キリシタン

肥前争乱、淘汰するものされるもの

第91話 後藤惟明の苦渋の決断

永禄七年 六月 武雄城 後藤惟明  父上が殺され、兄上も弟も幽閉されている。今の武雄後藤に、俺の居場所はない。養子の意味がないのだ。  ただでさえ疎んじられてきた。実子も問題なく成長している。このままではいずれ廃されるか、もしくは……。  ...
北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。

第623話 『中浦ジュリアンの元服と洗礼。遣欧使節団?』(1576/1/18) 

天正四年十二月十八日(1576/1/18) 諫早城 寒く、それでも晴れ渡った天気のもと、数えで14歳になる中浦小佐々甚吾じんご(中浦ジュリアン)の元服式が行われた。 小佐々甚吾純吉である。 本来は純正の姉である幸の息子、幸若丸の元服式と同時...
新たなる戦乱の幕開け

第396話 第一次信長包囲網……ならず?

元亀元年 四月  結局連合軍は義景に打撃を与えることなく、浅井長政は朝倉義景と和議を結び、近江へ戻った。  それに対し信長は何も言わなかった。義景は目の上のたんこぶであったが、いますぐに排除しなければならない敵ではない。  それに加賀の一向...
新たなる戦乱の幕開け

第386話 毛利との密約と宇都宮豊綱

永禄十二年 十二月十日 伊予 喜多郡 大須城 「やあやあ、これはこれは、左衛門督様。このようなところまで、総大将がどうされたのですか」  宇都宮豊綱は伊予の喜多郡を領しており、小佐々配下となったあとは、仕置きにより東部のみを領すことになって...
新たなる戦乱の幕開け

第385話 1568年のポルトガルとフリントロック銃

遡ること一年、1568年8月 リスボン王宮  永禄十年(1567年)に派遣した第六回遣欧留学生の代表者が、ポルトガル国王セバスティアン一世に謁見した。  セバスティアン一世にとっては、日本人の留学生の使者に会うのは六回目であるが、滞在してい...
西国の動乱、まだ止まぬ

第371話 帝への上奏、肉食文化への願いに儲け話と省庁部分改編

永禄十二年 十一月 諫早城  純正は戦に明け暮れ、というよりも南九州と四国、そして南方と広がり続ける戦線でも生活を豊かにする事を忘れない。  領民の食生活を豊かにすることが、国力アップにつながるとも考えた。  それから飲食店ビジネスの利益の...
北九州を二分する 二つの二虎競食の計

第155話 トーレスとマカオ市長とインド総督と

永禄十年 十月 小佐々城 小佐々弾正大弼純正  東南アジアとインド洋、そしてアフリカ東岸・西岸の航行の自由を確保するために、有力者のお墨付きが必要だ。  トーレスとは久しぶりに合う。以前は豊後府内を根拠地に布教をしていたが、今年の始めに居を...
肥前争乱、淘汰するものされるもの

第95話 北がダメなら南にすすめ 俵石城攻略戦

十一月 小佐々城 小佐々弾正大弼純正 「さて、どうする?」  俺は深沢義太夫、深作治郎兵衛、藤原千方、沢森利三郎の四人と、特別参謀として佐志方杢兵衛を加えた五人で、戦略会議を行っていた。 「外務大臣、どうだ、外交状況が悪いところはあるか?」...
肥前争乱、淘汰するものされるもの

第94話 西郷 純堯 深堀純賢 動く

永禄七年 十一月 高城 西郷純堯 (今しかない。仏敵大村純忠を討つのは、今しかない)  高城城主の西郷純堯は思った。妻は有馬義貞の姉で、妹は大村純忠の妻である。親類縁者でも容赦なく敵になる、それが戦国時代だ。  キリシタンの教えにかまけ、自...
5強まであと7,000石(現在36,824石)

第83話 宮の村返せだって? あんたバカぁ?↑ 

永禄六年(1563) 七月 大村館 小佐々弾正 「おお! よくぞ来た平九郎! 小佐々の家督をついだそうだな」  俺が来たのが嬉しいのか、それともなにか魂胆があるのかわからない。主殿に案内された俺は、喜々とした純忠の態度に驚いた。  日の出の...
5強まであと7,000石(現在36,824石)

第82話 イエズス会と南蛮貿易

永禄六年 七月 小佐々城 小佐々弾正  千方が手の者を使って盗ませた、インドの管区長あての書簡(もちろん戻したが)にはこう書いてあった。  インド管区長様  その者、平戸の松浦を屈服させ、再び港として、使ってほしいと申しております。  ドン...
5強まであと7,000石(現在36,824石)

第81話 さて、どうする? 

さて、どうする?  某歴史ゲームなら、間違いなくセーブして一休みするか、じっくり今後の戦略を立てるところだ。  まず相神浦松浦あいこうのうらまつら家だが、爺様はまだ隠居しておらず、有馬からの養子、盛がいる。平戸の力を弱め、嫡男と次男は幽閉し...
横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に

第77話 艦上にて籠手田安経と日高資

条約締結の手続きが粛々と行われている頃、政忠は招待した松浦党四氏の代表と歓談していた。波多氏は、当主が元服したとはいえ若いので、代表の家老日高資が来ている。  伊万里氏は当主の伊万里純すみ、志佐氏は当主の志佐純昌だ。有田氏は史実では随分前か...
横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に

第75話 松浦へのネーバルプレゼンス 

俺の中で二人の処遇はもうすでに決まっていた。  隆信は切腹で、鎮信は出家。そしてどこかに幽閉する。  そしてこれは、かなり母上に泣きつかれて、情にほだされそうになったが、心を鬼にしてお願いした。  千寿丸を養子に出す。完全に平戸松浦を支配下...
横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に

第58話 大村純忠、ドン・バルトロメオとなる。

やばい。まじやばい。嘘やろ? 早すぎるって! 来年やろ? 「本日、大村民部大輔様はじめ、家臣数名がキリシタンになるべく受洗された由にございます」  もー、なにやってるんですか純忠様! 早いですって!  俺は急いで見張り台に駆け上り、日の丸の...
横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に

第57話 キリストVS仏教 白熱?の彼杵問答

永禄五年 九月 沢森城 太田小平太  殿は戦を嫌われております。もちろん、某も嫌いにございます。  他国になめられない様に国力を高め、調略によって情報を集め盟を駆使し、なるべく他国に攻め入らなくても済む様に、とお考えです。  しかし、世はそ...
横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に

第55話 本当にあった奴隷貿易 姉上と、おれと、いもうと

同年 八月  沢森領は少しずつ豊かになっている。  石けん、鉛筆、塩、醤油、味噌など、コタツや布団など耐久品も含めた生活必需品が充実している。(もちろん、領内の城は簡易水洗にしているよ!)  なにより人口が増えた。  転生時の永禄四年四月に...
二島五ヶ村の領主 無双≠生き延び スタート

第37話 民部大輔、大村純忠

永禄四年(1561年)九月 大村館 沢森政忠 「平九郎よ。おぬしの言った通りになったのう」。  八月、宮の前事件は、史実通りに起きた。本当は事件前に、準備万端で横瀬浦誘致を進める予定だったけど、仕方ない。 「は、また今回の件は、三年前の宣教...
歴史改変仕方ない。やること多すぎです。

第13話 平戸の南蛮船誘致と宗教改革の提案

疑いと興味と期待とがまざった表情で俺を見ている親父に対して、俺は淡々と答える。   「可能です。ただし父上はもちろん、小佐々の殿様のお力も必要です」 「詳しく話してみろ」 「はい、現在南蛮船は九州のいろいろなところに来航し、各大名領主も率先...
歴史改変は悪だけど、死ぬのはいやです。

第5話 戦国にて初の決断の時〜横瀬への南蛮船寄港計画〜

鋭い! 絶妙に鋭い! ベタすぎるくらい鋭い! ていうか、意味不明なこと書いてぶつぶつ言ってたら誰でも(どうした?)ってなるよね。  前世でも弟いたけど、どっちかって言うと無口で職人気質しょくにんかたぎだったから、新鮮っちゃ新鮮。……いやいや...
年表・統治機構

1561年~1565年(忘備録)

1561年(永禄四年) 4月  転生 蠣浦の海戦 5月 石けんの製造・販売開始 鉛筆の研究製造開始 綿花増産計画(同時にふとん製造) 硝石製造の研究開始 「ナタ目」法による椎茸試験栽培 同「種駒」式栽培研究開始 切り干し大根の生産製造・研究...
人物紹介

人物紹介⑤(273話~347話)

種子島時尭(33)※273話 種子島氏第14代島主。日本に最初に銃を導入し、国産化に導いた。小佐々家の南方戦略にともない、冷え切っていた島津家と関係を清算するため、同盟を結ぶ。 仲屋乾通(51)※ 戦国期の豊後の豪商。通称は次郎左衛門。享禄...
人物紹介

人物紹介③(51話~126話)

( )内は転生時、永禄4年(1561年)時点での数え年齢です。基本的に架空・史実の両方記載しますが、史実の人物の生没年、内容、記載の有無は筆者の任意なのでご了承ください。※は史実人物(本作ストーリー上内容修正あり) 橘屋又三郎(38)※ 堺...
人物紹介

人物紹介②(12話~50話)

( )内は転生時、永禄4年(1561年)時点での数え年齢です。基本的に架空・史実の両方記載しますが、史実の人物の生没年、内容、記載の有無は筆者の任意なのでご了承ください。※は史実人物(本作ストーリー上内容修正あり) 沢森吉野(32) 沢森平...