殿

新たなる戦乱の幕開け

第413話 元亀元年の浦上宗景への詰問状

元亀元年 九月十五日 諫早城 「殿、大使館より定時通信にございます」  京都大使館に配属されている情報省の職員(忍び)から定時報告があった。  京都~堺湊、阿波湊~土佐宿毛湊、豊後佐伯湊~肥前諫早城間はすでに街道が整備されており、駅馬車も走...
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第412話 専守防衛?第二次尼子再興運動と対毛利、そして信長を考える③

元亀元年 九月一日 諫早城 「なんじゃ」  尾和谷弥三郎が言う。 「殿はそれを見越して、毛利に対して味方を増やすために三村に近づくのでしょう? 毛利と宇喜多が織田に敵対し、それに三村とわれらが対する、これは何も問題ありません」 「うむ」 「...
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第411話 専守防衛?第二次尼子再興運動と対毛利、そして信長を考える②

元亀元年 九月一日 諫早城   「殿」 「なんだ?」  土居清良が発言した。 「表向きが無理なら、裏からで良いのではないでしょうか」 「どういう事だ?」 「昨年の尼子蜂起軍には、山名の助力がありました。ゆえにこたびも尼子を直接助けるのではな...
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第410話 専守防衛?第二次尼子再興運動と対毛利、そして信長を考える①

元亀元年 九月一日 諫早城  例のごとく戦略会議室のメンバーが集まって、一通の書状を囲んで考え込んでいる。  正四位下近衛中将小佐々様  突然の書状をお許し賜りたく、伏して願い上げ候。  それがし尼子勝久様が家臣、山中鹿之助幸盛と申し候。 ...
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第409話 歴史の改変は歴史を縮め、信長包囲網を変えた

元亀元年 八月末  史実における信長包囲網は3回に分けて展開されるが、そのうちの第一次が終了した。しかも小佐々純正の存在が、その参加勢力との戦いの推移に大きく影響を及ぼしたのだ。  まず第一に、純正の助言を受けた浅井長政が勢力を拡張し、信長...
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第404話 正四位下近衛中将源朝臣小佐々平九郎純正となる、のか?

元亀元年 六月十日 諫早城 小佐々純正  いや、近衛中将って、俺は検非違使もやってるんだよ?  え? 兼任? いいよ、別に。肥前から動かないから。どうせまた叔父上から嫌み言われるんでしょ? いやだよ。  そもそも近衛大将とか中将って誰かやっ...
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第403話 第一次信長包囲網の終焉と新たなる鳴動

元亀元年 六月六日   大安である六日を選んで、織田家と包囲網陣営の和議が結ばれた。  信長にしてみれば和泉は戻ってきたものの、摂津の領地は奪われたままで、決して良い条件ではなかった。  山城、河内、紀伊の状況は変わらず、良い面と言えば、大...
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第402話 若江三好家と摂津三好家と阿波三好家

元亀元年 五月二十二日 摂津 ※野田城 「なんですと? 気でもふれたのですか大叔父上?」  そう声をあげるのは阿波三好家当主であり、日本の副王と呼ばれた三好長慶の弟、三好実休の息子である※三好(彦次郎)長治である。 「気などふれておらぬ※彦...
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第401話 将軍義昭の焦燥と暗雲?

元亀元年 五月二十二日  勝瑞城での会談の結果は、最終的に三好の返事に委ねられるとして、諫早にいる純正と中央以東管轄の純久のもとへ届けられた。  土佐の甲浦までは馬で、そこから通信で宿毛、海を渡って佐伯に向かい、さらに通信で諫早まで届けたの...
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第400話 三好家長老、三好長逸の決断と分裂

元亀元年 五月十八日  ※三好三人衆への純正の降伏勧告は議論を呼んだ。本来、和議というのはお互いに交渉し、条件の折り合いをつけて戦闘行為を終了させる事である。  しかし純正のこれは和議ではなく、あきらかに無条件降伏に近いものであった。  一...
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第399話 受け入れるか?三好への降伏条件と気球

元亀元年 五月十二日  将軍義昭からの和議の要請は、大使館の純久を通じてすぐに純正へ伝えられた。  臣小佐々弾正大弼純正、公方様の御命により、三好長逸、三好宗渭、岩成友通との戦を和議にて収め候。  しかるにこの合戦、公方様の三好を討たんとの...
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第398話 阿波三好家の凋落と義昭との軋轢?そして医学の進歩!

元亀元年(1570) 五月  池田城の城主追放に始まり、阿波三好と三人衆の摂津再上陸で勢いに乗ったかに見えた信長包囲網は、純正の予想通り、二月も経たずに瓦解した。 「純久! 純久はおらぬか!」  室町御所で声をあげて小佐々純久を呼んでいるの...
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第397話 フランシスコ・デ・アルメイダとバルトロメウ・ディアスの驚嘆

元亀元年 四月 諫早城 「先生! お元気でしたか!」 「先生! お変わりなく!」  行く先々で海軍伝習所時代から兵学校への変遷の際に学んだ生徒が声をかけてくる。なつかしさのあまり涙を流す者もいた。  拝啓  親愛なるわが王 セバスティアン一...
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第395話 ポルトガル大艦隊と彼我の戦力差を考える

元亀元年 三月  5万の大軍で越前に攻め入った織田軍は、田植え前という短期間ではあるが、当初一向一揆と織田・浅井軍で挟撃する予定であった。  しかしここで、織田・浅井連合軍(以下連合軍)にとって予想外の事が起きたのだ。  一揆衆が撤退した。...
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第394話 六分儀の完成と、果てしなき正確な時計への渇望

元亀元年(1570) 三月 諫早城  三好日向守(長逸)殿、並びに三好下野守(宗渭)殿、岩成主税助(友通)殿  既に御聞きと存じ候えども、先の先の将軍を弑し奉りし大罪のため、御幕府より追討の命を受け候。その執行はそれがしの一任となる旨、肝に...
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第393話 織田信長、第一次包囲網なるのか?

元亀元年 二月 諫早城  一月の末に進発した浅井軍一万は、若狭の粟屋勝久と呼応して、またたくまに若狭を制圧した。長政は、決断したようだ。  父の久政を幽閉し、見張りをつけ、外界との接触を禁じたのだ。  驚くほどの抵抗はなかった。事前の磯野員...
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第392話 三好三人衆と浅井長政

元亀元年 一月十六日 京都 妙覚寺  信長の前には、光秀と秀吉、そして滝川一益の3人が並んで座っていた。光秀は言葉には出さないが、明らかに不満げである。  昨年の6月に光秀と秀吉、そして滝川一益に小佐々の件について意見を聞き、一益にいたって...
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第391話 永禄十三年の謹賀新年 衝撃の事実と信長と長政、そして三好だよ。

永禄十三年(元亀元年・1570年) 正月 十五日 京都  肥前諫早での配下諸大名(?)の年賀の挨拶を受けた後、純正は戦会のメンバーとともに京都に来ていた。  元旦に純久が名代として御所と室町御所に年賀の挨拶にはいっていたが、改めて純正も参内...
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第390話 毛利と織田。鍋島直茂の小佐々百年戦略

永禄十二年 十二月二十八日 諫早城 戦略会議室 「みな、聞いてくれ」  純正は直茂、弥三郎、庄兵衛を呼び、清良を紹介する。 「伊予の西園寺配下だった土居式部少輔だ。今日から同じ釜の飯を食う仲間となった。よろしくな」。  清良が一礼し、皆が拍...
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第389話 西園寺公広と土居清良

永禄十二年 十二月二十八日 諫早城  十二月十日に宇都宮豊綱の造反並びに職務怠慢が公になり追放された。  その後引き続き長谷口から南の黒瀬城へ向かう街道は封鎖され、南の板島城から北へむかう吉田口、東の三滝城からの土居口も同様に完全に塞がれた...
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第388話 群雄たちと小佐々純久

永禄十二年 とある日 在京小佐々大使館 「大使、また来てます」  大使館の洋間、昼休みに佐吉と将棋を指している純久のもとに、一人の訪問者があった。最近、遠方からのお客様が増えましたね、と佐吉が言う。  純久はそれどころではない。36対6で圧...
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第386話 毛利との密約と宇都宮豊綱

永禄十二年 十二月十日 伊予 喜多郡 大須城 「やあやあ、これはこれは、左衛門督様。このようなところまで、総大将がどうされたのですか」  宇都宮豊綱は伊予の喜多郡を領しており、小佐々配下となったあとは、仕置きにより東部のみを領すことになって...
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第385話 1568年のポルトガルとフリントロック銃

遡ること一年、1568年8月 リスボン王宮  永禄十年(1567年)に派遣した第六回遣欧留学生の代表者が、ポルトガル国王セバスティアン一世に謁見した。  セバスティアン一世にとっては、日本人の留学生の使者に会うのは六回目であるが、滞在してい...
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第384話 来島通総兄弟と瀬戸内の緊張

永禄十二年 十二月 五日 来島城 「兄上、もう半年になりますね」 「そうだな、もう半年になる」  伊予来島の村上(来島)通総は九歳である。  二年前に父である村上通康が死に、元服して家督をついだ。兄がいたのだが、母親が主君筋の河野弾正少弼通...
西国の動乱、まだ止まぬ

第382話 永禄十二年 十二月一日 庄内の乱、東郷の乱。

永禄十二年 十二月一日 巳の一つ刻(0900)薩摩  薩州島津家当主、※島津義虎が動いた。  南下して、二十年も抗争を続けてきた東郷氏の旧領を攻めたのだ。  東郷氏は渋谷一族の分家で、祁答院氏や入来院氏とともに島津家と戦ってきたが、すでにす...
西国の動乱、まだ止まぬ

第380話 遠い西の彼方へ。長宗我部元親の驚嘆の九州肥前紀行②

永禄十二年 十一月二十日 午一つ刻(1100) 府内 「これをこうやって送るのです」  そう言って宗悦は代金と書面を係に渡す。係は料金を確認して書面を伝達役に渡し、伝達役は何やら小屋を出て近くの見張り台まで走る。  見張り台の上では係は旗を...
西国の動乱、まだ止まぬ

第379話 遠い西の彼方へ。長宗我部元親の驚嘆の九州肥前紀行

永禄十二年 十一月十八日 辰三つ刻(0800) 浦戸城 「これは宮内少輔様、いかがされましたか?」  佐伯惟忠は知っていたがわざと聞いた。先日の件をどう思っているのか聞きたかったのだ。 「無礼ですぞ、いかに小佐々家中の方といえど、許せませぬ...
西国の動乱、まだ止まぬ

第378話 長宗我部元親の決断と明智光秀の苦悩、織田信長の構想

永禄十二年 十一月十七日 岡豊城 「どうであった、親貞、親泰」  岡豊城の評定の間で、長宗我部元親は人払いをして三人だけで話す。近習もいない。 「どうもこうもありませぬ。まったく話になりませぬ」。  そう話すのは元親の弟で次兄である吉良親貞...
西国の動乱、まだ止まぬ

第377話 惟忠vs.親泰と親貞、そして光秀vs.純久

永禄十二年 十一月十六日 浦戸城 「これは一体どういう事か?」  謁見の間、というほど大層なつくりではないが、応接の間で声を張り上げているのは吉良親貞と香宗我部親泰である。  浦戸城から安芸城、つまり一揆軍の拠点に兵糧が運び込まれている報せ...
西国の動乱、まだ止まぬ

第376話 かかった火の粉がいつの間にか四百万石②

永禄十二年 十一月十六日 諫早城 「そして日の本に戻るが、伊予は、いましばらくかかりそうじゃ。西園寺が、ふふふ、まあ、なんというか、塹壕とはな」 「ざん、ごう……? にございますか?」  龍造寺純家が質問する。純家は一門だから参加しているの...
西国の動乱、まだ止まぬ

第375話 かかった火の粉がいつの間にか四百万石

永禄十二年 十一月十六日 諫早城  純正は各方面から届けられる書状や通信文書を読みながら、定例会議を開いて今後の対策を考えていた。  空閑三河守、藤原千方(親)、鍋島直茂、尾和谷弥三郎、佐志方庄兵衛の五人が傍らにいる。そして閣僚の面々。 「...
西国の動乱、まだ止まぬ

第374話 土佐安芸郡一揆⑥黒幕は小佐々弾正大弼純正なのか?

永禄十二年 十一月十五日 阿波 ※勝瑞城 「なに? まだ一揆が収らぬと?」 「はい、安芸城を占拠した一揆勢は安芸郡全体に広がり、安芸国虎の嫡男十太夫が蜂起して、一揆を扇動いたしております」  ※三好長逸と※三好宗渭は正月に御所を襲い義昭を殺...
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第373話 土佐安芸郡一揆⑤陰のフィクサー?小佐々治部少丞純久

永禄十二年 十一月十五日 京都 室町御所 「公方様、小佐々弾正大弼純正が家臣、小佐々治部少丞純久にございます」  純久は京都にあって大使として各国(各勢力)の重要人物と会うことが多いが、義昭は少し面倒くさいので、必要最小限にしていたのだ。 ...
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第372話 土佐安芸郡一揆④小佐々家の介入は人道支援?

永禄十二年 十一月十五日 土佐 岡豊城  急な報せを受けた香宗我部親泰は、急ぎ京より土佐へ戻り岡豊城で長宗我部元親と会議を行っていた。 「殿、状況はいかがにござるか」 「うむ、攻めかかっておるが、なかなかに手強い。勢いは強まるばかりじゃ。使...
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第369話 長政の野望 with ◯◯ 北近江よりの立志伝

永禄十二年 十一月 近江 小谷城 「継潤、その後公方様はどうなのだ?」  浅井長政は信長の妹を嫁にし、同盟者となっていたが、自身の存在感の低下に危機感を抱いていた。  事実、美濃を攻略するまでは共闘相手として、上洛する際は障害となる六角と共...
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第368話 仕組まれた反乱、南九州にて

永禄十二年十一月二十日 諫早城 会議室  小佐々純正は政務の合間を縫って、子どもたちと遊んでいた。  子供だと思っていた弟の千寿丸は元服し、結婚して海軍兵学校へ入学している。甥っ子の幸若丸でさえ十一である。そろそろ元服を考えなくてはいけない...
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第367話 土佐安芸郡一揆③独立、なるか?

永禄十二年 十一月十日 土佐 安芸郡 安芸城 「殿、これからどうなさいますか」  家老であった黒岩越前守の息子、黒岩掃部(30)である。 「若と言われ続けてきて、いきなり殿は慣れぬな」 「は、しかし安芸家の復興のためには慣れていただかなくて...
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第366話 観音寺騒動ならぬ三雲騒動

永禄十二年 十一月十日 南近江 三雲城  織田信長の圧倒的な軍事力の前に、昨年の永禄十一年、六角氏の主城である観音寺城が落とされた。  実際には支城である箕作城がわずか一日で落とされ、次いで和田山城の城兵の離散にともない、守れぬと判断しての...
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第365話 土佐安芸郡一揆、安芸千寿丸改め弘恒蜂起する。②

永禄十二年 十一月七日 京都 在京小佐々大使館  親泰、我が家中の重き臣として、深き憂いの報せを伝えん。  去る十月三十一日、安芸郡伊尾木村にて一揆起こりて勢い強く、江川村、土居村へと広がりつつあり。  さらには、我が軍がかつて討ち取った安...
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第364話 土佐安芸郡一揆、安芸千寿丸改め弘恒蜂起する。

平凡なサラリーマン沢森武は気絶し、戦国時代の超弱小地方領主の跡取りとして転生する。平和を望みつつも周囲がそれを許さない。歴史知識と現代経験を活かし、技術革新や産業の革命を起こしながら周囲の脅威に立ち向かう、戦国歴史改変小説。
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第363話 元第二分隊航海科の純正、六分儀の製作に携わる?

永禄十二年 十一月 諫早城天守 天文台  寒い、しかし冷えて眠気覚ましにはちょうどいい。  九十郎秋政が観測をしていた。諫早城天守に設けられた観測用天文台だ。天守からも渡れる構造になっているが、天文台側からは天守には入れない。  純正の足音...
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第361話 予土戦役、黒瀬城攻防戦④藤原千方景延と空閑三河守光家

永禄十二年 十月二十七日 諫早城 戌二つ刻(1930) 「申し上げます!」  近習が慌てて駆け込んで声をかけてくる。純正は夕食を終えて、本を読んでいた。暗い。ガス灯が欲しいな、と考えていた頃だ。 「なんだ」 「四国の大友様より通信です」 「...
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第360話 予土戦役、黒瀬城攻防戦③裏切りが裏切りを呼ぶ?宗麟の予感は当たるのか

永禄十二年 十月二十五日 伊予 長浜村(愛媛県大洲市長浜町)  宗麟たちは占領した板島城(愛媛県宇和島市和霊町)より河後森城(北宇和郡松野町富岡)へ抜けた。  その後北上して三滝城(西予市城川町窪野)、さらに北上して宇都宮領の伊予曽根城(喜...
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第359話 内城での会議 義虎と国人四人 反乱すべきかせざるべきか

永禄十二年 十月二十五日 薩摩(鹿児島) 内城 巳一つ刻(0900)  上座には宗家当主の島津義久が座り、向かって右手に次兄の義弘、三男の歳久が座っている。左側は家久である。薩州島津家は一門衆であるので上座に近い方に島津義虎が座っている。 ...
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第358話 ゲーリケとドニ・パパンと源五郎、そしてライフル銃と一貫斎

永禄十二年 十月二十二日 諫早城 未一つ刻(1300) 「殿、まずはこれをごらんください。蒸気のからくり、それがしは機関、と命名しましたが、その機関を説明するのに必要なのです」  うわー。なんとなく、なんとなくわかるぞ。スマホを作るには半導...
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第357話 手押しポンプと水銀とトリチェリと忠右衛門

永禄十二年 十月二十二日 諫早城 巳の一つ刻(0900) 「事の発端は、殿が手押しポンプなるものの製作を命じられ、完成したときからでした」  諫早城から小佐々城より少し先、天久保村にある工部省の開発工房へ向かう馬車の中で、忠右衛門は話しはじ...
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第356話 小佐々領の第一次農業改革と第一次産業革命

永禄十二年 十月二十三日 諫早城  永禄九年の八月に始まった領内の街道のコンクリート舗装は、肥前においてはほぼ主要な街道で終了している。政庁である城同士をつなぐ街道と、湊や信号所のある地点間での舗装だ。  主要街道から始めているが、筑前、筑...
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第355話 徳川六角浅井朝倉。手紙が起こすバタフライ・エフェクト

永禄十二年 十月二十三日 三河 岡崎城 「忠次よ、小佐々との件どうなっておる」 「は、弾正忠(織田)様のお許しも得たゆえ、正式に小佐々家との通商を開始する運びとなりました。ただいま商人を通じた取引の協議が行われております」  うむ、と家康は...
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第354話 予土戦役、黒瀬城攻防戦②毛利元就が生きていたならば

永禄十二年 十月二十三日 安芸 吉田郡山城 「なに! それは誠なのか? 誠に負けたのか?」  世鬼衆の報告を受け、毛利輝元はじめ小早川隆景や吉川元春は驚きを隠せない。しかしその驚きは、負けたという事にではない、こんなにも早く決着がついた、と...
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第353話 予土戦役、黒瀬城攻防戦①恐るべき元黒瀬七城と新しき防衛戦法

永禄十二年 十月二十三日 伊予南西部 宇和郡   伊予の国人の調略は順調に進んでいたものの、西園寺の攻略が遅々として進んでいなかった。  宗麟の本隊は宿毛城から伊予に入った。  別働隊は鷲が森城より伊予に入っていたのだが、敵の防御が妙だった...