす勢いの天下の小佐々家中、重鎮の御三方ではありませぬか」  信長が純久はもとより、直茂や利三郎の事をどれだけ知っているかは不明だが、少し皮肉交じりの...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第482話 甲斐武田家、ハードランディング?

元亀二年 十月五日 京都 大使館  先日の純久の申し出どおりに関白二条晴良邸に伺うことになり、三人は午前中から手土産を選んでいた。 「関白様は甘味がお好きなので、いくつか中ノ屋の茶菓子店より持ってこさせました。一人一つずつ、進呈なさればよろ...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第478話 純正の決断、織田信長か武田勝頼か

元亀二年 九月二十五日 諫早城  発 治部 宛 中将  秘メ 武田家 家臣 曽根九郎ト 申ス者 来タリテ ワレラト 誼ヲ 通ジテハ     盛ンニ 商イヲ 行ヒタシ ト 申シケリ  然レドモ ワレラト 織田ニ 盟約アリテ ソノ敵 武田ト 結...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第477話 曽根九郎左衛門尉虎盛、小佐々治部少丞純久と相対す。

元亀二年 九月二十一日 京都 在京小佐々大使館 「大使、曽根九郎とおっしゃる方がお見えになっています。お通ししますか?」  曽根、九郎? 左衛門尉? 誰だ? そう純久は思った。思い当たる節がない。 「わかった。通しなさい。ああ、飲み物も用意...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第475話 義昭、流浪将軍となる

元亀二年 九月二日 京都 室町御所  信長が義昭に提示した条件は二つであった。  人質を出す事と、異見十七箇条を認める事である。義昭にとってはどちらも認められるものではなかったが、交渉の余地はない。  なにせ和睦という体の降伏なのである。 ...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第474話 異見十七か条と義昭の決断

元亀二年 八月二十二日 鯰江城下  純久は信長の陣中に一泊し、手渡された草案を熟読し、考えた。  異見十七か条と名づけられたその条文は、いかに義昭が無能であるか、将軍としての品位に欠けるかと、散々にこき下ろしたものであった。  信長に義昭と...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第469話 武田軍撤退ス……信玄ノ容体ヤ如何二?

元亀二年 七月二十日 京都大使館    発 外務省三河 宛 治部少丞  秘メ 武田軍 退却セリ 巷説デハ 浜松城 要害ナレバ 陥落セシムルニ 一月ハ 要ス ソノ間 越後ニ 動キアラバ   信濃ナラビニ 上野ノ 守リ 危ウシト 流布サレリ 然...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第453話 駿河守の策略と忠義の試金石:吉川駿河守と鍋島加賀守の運命

元亀二年 四月八日 吉田郡山城 「駿河守殿、それは一体どういう事かな? 直茂、よいな?」 「は、ははあ」  さすがの鍋島直茂も、歯切れが悪い。純正の恩情で不問にされた事であるが、元春が言った事が本当ならば、自分も罪を負わなければならないから...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第449話 御教書発給と将軍義昭の御内書疑惑

元亀二年 三月十一日 諫早城  発 純久 宛 近衛中将  秘メ ◯三◯三 信玄 兵越峠ヨリ 遠江 入レリ 山県 秋山 奧三河 侵攻セリ 徳川 浜松ニテ 籠城 織田ノ 援軍 待テリ 秘メ ◯三◯六 「直茂よ、弾正忠殿はいま、どのあたりであろう...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第447話 西国の火種と東美濃の争乱。そして山家三方衆

元亀二年 二月二十五日  三ヶ月前の元亀元年十一月、新しい西国の枠組みが決まった。  一万石から三万石の国人の多くが純正の提案を受け入れ、知行地を大幅に減らし、俸祿にて仕えることを選んだのだ。  しかし、領民やその下の家臣たちも、たかだか三...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第442話 武田信玄の3つの選択肢

元亀元年 十二月二十日  甲斐の武田信玄には、どこに侵攻するか、三つの選択肢があった。一つは越後、もう一つは美濃、そしてもう一つは遠江三河である。  一つ目の越後の上杉謙信だが、昨年の永禄十二年の八月には和議が成立している。  しかし開戦の...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第439話 第2.5次信長包囲網への序曲 山は動くか

元亀元年 十一月  純正が西日本大会議を開いているそのころ……。  ■石山本願寺 「和議に応じぬとはどういうことだ! 信長は本当に長島を滅ぼす気か? あやつは仏罰が怖くないのか?」 「上人様、やはり公方はあてになりませぬ。信長になめられて、...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第434話 中将殿と西国の群雄

元亀元年 十一月二十二日 伊予 湯築城 酉三つ刻(1800)  50人ほど入る規模の会場には、大名家・国人家ごとに席が設けられていた。  上座には横長に3つの机が並べられている。真ん中のひときわ大きい机には純正が座り、宗麟、通宣、存保が右手...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第429話 西国騒乱!?史上最悪の兄弟喧嘩。完膚なきまでに叩きのめされる。

元亀元年 十一月十五日 吉田郡山城 「本気で呑むというのか、隆景」  諫早城で純正との会談を終えて戻ってきた隆景は、輝元と元春、ならびに恵瓊ほか数人の重臣にその内容を告げた。  小佐々と四分六(毛利が四:感覚的な表現)の同盟を結ぶことを提案...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第428話 京都大使館にて信長と純正と純久と、そして佐吉

元亀元年 十一月十五日 京都大使館 「そうか、そこまできたか。まったく、あの公方ときたら、こちらが何も言わぬのを良い事に」  と信長。 「どうされるのですか」  短く返事をする純正。 「こうなれば、事と次第によっては所司代を辞任されたほうが...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第427話 純正上洛ス 将軍義昭二問フ

元亀元年 十一月一日 京都 室町御所  発 純久 宛 近衛中将  秘メ 公方様ヘ 宇喜多ノ 使者 謁見セリ 御教書ヲ 当家 ナラビニ 毛利 山陽 山陰 各大名ニ 送ルトノ 風聞アリ 内容ハ 播磨、美作、備前ノ 輩ハ 毛利ノ家人 タルベシ ト...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第426話 純正と秀安 裏の裏の裏の話

元亀元年 十月二十日 諫早城  小早川隆景との会談を終えた数日後、純正は朝食を食べ終わって、コーヒーを飲んで新聞『肥前新聞』を読んでいた。  第一回の遣欧使節が帰国したとき、グーテンベルクの活版印刷機を輸入していたのだ。  その後印刷機の仕...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第425話 小早川隆景、伊予から豊後、そして肥前へ。小佐々純正という男③

元亀元年 十月十四日  小会議室に案内された隆景は、様々な調度品に驚く。  壁には見たこともない絵が掛けられ、テーブルの上には何やら球体の置物がある。そして上座の席の奥には大きな振り子時計があった。 「さ、どうぞお座りくだされ。普通の茶と紅...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第424話 小早川隆景、伊予から豊後、そして肥前へ。小佐々純正という男②

元亀元年 十月十四日  発 石宗山陽 宛 総司令部  秘メ 宇喜多ノ 使者 戸川秀安 輝元ニ 会ヱリ 詳細ハ 不明ナレド 浦上ノ 名代ニ アラズ マタ 両川ハ 不在ナリ 一○○七 秘メ 経由 門司信号所 一○一一 午三つ刻(1200) 「う...
新たなる戦乱の幕開け

第421話 毛利の両川、吉川元春と小早川隆景

元亀元年 十月七日 吉田郡山城   「なんだ、どうするのだ?」 「それは、右衛門督様のお心次第にございます」  意味深な発言で言葉を濁す秀安であったが、輝元の歓心を買うのには十分であった。 「右衛門督様がこのまま小佐々の軍門に降り、独立独歩...
新たなる戦乱の幕開け

第418話 謀将宇喜多直家の処世術~生き残りのための3つの方策~

元亀元年 十月三日 岡山城 「なに? 宗景が小佐々の使者と会っておっただと? いつじゃ?」  宇喜多直家は、決裁書類を読んでいた手を止めて聞く。 「は、一昨日、小豆島の小海城山城(おみじょうやまじょう)にて、会談が開かれたもようです」  重...
新たなる戦乱の幕開け

第413話 元亀元年の浦上宗景への詰問状

元亀元年 九月十五日 諫早城 「殿、大使館より定時通信にございます」  京都大使館に配属されている情報省の職員(忍び)から定時報告があった。  京都~堺湊、阿波湊~土佐宿毛湊、豊後佐伯湊~肥前諫早城間はすでに街道が整備されており、駅馬車も走...
新たなる戦乱の幕開け

第400話 三好家長老、三好長逸の決断と分裂

元亀元年 五月十八日  ※三好三人衆への純正の降伏勧告は議論を呼んだ。本来、和議というのはお互いに交渉し、条件の折り合いをつけて戦闘行為を終了させる事である。  しかし純正のこれは和議ではなく、あきらかに無条件降伏に近いものであった。  一...
新たなる戦乱の幕開け

第392話 三好三人衆と浅井長政

元亀元年 一月十六日 京都 妙覚寺  信長の前には、光秀と秀吉、そして滝川一益の3人が並んで座っていた。光秀は言葉には出さないが、明らかに不満げである。  昨年の6月に光秀と秀吉、そして滝川一益に小佐々の件について意見を聞き、一益にいたって...
新たなる戦乱の幕開け

第391話 永禄十三年の謹賀新年 衝撃の事実と信長と長政、そして三好だよ。

永禄十三年(元亀元年・1570年) 正月 十五日 京都  肥前諫早での配下諸大名(?)の年賀の挨拶を受けた後、純正は戦会のメンバーとともに京都に来ていた。  元旦に純久が名代として御所と室町御所に年賀の挨拶にはいっていたが、改めて純正も参内...
新たなる戦乱の幕開け

第390話 毛利と織田。鍋島直茂の小佐々百年戦略

永禄十二年 十二月二十八日 諫早城 戦略会議室 「みな、聞いてくれ」  純正は直茂、弥三郎、庄兵衛を呼び、清良を紹介する。 「伊予の西園寺配下だった土居式部少輔だ。今日から同じ釜の飯を食う仲間となった。よろしくな」。  清良が一礼し、皆が拍...
西国の動乱、まだ止まぬ

第355話 徳川六角浅井朝倉。手紙が起こすバタフライ・エフェクト

永禄十二年 十月二十三日 三河 岡崎城 「忠次よ、小佐々との件どうなっておる」 「は、弾正忠(織田)様のお許しも得たゆえ、正式に小佐々家との通商を開始する運びとなりました。ただいま商人を通じた取引の協議が行われております」  うむ、と家康は...
肥薩戦争と四国戦役

第347話 九州平定セン、然レドモ先ハ尚長シ……。②

十月十九日 午三つ刻(1200) 日向国紫波洲崎村(宮崎市折生迫)   な! 祐青すけきよが目を見開き純正を注視した。 「めっそうもございませぬ! 誰がそのような事を。許せませぬ」。  純正は落ち着いて祐青を制止した。   「修理亮よ、余は...
肥薩戦争と四国戦役

第345話 戦国九州のポツダム宣言とヤルタ会談??

永禄十二年(1569) 十月十九日 巳一つ刻(0900) 日向国紫波州崎村(宮崎市折生迫)   洋室、洋間がある城は、おそらく諫早城だけであろう。もしかすると岐阜城にもあったかもしれないが、知る由もない。種子島城にはもちろん洋室はないが、諫...
横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に

第77話 艦上にて籠手田安経と日高資

条約締結の手続きが粛々と行われている頃、政忠は招待した松浦党四氏の代表と歓談していた。波多氏は、当主が元服したとはいえ若いので、代表の家老日高資が来ている。  伊万里氏は当主の伊万里純すみ、志佐氏は当主の志佐純昌だ。有田氏は史実では随分前か...
二島五ヶ村の領主 無双≠生き延び スタート

第48話 永禄五年 大友義鎮、動く

同年 四月 沢森城 沢森政忠 「大友義鎮は少弐家を再興すべく、少弐政興を擁立いたしました」  やっぱりかあ!   千方の報告に、文字通りの感情が湧き上がった。これからいよいよきな臭くなるぞ。一歩間違えば家が潰れる。  最悪、相神浦や大村が潰...
二島五ヶ村の領主 無双≠生き延び スタート

第32話 上松浦党の波多親

永禄四年(1561年) 六月 沢森城 「して、どうであった?」  俺は利三郎の報告を受けた。ひと月ほど前から粘土の調達と外交をまかせていた件だ。 「は、内海、福田とも感触は良好でござった」  利三郎は上機嫌だ。良い内容なのだろう。 「両家と...