上洛

対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第524話 武田の鉱山と葡萄と天蚕 ~甲州ワイン誕生なるか?~

天正元年 三月十九日 甲斐国 躑躅ヶ崎館 二日前の三月十七日に、利三郎が勝頼と信玄に謁見して許可を得た小佐々軍の領内通過と、信越国境ならびに飛越国境の駐屯が行われる事となった。 荷留においては、それに加えて上野の武田領(真田領含む)において...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第523話 『酒と醤油の値段が違う! とある第二師団所属兵の憂鬱』

天正元年 三月十八日 伊勢国桑名郡 住吉浦(桑名)陸軍第二師団が到着したのは、美濃・尾張・伊勢の三国にまたがる木曽三川が合流し、伊勢湾に流れ込む地点にある、水運で栄える桑名である。十五日に門司を出発して三日後であった。ここで一泊し、明日十九...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第516話 上杉謙信・越後の龍を阻む者達 純正、近江にて織田信長と会談す

天正元年(1572年) 三月十二日 近江国蒲生郡 武佐宿村 小佐々織田合議所 近江国蒲生郡武佐宿村(滋賀県近江八幡市武佐町)に、小佐々家と織田家の会議を行う施設が建てられている。 基本というか、岐阜城であったり小佐々の大使館では、いろいろと...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第515話 越中守護の書 上杉謙信と畠山氏の対立

天正元年(元亀三年・1572年) 三月十一日 台湾 基隆キールンの湊 籠手田安経 琉球へ寄港してすぐに南下する予定が、明への対応協議のために滞在することになり遅くなってしまった。 わが艦隊(元練習艦隊)は海軍内での組織編制で、南方探険艦隊と...
緊迫の極東と、より東へ

第513話 京都大使館にて、謙信の上洛阻止と義昭の動向

天正元年(元亀三年・1572年) 三月九日 京都大使館(※)古語「あー疲れたー。やっぱりあわんばい(合わないよ)叔父さん。まあおい(俺)が望んだ事やけど(だけど)さ。堅苦しかったい(堅苦しいんだよ)な~」 純正、久々のまったりくつろぎタイム...
緊迫の極東と、より東へ

第510話 肥前より能登へ、敦賀にて純正、長政と初対面す。

天正元年(1572) 二月二十四日 越前国 敦賀郡 敦賀「何? 権中納言様が敦賀にお越しになっていると?」 長政は仰天した。 越前の統治においては前波吉継をはじめとした朝倉旧臣が行ってはいたが、三国浦をあらたな領地とした長政は、小谷城に帰る...
緊迫の極東と、より東へ

第506話 武田勝頼へのKDA(小佐々家開発援助)と有用微生物群(EM)

天正元年(元亀三年・1572年) 二月二十日  甲斐国と言えば黒川金山、黒川金山と言えば戦国の武田家を支えた甲州金を産出した金山として有名である。 信玄の代に最盛期を迎えた黒川金山であるが、勝頼の代にはその産出量も減り、衰退しつつあった。黒...
緊迫の極東と、より東へ

第502話 信長、三度越前を攻める。

天正元年(元亀三年・1572年) 二月月二日  雪解けを待って織田軍が越前へ侵攻した。 織田家の直轄兵力が四万八千、浅井が一万二千、伊勢の兵が一万三千、合計七万三千である。 これでも十分各地に守備兵を残しているのだ。越前では敦賀郡司が前回の...
緊迫の極東と、より東へ

第500話 上杉不識庵謙信という男の本性

天正元年(元亀三年・1572年) 正月十八日 越後 春日山城「……。せっかくおいでになったのだ。通すが良い」 上杉謙信と須田満親の前に、小佐々の狐、利三郎が相まみえる。「はじめてご尊顔を拝しまする、小佐々権中納言様が家臣、太田和治部少輔と申...
緊迫の極東と、より東へ

第488話 耐火レンガと反射炉への道

元亀二年 十一月十五日 信長は勅書に基づき、延暦寺や本願寺、伊賀衆や雑賀、松永弾正、そして朝倉義景に対して事実上の降伏勧告とも言える和議の申し出を行った。 条件は次の通り。 ・延暦寺は武装解除して賠償金二千貫。そもそも何の理由があって武装す...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第483話 織田弾正忠信長、不戦と天下安寧を願う勅命に困惑す。

元亀二年 十月二十一日 信貴山城 織田軍本陣「ほうほうほう、これはこれは……。飛ぶ鳥を落とす勢いの天下の小佐々家中、重鎮の御三方ではありませぬか」 信長が純久はもとより、直茂や利三郎の事をどれだけ知っているかは不明だが、少し皮肉交じりの挨拶...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第480話 鍋島左衛門大夫直茂、小佐々治部少丞純久、太田和治部少輔政直、一同に会す

元亀二年 十月二日 京都 大使館「久しいの治部少丞、息災であったか」「これは利三郎様、お元気そうでなによりにございます。お心遣いかたじけのうございます」 純久は三年ぶりに上司である利三郎に会い、喜びもひとしおであった。 しかし一方で利三郎自...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第470話 虚々実々、信長と純正と信玄と

元亀二年 八月十日 三河「申し上げます!」 武田軍の撤退の報を受け、逃散していた兵をまとめていた信長のもとに急報が入った。「何事か!」 信長に急を報せるのは、織田家の忍者集団『饗談きょうだん』の頭領である、岩村長門守重休しげやす(273話)...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第465話 小佐々純久とグネッキ・ソルディ・オルガンティノ

元亀二年 七月十六日 京都 大使館「おお、これはオルガンティノ殿、久しいですね。どうされたのですか?」 京都でフロイスとともに布教をしているオルガンティノが訪問してきた。 オルガンティノはイエズス会の宣教師で司祭である。 昨年の元亀元年に来...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第457話 二俣城の陥落と三方ヶ原の戦い

元亀二年 五月九日 武田高信への仕置を終えた後、純正は鳥取城へ向かう途中で山名豊国への謁見を許し、但馬へ入った。塩冶高清が治める桐山城、芦屋城、長高連が治める林甫城がある。「初めてご尊顔を拝し奉りまする、長越前守高連にございます。近衛中将様...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第456話 不完全な信長包囲網

元亀二年 四月二十五日 因幡 鹿野城 発 純久 宛 近衛中将 秘メ 二俣城 危うし 天方城ヲハジメ 北遠江ノ 諸城 コトゴトク 落チリケリ サラニ 北条ノ 援軍アリテ 徳川 後詰メ ナラズ 一言坂ニテ 敗レリ 秘メ 三河の北東部と遠江の北部...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第444話 正確な時計とライフル銃と気球と石炭ガスにコークス②ライフル銃と第101狙撃小隊

元亀元年 十二月二十七日 諫早城 諫早城には毎日のように京都の大使館、そして西国の津々浦々から様々な情報が集められてくる。それはこの年末でも変わらない。 発 純久 宛 近衛中将 秘メ 越前 朝倉 左衛門督 上洛セザリキ リユウ ナラビニ 親...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第439話 第2.5次信長包囲網への序曲 山は動くか

元亀元年 十一月 純正が西日本大会議を開いているそのころ……。 ■石山本願寺「和議に応じぬとはどういうことだ! 信長は本当に長島を滅ぼす気か? あやつは仏罰が怖くないのか?」「上人様、やはり公方はあてになりませぬ。信長になめられて、言う事を...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第428話 京都大使館にて信長と純正と純久と、そして佐吉

元亀元年 十一月十五日 京都大使館「そうか、そこまできたか。まったく、あの公方ときたら、こちらが何も言わぬのを良い事に」 と信長。「どうされるのですか」 短く返事をする純正。「こうなれば、事と次第によっては所司代を辞任されたほうが良いのでは...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第427話 純正上洛ス 将軍義昭二問フ

元亀元年 十一月一日 京都 室町御所 発 純久 宛 近衛中将 秘メ 公方様ヘ 宇喜多ノ 使者 謁見セリ 御教書ヲ 当家 ナラビニ 毛利 山陽 山陰 各大名ニ 送ルトノ 風聞アリ 内容ハ 播磨、美作、備前ノ 輩ハ 毛利ノ家人 タルベシ トノ事...
新たなる戦乱の幕開け

第422話 歴史の変化が人の死を早め、それがまた歴史を変える

元亀元年 十月十日 京都 室町御所「公方様、備前の宇喜多の遣いと申す者が、お目通りを願っております」「宇喜多……? 浦上ではなく、宇喜多だと?」 義昭は献上品の刀剣の品定めをしている最中に、政所執事である摂津広門から声をかけられ不機嫌である...
新たなる戦乱の幕開け

第411話 専守防衛?第二次尼子再興運動と対毛利、そして信長を考える②

元亀元年 九月一日 諫早城 「殿」「なんだ?」 土居清良が発言した。「表向きが無理なら、裏からで良いのではないでしょうか」「どういう事だ?」「昨年の尼子蜂起軍には、山名の助力がありました。ゆえにこたびも尼子を直接助けるのではなく、山名を助け...
新たなる戦乱の幕開け

第394話 六分儀の完成と、果てしなき正確な時計への渇望

元亀元年(1570) 三月 諫早城 三好日向守(長逸)殿、並びに三好下野守(宗渭)殿、岩成主税助(友通)殿 既に御聞きと存じ候えども、先の先の将軍を弑し奉りし大罪のため、御幕府より追討の命を受け候。その執行はそれがしの一任となる旨、肝に銘じ...
新たなる戦乱の幕開け

第390話 毛利と織田。鍋島直茂の小佐々百年戦略

永禄十二年 十二月二十八日 諫早城 戦略会議室「みな、聞いてくれ」 純正は直茂、弥三郎、庄兵衛を呼び、清良を紹介する。「伊予の西園寺配下だった土居式部少輔だ。今日から同じ釜の飯を食う仲間となった。よろしくな」。 清良が一礼し、皆が拍手をする...
西国の動乱、まだ止まぬ

第378話 長宗我部元親の決断と明智光秀の苦悩、織田信長の構想

永禄十二年 十一月十七日 岡豊城「どうであった、親貞、親泰」 岡豊城の評定の間で、長宗我部元親は人払いをして三人だけで話す。近習もいない。「どうもこうもありませぬ。まったく話になりませぬ」。 そう話すのは元親の弟で次兄である吉良親貞だ。「浦...
西国の動乱、まだ止まぬ

第373話 土佐安芸郡一揆⑤陰のフィクサー?小佐々治部少丞純久

永禄十二年 十一月十五日 京都 室町御所「公方様、小佐々弾正大弼純正が家臣、小佐々治部少丞純久にございます」 純久は京都にあって大使として各国(各勢力)の重要人物と会うことが多いが、義昭は少し面倒くさいので、必要最小限にしていたのだ。 しか...
西国の動乱、まだ止まぬ

第369話 長政の野望 with ◯◯ 北近江よりの立志伝

永禄十二年 十一月 近江 小谷城「継潤、その後公方様はどうなのだ?」 浅井長政は信長の妹を嫁にし、同盟者となっていたが、自身の存在感の低下に危機感を抱いていた。 事実、美濃を攻略するまでは共闘相手として、上洛する際は障害となる六角と共に戦う...
西国の動乱、まだ止まぬ

第355話 徳川六角浅井朝倉。手紙が起こすバタフライ・エフェクト

永禄十二年 十月二十三日 三河 岡崎城「忠次よ、小佐々との件どうなっておる」「は、弾正忠(織田)様のお許しも得たゆえ、正式に小佐々家との通商を開始する運びとなりました。ただいま商人を通じた取引の協議が行われております」 うむ、と家康はうなず...
北九州を二分する 二つの二虎競食の計

第163話 対信長外交団④

永禄十年 十一月 尾張 津島湊 鍋島直茂 津島湊についた。湊はどこも活気がある。 それにしても、上総介様はわれらの殿と同じで、経済の感覚に優れていらっしゃるようだ。 祖父の信定様が津島湊を勢力下においてから、その経済力を背景に織田家は躍進し...
北九州を二分する 二つの二虎競食の計

第159話 対信長外交団②

永禄十年 十一月 堺湊 鍋島直茂 堺湊についた。少しだけ、寒い。コタツが恋しくなる季節です。コタツは小佐々の名物ではないか。 なぜ商品化して売っていないのだろう? 冬場だけだからか? もっと北にいけばもっと売れる。間違いない……。 京の都に...
北九州を二分する 二つの二虎競食の計

第155話 トーレスとマカオ市長とインド総督と

永禄十年 十月 小佐々城 小佐々弾正大弼純正 東南アジアとインド洋、そしてアフリカ東岸・西岸の航行の自由を確保するために、有力者のお墨付きが必要だ。 トーレスとは久しぶりに合う。以前は豊後府内を根拠地に布教をしていたが、今年の始めに居を移し...
年表・統治機構

1566年~1570年(忘備録)

1566年(永禄九年)1月小佐々領 人口十二万人石高 十八万三千七百五十二石波多家 十四箇条の定めにより保護国化2月沢森家第三子 吉法師誕生第四子 愛姫誕生3月海軍伝習所第一期生卒業計百二十八名(松浦郡十六名・彼杵郡四十七名・佐賀郡五名・杵...
人物紹介

人物紹介④(127話~272話)

( )内は転生時、永禄4年(1561年)時点での数え年齢です。基本的に架空・史実の両方記載しますが、史実の人物の生没年、内容、記載の有無は筆者の任意なのでご了承ください。※は史実人物(本作ストーリー上内容修正あり)龍造寺政家(5)※純家/太...
人物紹介

人物紹介③(51話~126話)

( )内は転生時、永禄4年(1561年)時点での数え年齢です。基本的に架空・史実の両方記載しますが、史実の人物の生没年、内容、記載の有無は筆者の任意なのでご了承ください。※は史実人物(本作ストーリー上内容修正あり)橘屋又三郎(38)※堺の鉄...