小佐々

第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第473話 『ヲタルナイからイシカラペツ。大首長チパパタイン』

元亀二年 八月二十二日 北海道 後志国しりべしのくに・石狩国 「ア、ヌカラ(見えた!)」  とアイヌの少年は叫んだ。   それを聞いて藤兵衛も叫ぶ。時間をかけただけはあった。本来なら大人を雇いたいところであったが、チコモタインやハシタインの...
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第472話 降伏と和議と異見十七箇条

元亀二年 八月十一日 逢坂の関 「申し上げます! 敵方よりの使者、来ましてございます」 「通せ」  暫定京都師団長の神代貴茂少将と将棋を指していた純久は、淡々と近習に伝える。使者がうんぬんというよりは、貴茂の手をどう崩すかが気がかりのようだ...
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第471話 五畿七道から五畿八道へ。蝦夷地開拓事始め。

遡って元亀二年 七月十九日 蝦夷国 松前 「夏だというのに……まったく暑くありませんね。旦那様」 「そうだな、藤兵衛。まあ、これだけ北に来ればそうなるのだろうな。私にとってもここまで北に来るのは初めてなのだ」  九州の肥前から蝦夷地の松前に...
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第470話 虚々実々、信長と純正と信玄と

元亀二年 八月十日 三河 「申し上げます!」  武田軍の撤退の報を受け、逃散していた兵をまとめていた信長のもとに急報が入った。 「何事か!」  信長に急を報せるのは、織田家の忍者集団『饗談きょうだん』の頭領である、岩村長門守重休しげやす(2...
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第468話 アドラー・フォン・リューベック?3,000トン級帆船・戦列艦建造計画

元亀二年 七月十七日 諫早城 「ああ、そうでした。海軍省からなにかありますか?」  直茂が示し合わせたかのように、海軍大臣の深堀純賢に発言を促す。純賢は純正の顔を見て、純正はうん、とうなずく。  海軍省への予算配分と技術協力において負担が必...
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第467話 『明の隆慶帝と琉球国王尚元王、変動する国際情勢』

元亀二年 七月十七日 諫早城 「次は司法省ですが、なにかござるか?」  直茂が司法大臣の佐志方杢兵衛に尋ねる。 「は、それでは失礼して。実は小佐々諸法度に関わる事にて、少々問題が出ております」 「ほう、なんだそれは?」  法の整備や施行など...
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第466話 青銅砲から鋳鉄砲へ、純正、難題を一貫斎に投げかける

元亀二年 七月十七日 諫早城  純正は先日、野田城陥落の報をうけ、京都の大使館内が騒然となったという報せを受けた。いや、野田城の陥落自体は問題ではない。問題はその後なのだ。  将軍義昭が挙兵した。  やっぱりか、と純正は思ったが、こればかり...
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第465話 小佐々純久とグネッキ・ソルディ・オルガンティノ

元亀二年 七月十六日 京都 大使館 「おお、これはオルガンティノ殿、久しいですね。どうされたのですか?」  京都でフロイスとともに布教をしているオルガンティノが訪問してきた。  オルガンティノはイエズス会の宣教師で司祭である。  昨年の元亀...
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第464話 異国との交錯と得体の知れない小佐々家の存在

元亀二年 七月十二日 小笠原諸島 父島 「隊長! 何を言っているんだ! ? こいつらが俺たちの船を沈めたんだ! 敵だ! 敵は殺さなければならない!」  いったい何を言っているんだ?   守備隊長のフェルナンド・アルバレス・デ・トレドはもとよ...
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第462話 友、勝行の変貌と純正の決意:マニラ沖海戦の教訓と課題

元亀二年 七月五日 諫早城 「殿、肥前介様がお見えになりました」 「うむ、通せ」  諫早城の執務室で政務を執っている純正のもとに、海軍総司令の深沢肥前介勝行が現れた。  勝行は官位には全く関心がなかったが、西国を統べる大国小佐々の閣僚が無位...
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第460話 海軍再建計画と山陰山陽大街道計画

元亀二年 五月二十四日 姫路城  純正は五月十二日には塩置城に入り、赤松義祐と三木道有の仕置をした。  すでに毛利・小早川・三村の連合軍は、播磨北部の国人を制圧して城下に集まっており、宇喜多・陸軍連合軍も沿岸の城を制圧して集結していた。 「...
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第459話 ポルトガル東インド艦隊から見るイスパニアの野望と小佐々軍の奮闘

遡って元亀二年 四月二十五日 マカオ 「何い? 小佐々艦隊がイスパニアの艦隊を破っただと? 誤報ではなかろうな?」 「は、間違いございません! また、ミゲル・ロペス・デ・レガスピ総司令官は戦死との事」 「なんと!」  マカオのポルトガル商館...
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第458話 抜本的な海軍戦術思考の見直しと、三方ヶ原の幽霊

元亀二年 五月九日 「はあぁぁぁ! ? 馬鹿な! ありえんありえんありえんありえん!」  純正はその二つの報告を聞いた時に、怒鳴るとも叫ぶとも表し難い大声を出して立ち上がった。幕舎の中に居並ぶ面々はもちろんのこと、周辺の近習や兵士が、何事か...
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第457話 二俣城の陥落と三方ヶ原の戦い

元亀二年 五月九日  武田高信への仕置を終えた後、純正は鳥取城へ向かう途中で山名豊国への謁見を許し、但馬へ入った。塩冶高清が治める桐山城、芦屋城、長高連が治める林甫城がある。 「初めてご尊顔を拝し奉りまする、長越前守高連にございます。近衛中...
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第455話 悪人?吉川駿河守元春

元亀二年 四月二十一日 伯耆国 岩倉城  吉川元春の軍勢が岩倉城を包囲した翌日、美作の小田草城へ向かっていた南条元続は急報を受けた。急ぎ陣払いをして岩倉城の救援に向かったのだが、すでに城は落とされた後であった。  吉川軍の裏切りという事態と...
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第454話 伯耆国岩倉城と備前国天神山城の行方

元亀二年 四月十七日 伯耆国 岩倉城 「おお、見よ! 駿河守様が後詰めとしてこられたぞ!」  城主の小鴨元清は、丸に三つ引両の吉川の旗印に小躍りして喜んだ。河村郡と久米郡、八橋郡の大部分を治める、国人領主の南条元継の弟である。  今回の一斉...
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第453話 駿河守の策略と忠義の試金石:吉川駿河守と鍋島加賀守の運命

元亀二年 四月八日 吉田郡山城 「駿河守殿、それは一体どういう事かな? 直茂、よいな?」 「は、ははあ」  さすがの鍋島直茂も、歯切れが悪い。純正の恩情で不問にされた事であるが、元春が言った事が本当ならば、自分も罪を負わなければならないから...
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第452話 小早川隆景の苦悩と衝撃の告白

元亀二年 四月八日 吉田郡山城 「なるほど。では左衛門佐殿は、兄弟ゆえ、兄である駿河守殿が謀反を起こすはずはない。兄はそのような男ではない、と?」  小早川隆景はまっすぐ純正の顔を見ている。輝元も口には出さないが目で語っている。 「しかしの...
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第451話 吉田郡山城にて、一体何を拠所とするのか?

元亀二年 四月八日   三河方面の山県・秋山の別働隊と、遠江の信玄本隊からなる武田の西上軍は、服属を願い出てきた将兵や降伏した城の兵をあわせると、七千人あまり増加していた。  三河では奥三河の山家三方衆、遠江では北遠江の天野景貫らをはじめと...
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第450話 雑賀党と太田党、そして西国では嵐の前の静けさ

元亀二年 三月二十一日 京都大使館 「さて、まったく変なやつだと昔から思っていたが、その変わったやつが、ここまで家中を大きくしたのだからな。こたびの差配も、考えたら的を得ている」  小佐々治部少丞純久は、純正の書状をみながら、つぶやく。  ...
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第449話 御教書発給と将軍義昭の御内書疑惑

元亀二年 三月十一日 諫早城  発 純久 宛 近衛中将  秘メ ◯三◯三 信玄 兵越峠ヨリ 遠江 入レリ 山県 秋山 奧三河 侵攻セリ 徳川 浜松ニテ 籠城 織田ノ 援軍 待テリ 秘メ ◯三◯六 「直茂よ、弾正忠殿はいま、どのあたりであろう...
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第448話 信玄、動く。

元亀二年 三月四日 諫早城  発 純久 宛 近衛中将  秘メ ◯二二六 信玄 甲府ヲ 発テリ 東美濃ヨリ 三河 ナラビニ 駿河ヨリ 遠江ヘ 二手ニ ワカレ 進ム模樣 コノ報セ 弾正忠様ニモ 送リケリ 秘メ ◯三◯一  京都大使館の純正から、...
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第447話 西国の火種と東美濃の争乱。そして山家三方衆

元亀二年 二月二十五日  三ヶ月前の元亀元年十一月、新しい西国の枠組みが決まった。  一万石から三万石の国人の多くが純正の提案を受け入れ、知行地を大幅に減らし、俸祿にて仕えることを選んだのだ。  しかし、領民やその下の家臣たちも、たかだか三...
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第445話 元亀二年と遠洋航海、バンテン王国より東へ。

元亀二年 元旦 諫早城  元旦の年賀の挨拶には、年々増加の一途をたどる来賓の数に対応するため建てられた、巨大な迎賓館が使用された。100人や200人ではない。  純正はまず、午前中を空け、家族や親族との対面に時間を割いた。父親はいつまでたっ...
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第443話 通訳を求めて堺へ。紙屋甚六の旅

元亀元年 十二月二十三日 大和国(奈良県) 「やはり遠いですな、大和は。ここからさらに京に堺にとなると、さらに遠い。そしてこのたびのお役目は、難儀な事ですなあ」  そうやって同行者に愚痴をこぼす者がいる。  相模国小田原の紙商人の紙屋甚六で...
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第442話 武田信玄の3つの選択肢

元亀元年 十二月二十日  甲斐の武田信玄には、どこに侵攻するか、三つの選択肢があった。一つは越後、もう一つは美濃、そしてもう一つは遠江三河である。  一つ目の越後の上杉謙信だが、昨年の永禄十二年の八月には和議が成立している。  しかし開戦の...
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第441話 天下分け目の策謀

元亀元年 十二月八日  信長は純正と会談した後、十二月に入って再び伊勢長島へ入った。  一向一揆が鎮圧されたのは、そのすぐ後である。  文字通りの殲滅戦であり、兵糧攻めのあと最後の長島城に一揆衆をあつめ、降伏後、根切りにしたのである。  戦...
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第440話 純正から延暦寺への手紙

元亀元年 十二月七日 諫早城  天台座主にして金蓮院准后様(比叡山延暦寺大僧正)  拝啓 寒さを感じる霜月の候、准三后様におかれましては、ご自愛いただきたく存じたてまつり候。  初めての文ならびに突如としての送文と相成りますが、何卒お許し願...
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第439話 第2.5次信長包囲網への序曲 山は動くか

元亀元年 十一月  純正が西日本大会議を開いているそのころ……。  ■石山本願寺 「和議に応じぬとはどういうことだ! 信長は本当に長島を滅ぼす気か? あやつは仏罰が怖くないのか?」 「上人様、やはり公方はあてになりませぬ。信長になめられて、...
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第438話 新参者、宇喜多右衛門尉直家と黒田官兵衛孝高

元亀元年 十一月二十五日 「本当にこれで良かったのだろうか」  純正が直茂に確認する。すでに3日間に及んだ会談は終わり、諸大名は純正への挨拶を終えて、それぞれの領国へ帰った後であった。 「ようございました。あれで大国毛利も小佐々には敵わぬ、...
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第437話 新しい西国秩序

元亀元年 十一月二十三日 伊予 湯築城  戦をなくす為に話し合いの場を設けたのに、これでは話がまとまらない。  元春の気持ちも理解できるが、大言壮語すぎたのだ。このまま、無条件では元春も引っ込みがつかないであろう。 「では能義郡、四万五千六...
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第436話 純正、孫子の兵法を説く

元亀元年 十一月二十三日 伊予 湯築城  「寒いっ! 無理! 絶対無理! なんだよこれ! 氷点下じゃねえか!」  秀政が聞いたら驚くような言葉だが、温度計自体はずいぶん前に純正のアイデアで作っている。水に食紅で色をつけた温度計だ。  しかし...
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第435話 尼子家の苦悩と復興

元亀元年 十一月二十二日 伊予 湯築城 酉三つ刻(1800)  ■別所家中 「叔父上、やはり中将様はひとかどの人物ですね。くぐってきた修羅場もそうであるし、話も飽きぬ。なにより、戦を好まぬ姿は好きです」  別所長治は叔父で一門、家老の別所重...
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第434話 中将殿と西国の群雄

元亀元年 十一月二十二日 伊予 湯築城 酉三つ刻(1800)  50人ほど入る規模の会場には、大名家・国人家ごとに席が設けられていた。  上座には横長に3つの机が並べられている。真ん中のひときわ大きい机には純正が座り、宗麟、通宣、存保が右手...
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第433話 変革の時

元亀元年 十一月二十二日 伊予 湯築城  元親は純正の発言の意図が理解できない。 「それは一体、どう言うことなのでしょうか?」 「言葉通りの意味である。宇喜多殿とは使者を通じて、服属したいとの旨を承っており、了承したのだ。その際、この毛利家...
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第432話 負の連鎖を断つとき

元亀元年 十一月二十二日 伊予 湯築城  宇喜多家と宇喜多直家をどうしたいのか?   純正の問いに三村元親は即答できない。父を殺した憎き敵が目の前にいるのだ。どんな形でも良いから仇を討ちたいはずなのに、なぜか答えられない。 「それは……」 ...
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第430話 力と政治

元亀元年 十一月二十二日 伊予 湯築城    戦国時代初、関係各国の代表、いわゆる首脳が集まる会談が伊予の湯殿城で開催された。甲相駿三国同盟でも3人である。10人はまずないだろう。  どこで開催するか迷った純正であったが、諫早城はさすがに遠...
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第429話 西国騒乱!?史上最悪の兄弟喧嘩。完膚なきまでに叩きのめされる。

元亀元年 十一月十五日 吉田郡山城 「本気で呑むというのか、隆景」  諫早城で純正との会談を終えて戻ってきた隆景は、輝元と元春、ならびに恵瓊ほか数人の重臣にその内容を告げた。  小佐々と四分六(毛利が四:感覚的な表現)の同盟を結ぶことを提案...
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第428話 京都大使館にて信長と純正と純久と、そして佐吉

元亀元年 十一月十五日 京都大使館 「そうか、そこまできたか。まったく、あの公方ときたら、こちらが何も言わぬのを良い事に」  と信長。 「どうされるのですか」  短く返事をする純正。 「こうなれば、事と次第によっては所司代を辞任されたほうが...
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第427話 純正上洛ス 将軍義昭二問フ

元亀元年 十一月一日 京都 室町御所  発 純久 宛 近衛中将  秘メ 公方様ヘ 宇喜多ノ 使者 謁見セリ 御教書ヲ 当家 ナラビニ 毛利 山陽 山陰 各大名ニ 送ルトノ 風聞アリ 内容ハ 播磨、美作、備前ノ 輩ハ 毛利ノ家人 タルベシ ト...
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第426話 純正と秀安 裏の裏の裏の話

元亀元年 十月二十日 諫早城  小早川隆景との会談を終えた数日後、純正は朝食を食べ終わって、コーヒーを飲んで新聞『肥前新聞』を読んでいた。  第一回の遣欧使節が帰国したとき、グーテンベルクの活版印刷機を輸入していたのだ。  その後印刷機の仕...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第425話 小早川隆景、伊予から豊後、そして肥前へ。小佐々純正という男③

元亀元年 十月十四日  小会議室に案内された隆景は、様々な調度品に驚く。  壁には見たこともない絵が掛けられ、テーブルの上には何やら球体の置物がある。そして上座の席の奥には大きな振り子時計があった。 「さ、どうぞお座りくだされ。普通の茶と紅...
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第424話 小早川隆景、伊予から豊後、そして肥前へ。小佐々純正という男②

元亀元年 十月十四日  発 石宗山陽 宛 総司令部  秘メ 宇喜多ノ 使者 戸川秀安 輝元ニ 会ヱリ 詳細ハ 不明ナレド 浦上ノ 名代ニ アラズ マタ 両川ハ 不在ナリ 一○○七 秘メ 経由 門司信号所 一○一一 午三つ刻(1200) 「う...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第423話 小早川隆景、伊予から豊後、そして肥前へ。小佐々純正という男

元亀元年 十月十四日  隆景は翌日の八日の朝から安芸倉橋島へ向かい、そこからさらに船に乗った。  忽那の島々をへて伊予鹿島城下へ着いたのは九日の夕刻である。  一泊して湯殿城下を経て、喜多郡の佐多岬半島の佐田浦、三崎浦までは街道がすでに整っ...
新たなる戦乱の幕開け

第422話 歴史の変化が人の死を早め、それがまた歴史を変える

元亀元年 十月十日 京都 室町御所 「公方様、備前の宇喜多の遣いと申す者が、お目通りを願っております」 「宇喜多……? 浦上ではなく、宇喜多だと?」  義昭は献上品の刀剣の品定めをしている最中に、政所執事である摂津広門から声をかけられ不機嫌...
新たなる戦乱の幕開け

第421話 毛利の両川、吉川元春と小早川隆景

元亀元年 十月七日 吉田郡山城   「なんだ、どうするのだ?」 「それは、右衛門督様のお心次第にございます」  意味深な発言で言葉を濁す秀安であったが、輝元の歓心を買うのには十分であった。 「右衛門督様がこのまま小佐々の軍門に降り、独立独歩...
新たなる戦乱の幕開け

第420話 毛利輝元と安国寺恵瓊、相対するは戸川平右衛門尉秀安なり

元亀元年 十月七日 吉田郡山城 「殿、宇喜多家臣、戸川秀安と申す者がお目通りを願っております」  毛利家当主である毛利輝元は、外交僧で顧問の安国寺恵瓊と談笑していた。  このとき両川である小早川隆景は領国である新高山城(にいたかやまじょう)...
新たなる戦乱の幕開け

第419話 謀将宇喜多直家の処世術~使える物はなんでも使う。そして混沌へ~

元亀元年 十月三日 岡山城 「殿、一つだけ、策がないこともございませぬ」  なに? と直家は秀安の言葉に目を輝かせる。さて、戸川秀安の腹案とはいったいなんであろうか? 「おお、なんじゃ」 「毛利にございます」 「何を言っておる。さきほど毛利...
新たなる戦乱の幕開け

第418話 謀将宇喜多直家の処世術~生き残りのための3つの方策~

元亀元年 十月三日 岡山城 「なに? 宗景が小佐々の使者と会っておっただと? いつじゃ?」  宇喜多直家は、決裁書類を読んでいた手を止めて聞く。 「は、一昨日、小豆島の小海城山城(おみじょうやまじょう)にて、会談が開かれたもようです」  重...
新たなる戦乱の幕開け

第417話 浦上宗景の戦略と宇喜多直家の運命

元亀元年 十月一日 諫早城  発 純久 宛 総司令部  秘メ 公方様 各地ノ大名へ 書状ヲ送レリ マタ 本願寺ヨリ 幕府ヘ 長島ノ戦 和睦ノ 調停 要請アリ ト 認ム。  マタ 浅井ノ 軍勢ハ 丹後ヲ 順当二 制シテイル 模様 秘メ  和睦...