空堀

緊迫の極東と、より東へ

第504話 加越同盟と越前の未来

天正元年(元亀三年・1572年) 二月六日 「敵大軍なれども われに地の利あり 心配に及ばず 一乗谷で 督戦 あれ」  一乗谷にあって全体を指揮していた義景のもとに、巳の一つ刻(09:00)に戦端が開かれたとの一報が入ったのは申一つ刻(12...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第472話 降伏と和議と異見十七箇条

元亀二年 八月十一日 逢坂の関 「申し上げます! 敵方よりの使者、来ましてございます」 「通せ」  暫定京都師団長の神代貴茂少将と将棋を指していた純久は、淡々と近習に伝える。使者がうんぬんというよりは、貴茂の手をどう崩すかが気がかりのようだ...
西国の動乱、まだ止まぬ

第376話 かかった火の粉がいつの間にか四百万石②

永禄十二年 十一月十六日 諫早城 「そして日の本に戻るが、伊予は、いましばらくかかりそうじゃ。西園寺が、ふふふ、まあ、なんというか、塹壕とはな」 「ざん、ごう……? にございますか?」  龍造寺純家が質問する。純家は一門だから参加しているの...
肥前争乱、淘汰するものされるもの

第94話 西郷 純堯 深堀純賢 動く

永禄七年 十一月 高城 西郷純堯 (今しかない。仏敵大村純忠を討つのは、今しかない)  高城城主の西郷純堯は思った。妻は有馬義貞の姉で、妹は大村純忠の妻である。親類縁者でも容赦なく敵になる、それが戦国時代だ。  キリシタンの教えにかまけ、自...