上洛

第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第465話 小佐々純久とグネッキ・ソルディ・オルガンティノ

元亀二年 七月十六日 京都 大使館 「おお、これはオルガンティノ殿、久しいですね。どうされたのですか?」  京都でフロイスとともに布教をしているオルガンティノが訪問してきた。  オルガンティノはイエズス会の宣教師で司祭である。  昨年の元亀...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第457話 二俣城の陥落と三方ヶ原の戦い

元亀二年 五月九日  武田高信への仕置を終えた後、純正は鳥取城へ向かう途中で山名豊国への謁見を許し、但馬へ入った。塩冶高清が治める桐山城、芦屋城、長高連が治める林甫城がある。 「初めてご尊顔を拝し奉りまする、長越前守高連にございます。近衛中...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第456話 不完全な信長包囲網

元亀二年 四月二十五日 因幡 鹿野城  発 純久 宛 近衛中将  秘メ 二俣城 危うし 天方城ヲハジメ 北遠江ノ 諸城 コトゴトク 落チリケリ サラニ 北条ノ 援軍アリテ 徳川 後詰メ ナラズ 一言坂ニテ 敗レリ 秘メ  三河の北東部と遠江...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第444話 正確な時計とライフル銃と気球と石炭ガスにコークス②ライフル銃と第101狙撃小隊

元亀元年 十二月二十七日 諫早城  諫早城には毎日のように京都の大使館、そして西国の津々浦々から様々な情報が集められてくる。それはこの年末でも変わらない。  発 純久 宛 近衛中将  秘メ 越前 朝倉 左衛門督 上洛セザリキ リユウ ナラビ...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第439話 第2.5次信長包囲網への序曲 山は動くか

元亀元年 十一月  純正が西日本大会議を開いているそのころ……。  ■石山本願寺 「和議に応じぬとはどういうことだ! 信長は本当に長島を滅ぼす気か? あやつは仏罰が怖くないのか?」 「上人様、やはり公方はあてになりませぬ。信長になめられて、...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第428話 京都大使館にて信長と純正と純久と、そして佐吉

元亀元年 十一月十五日 京都大使館 「そうか、そこまできたか。まったく、あの公方ときたら、こちらが何も言わぬのを良い事に」  と信長。 「どうされるのですか」  短く返事をする純正。 「こうなれば、事と次第によっては所司代を辞任されたほうが...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第427話 純正上洛ス 将軍義昭二問フ

元亀元年 十一月一日 京都 室町御所  発 純久 宛 近衛中将  秘メ 公方様ヘ 宇喜多ノ 使者 謁見セリ 御教書ヲ 当家 ナラビニ 毛利 山陽 山陰 各大名ニ 送ルトノ 風聞アリ 内容ハ 播磨、美作、備前ノ 輩ハ 毛利ノ家人 タルベシ ト...
新たなる戦乱の幕開け

第422話 歴史の変化が人の死を早め、それがまた歴史を変える

元亀元年 十月十日 京都 室町御所 「公方様、備前の宇喜多の遣いと申す者が、お目通りを願っております」 「宇喜多……? 浦上ではなく、宇喜多だと?」  義昭は献上品の刀剣の品定めをしている最中に、政所執事である摂津広門から声をかけられ不機嫌...
新たなる戦乱の幕開け

第411話 専守防衛?第二次尼子再興運動と対毛利、そして信長を考える②

元亀元年 九月一日 諫早城   「殿」 「なんだ?」  土居清良が発言した。 「表向きが無理なら、裏からで良いのではないでしょうか」 「どういう事だ?」 「昨年の尼子蜂起軍には、山名の助力がありました。ゆえにこたびも尼子を直接助けるのではな...
新たなる戦乱の幕開け

第394話 六分儀の完成と、果てしなき正確な時計への渇望

元亀元年(1570) 三月 諫早城  三好日向守(長逸)殿、並びに三好下野守(宗渭)殿、岩成主税助(友通)殿  既に御聞きと存じ候えども、先の先の将軍を弑し奉りし大罪のため、御幕府より追討の命を受け候。その執行はそれがしの一任となる旨、肝に...
新たなる戦乱の幕開け

第390話 毛利と織田。鍋島直茂の小佐々百年戦略

永禄十二年 十二月二十八日 諫早城 戦略会議室 「みな、聞いてくれ」  純正は直茂、弥三郎、庄兵衛を呼び、清良を紹介する。 「伊予の西園寺配下だった土居式部少輔だ。今日から同じ釜の飯を食う仲間となった。よろしくな」。  清良が一礼し、皆が拍...
西国の動乱、まだ止まぬ

第378話 長宗我部元親の決断と明智光秀の苦悩、織田信長の構想

永禄十二年 十一月十七日 岡豊城 「どうであった、親貞、親泰」  岡豊城の評定の間で、長宗我部元親は人払いをして三人だけで話す。近習もいない。 「どうもこうもありませぬ。まったく話になりませぬ」。  そう話すのは元親の弟で次兄である吉良親貞...
西国の動乱、まだ止まぬ

第373話 土佐安芸郡一揆⑤陰のフィクサー?小佐々治部少丞純久

永禄十二年 十一月十五日 京都 室町御所 「公方様、小佐々弾正大弼純正が家臣、小佐々治部少丞純久にございます」  純久は京都にあって大使として各国(各勢力)の重要人物と会うことが多いが、義昭は少し面倒くさいので、必要最小限にしていたのだ。 ...
西国の動乱、まだ止まぬ

第369話 長政の野望 with ◯◯ 北近江よりの立志伝

永禄十二年 十一月 近江 小谷城 「継潤、その後公方様はどうなのだ?」  浅井長政は信長の妹を嫁にし、同盟者となっていたが、自身の存在感の低下に危機感を抱いていた。  事実、美濃を攻略するまでは共闘相手として、上洛する際は障害となる六角と共...
西国の動乱、まだ止まぬ

第355話 徳川六角浅井朝倉。手紙が起こすバタフライ・エフェクト

永禄十二年 十月二十三日 三河 岡崎城 「忠次よ、小佐々との件どうなっておる」 「は、弾正忠(織田)様のお許しも得たゆえ、正式に小佐々家との通商を開始する運びとなりました。ただいま商人を通じた取引の協議が行われております」  うむ、と家康は...
北九州を二分する 二つの二虎競食の計

第163話 対信長外交団④

永禄十年 十一月 尾張 津島湊 鍋島直茂  津島湊についた。湊はどこも活気がある。  それにしても、上総介様はわれらの殿と同じで、経済の感覚に優れていらっしゃるようだ。  祖父の信定様が津島湊を勢力下においてから、その経済力を背景に織田家は...
北九州を二分する 二つの二虎競食の計

第159話 対信長外交団②

永禄十年 十一月 堺湊 鍋島直茂  堺湊についた。少しだけ、寒い。コタツが恋しくなる季節です。コタツは小佐々の名物ではないか。  なぜ商品化して売っていないのだろう? 冬場だけだからか? もっと北にいけばもっと売れる。間違いない……。  京...
北九州を二分する 二つの二虎競食の計

第155話 トーレスとマカオ市長とインド総督と

永禄十年 十月 小佐々城 小佐々弾正大弼純正  東南アジアとインド洋、そしてアフリカ東岸・西岸の航行の自由を確保するために、有力者のお墨付きが必要だ。  トーレスとは久しぶりに合う。以前は豊後府内を根拠地に布教をしていたが、今年の始めに居を...
年表・統治機構

1566年~1570年(忘備録)

1566年(永禄九年) 1月 小佐々領 人口十二万人 石高 十八万三千七百五十二石 波多家 十四箇条の定めにより保護国化 2月 沢森家 第三子 吉法師誕生 第四子 愛姫誕生 3月 海軍伝習所 第一期生卒業 計百二十八名(松浦郡十六名・彼杵郡...
人物紹介

人物紹介④(127話~272話)

( )内は転生時、永禄4年(1561年)時点での数え年齢です。基本的に架空・史実の両方記載しますが、史実の人物の生没年、内容、記載の有無は筆者の任意なのでご了承ください。※は史実人物(本作ストーリー上内容修正あり) 龍造寺政家(5)※純家/...
人物紹介

人物紹介③(51話~126話)

( )内は転生時、永禄4年(1561年)時点での数え年齢です。基本的に架空・史実の両方記載しますが、史実の人物の生没年、内容、記載の有無は筆者の任意なのでご了承ください。※は史実人物(本作ストーリー上内容修正あり) 橘屋又三郎(38)※ 堺...