松浦

東と西の転生者

第764話 『新しき三省』

天正十九年七月二十日(1590/7/20) 諫早 <小佐々純正>  オレは諫早に戻ってきて城に戻り、吃緊きっきんの陸海軍の再編を終えて、ぐったりした。  もうそろそろリタイヤしてもいいんじゃね? 国内は統一してないけど戦は終わったし、大日本...
東と西の転生者

第762話 『肥前国の海軍再編と大日本国、そして極東情勢』

天正十九年六月十二日(1590/7/13) 諫早 「殿下、お帰りなさいませ」  3年前の天正16年(1587)1月に諫早を出発した海外領土の視察であったが、3年半の歳月を経て終了した。長崎の湊みなとには純正一行の到着を待ちわびた閣僚と民衆が...
大日本国から世界へ

第742話 『籠手田安経と三度、イスパニアの影』

天正十七年二月二十七日(1588/3/28)  純正が向かう東南アジア総督府はカリマンタン島のクチンにあり、ブルネイ県・スラウェシ県・インドネシア県・ニューギニア県・オーストラリア県の広大な領域を統括する総督府である。  陸地面積だけでルソ...
天下百年の計?

第724話 『会合衆の世界進出と九州五傑』

天正十四年一月十五日(1585/2/14) 堺 「そう、それが最も難し事なのだ」  会合衆の議論は連日続き、白熱していった。  千宗易(利休)の提案に多くの者が興味を示す一方で、実現に向けての課題も浮き彫りになっていた。  山上宗二は腕を組...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第686話 『おーやじ、なんばしょっとね?』(1581/2/7)

天正十年一月四日(1581/2/7) 肥前飯盛城 <純正>  昨年末、松浦の爺様が亡くなった。享年八十八。  史実より3年長く生きたけど、人間五十年の二人分の大往生だ。史実にいない俺が統一を推し進めたものだから、喪主は平戸松浦からの養子では...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第122話 『吉田松陰、平戸から大村へ。鋼板切断機、ロール成形機、溶接機、プレス機、運搬機器の開発』

嘉永三年二月十九日(1850/4/1)  「初めて御意を得ます。長州より参りました、毛利家中、吉田寅次郎と申します」  松陰は長州藩主毛利敬親の命を受け、平戸藩への遊学と、一年間の長崎を含めた西国見聞の旅の最中であった。まず平戸藩主に挨拶を...
北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。

第640話 『虚々実々、南海の大戦まで半年か?』(1578/4/18) 

天正七年三月十二日(1578/4/18) マニラ 小佐々軍駐屯地 「なに? 知らぬだと? ふ、ふふふふふ。喰えぬ男のようだな、玄蘇げんそよ」 「は。なにぶん知らぬ存ぜぬの一点張りでして。されど、やつらは時間稼ぎをするつもりのようです」  景...
北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。

第639話 『景轍玄蘇、ヌエバ・エスパーニャ副王領、フィリピン総督フランシスコ・デ・サンデ・ピコンと相対す』(1578/4/8)

天正七年三月二日(1578/4/8) ビサヤ諸島 セブ島 「何? KOZASAの使者が来ていると? KOZASAというのは、あのKOZASAなのか?」  フィリピン総督のピコンは、伝令に対して聞き直した。 「はい。間違いありません。出で立ち...
北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。

第632話 『開戦か交渉か』織田と同盟国と北条と(1577/8/16)

天正六年|閏《うるう》七月二十五日(1577/8/16) 諫早城 <純正>  転生して15年。ようやくなんとか平和になってきたと思ったのに、上杉に北条、そしてまたスペインって。なんでみんな、戦争しに出るかなあ。  攻められないようにするため...
北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。

第607話 連合艦隊司令長官 深沢勝行(1574/8/18)

天正三年八月二日(1574/8/18)小佐々城 新たに編成された第四、第五艦隊の陣容は以下のとおりである。 ■第4艦隊(呉) 連合艦隊司令長官 深沢勝行大将 第4艦隊司令長官 佐々清左衛門加雲中将 第41戦列戦隊(41bd) 74門戦列艦 ...
北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。

第606話 新型戦列艦の就役と艦隊編成(1574/8/17)

天正三年八月一日(1574/8/17)小佐々城 一室  小佐々家は本家と中浦小佐々家、そして松島小佐々家の三家がある。  純正が本家の家督を継ぐ前から分かれてはいたのだが、11年前の永禄六年、葛の峠の戦いで本家の世継ぎと分家の当主二人が全て...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第593話 女真派遣団の帰国と蝦夷地開拓

天正二年四月十二日(1573/5/23) 諫早城  二年前の夏に始まった蝦夷地の開拓と入植は順調に進んでいた。  蝦夷地交易を独占的に任せている太田和屋弥次郎の交易船の運航とあわせて、人員の輸送も行われたのだ。  まずは大首長チパパタインの...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第577話 尚元王の死と万暦帝の即位

天正元年(1572)七月十九日  三ヶ月前に、純正の同盟国(通商和親・準安保)である、琉球王国第二尚氏王統の第五代国王である尚元王が崩御した。  特に名君というわけでもなく、普通の王であったが、古来より王朝の代替わりの際には政情が不安定にな...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第567話 国内と国外~ヌルハチの祖父とフェリペ二世~

天正元年(1572) 四月十四日 岐阜城  「ははっ」  長秀が苦笑いし、光秀や秀吉はわからないようにため息をしている。 「さて、加賀の、本願寺の動きはどうか?」 「は、謙信からの計略によって引き起こされた一揆にございましたが、それにより本...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第549話 謙信を囲む

天正元年 四月三日 卯の一つ刻(0500) 庄川東岸(大門新村) 上杉軍本陣 小雨 「申し上げます! 一里(3.927km)南に敵多数! 川を渡ってございます!」 「何い! ? 馬鹿な! 夜のうちに渡ったと申すか?」  昨日、日没後から降り...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第548話 織田と一揆と、隠尾城と千代ヶ様城

天正元年 四月二日 未二つ刻(1330) 庄川西岸(二塚村) 道雪本陣 曇りときどき雨 「申し上げます! 一条隊が布陣を終え、龍造寺隊は千代ヶ様ためし城に掛かりけり(攻撃した)候!」  道雪の本陣とわかれ南へ向かった二隊も、一条隊は布陣し、...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第546話 道雪と謙信。四月の庄川決戦~中盤戦へ

天正元年 四月二日 午二つ刻(1130) 庄川西岸(二塚村) 道雪本陣  戦闘開始から一刻(2時間)が経過し、放生津ほうじょうつ城からの伏兵と、それを防ぐために渡河した肝付・島津軍は乱戦となっていた。  伊東軍の先陣を包囲殲滅せんめつしよう...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第522話 第三師団長の憂いと伊集院忠棟、安国寺恵瓊ほか続々

天正元年(元亀三年・1572年) 三月十八日 阿波 橘浦   十三日に白地城下の駐屯地を出発した小佐々陸軍第三師団が、橘浦に到着したのは十八日の夕刻であった。  小田増光陸軍少将は兵に休息をとらせ、乗艦の段取りをすませて宿舎にいた。  ふと...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第520話 対上杉謙信 純正の調略と荷留・津留の経済封鎖

天正元年(元亀三年・1572年) 三月十六日 京都 大使館   純正は謙信が話し合いに応じ、戦う事なく拮抗状態が維持できればと考えていたが、やはりそれは出来なかった。  第二師団には尾張より木曽川を上って飛騨に入り、越中との国境である塩屋城...
緊迫の極東と、より東へ

第507話 肥前より能登へ、肥前松浦郡にて新旧相まみえる夜

天正元年(1572) 二月二十一日 肥前松浦郡 浦村 日高城(唐津市浦字浦川内) 小佐々純正   発 治部大丞 宛 権中納言  秘メ 織田軍 二日 越前ニ 討チ入リケリ  杣山そまやま城ニハ 六日ニ 掛カリケリ  城兵 善ク争フモ 翌七日 ...
緊迫の極東と、より東へ

第492話 明への外交対策……別に、いらんよな?

元亀二年 十二月十二日 諫早城 「御屋形様、台湾総督の若林中務少輔様より使者がお越しになっています」 「総督の? わかった、通すが良い」  純正は以前台湾問題を閣議で話し合った事を思い出した。  永禄十一年の事件の際、台湾出兵と再度の入植の...
緊迫の極東と、より東へ

第490話 台湾総督若林中務少輔鎮興、明国使節と相対す。

元亀二年 十一月二十六日  結局、石山本願寺は武器弾薬を破棄し、起請文を書いて信長に一万四千貫を支払うことで和睦を結んだ。  聖職者が起請文などおかしな話ではあるが、武装解除と起請文は信長の譲れない条件だったのだ。  起請文はいわゆる約束事...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第466話 青銅砲から鋳鉄砲へ、純正、難題を一貫斎に投げかける

元亀二年 七月十七日 諫早城  純正は先日、野田城陥落の報をうけ、京都の大使館内が騒然となったという報せを受けた。いや、野田城の陥落自体は問題ではない。問題はその後なのだ。  将軍義昭が挙兵した。  やっぱりか、と純正は思ったが、こればかり...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第426話 純正と秀安 裏の裏の裏の話

元亀元年 十月二十日 諫早城  小早川隆景との会談を終えた数日後、純正は朝食を食べ終わって、コーヒーを飲んで新聞『肥前新聞』を読んでいた。  第一回の遣欧使節が帰国したとき、グーテンベルクの活版印刷機を輸入していたのだ。  その後印刷機の仕...
新たなる戦乱の幕開け

第402話 若江三好家と摂津三好家と阿波三好家

元亀元年 五月二十二日 摂津 ※野田城 「なんですと? 気でもふれたのですか大叔父上?」  そう声をあげるのは阿波三好家当主であり、日本の副王と呼ばれた三好長慶の弟、三好実休の息子である※三好(彦次郎)長治である。 「気などふれておらぬ※彦...
西国の動乱、まだ止まぬ

第380話 遠い西の彼方へ。長宗我部元親の驚嘆の九州肥前紀行②

永禄十二年 十一月二十日 午一つ刻(1100) 府内 「これをこうやって送るのです」  そう言って宗悦は代金と書面を係に渡す。係は料金を確認して書面を伝達役に渡し、伝達役は何やら小屋を出て近くの見張り台まで走る。  見張り台の上では係は旗を...
西国の動乱、まだ止まぬ

第376話 かかった火の粉がいつの間にか四百万石②

永禄十二年 十一月十六日 諫早城 「そして日の本に戻るが、伊予は、いましばらくかかりそうじゃ。西園寺が、ふふふ、まあ、なんというか、塹壕とはな」 「ざん、ごう……? にございますか?」  龍造寺純家が質問する。純家は一門だから参加しているの...
西国の動乱、まだ止まぬ

第362話 vs.スペイン②サラゴサ条約とポルトガルとの連合

永禄十二年 十一月一日 諫早城  純正の誤算が二つあった。それはスペイン軍の兵力の過小評価と、友好条約を結んだ勢力が、各地域の主力の王ではなかった事だ。  スペイン軍の兵力は三百、多くても五百程度だと予想していた。  多くても五百なら、三千...
対島津戦略と台湾領有へ

第289話 従四位上検非違使別当叙任と将軍義昭と信長②

永禄十二年 四月 京都 信長の滞陣先 妙覚寺 「久しいな弾正大弼殿、いや、様の方がいいかな。息災であったか。ああそうだ、どうだ、五人は? 三月のはじめには着いておるだろう?」  相変わらずだなこの人は、と思いつつ純正は答えた。 「ありがとう...
北九州を二分する 二つの二虎競食の計

第160話 対信長外交団③

永禄十年 十一月 堺湊 鍋島直茂 「それはいったいどういう事でしょうか」  私は聞いた。 「はい、堺湊はご存知のように奈良平安の昔から、隋や唐への使臣派遣や貿易、国中の産物が行き交う湊として賑わってまいりました」  私と常陸介どのは真剣に聞...
北九州を二分する 二つの二虎競食の計

第172話 第二回練習艦隊 マカオ編

永禄十一年 二月 マカオ 籠手田安経 「なんだと! ? 賄賂を渡していた役人が処刑? 海禁は緩和したが、日本は認めない? 倭寇に協力したから信頼ができない、だと! ?」  明の海禁政策緩和で自由に貿易ができる! と思ったのも束の間だった。 ...
肥前争乱、淘汰するものされるもの

第95話 北がダメなら南にすすめ 俵石城攻略戦

十一月 小佐々城 小佐々弾正大弼純正 「さて、どうする?」  俺は深沢義太夫、深作治郎兵衛、藤原千方、沢森利三郎の四人と、特別参謀として佐志方杢兵衛を加えた五人で、戦略会議を行っていた。 「外務大臣、どうだ、外交状況が悪いところはあるか?」...
5強まであと7,000石(現在36,824石)

第88話 宇久純定という男

永禄七年 二月 五島江川城 宇久純定  五島は宇久純定(39)が統治していた。親平戸松浦勢力である。  いや、だったが正解だ。  純定の祖父が家臣の謀反で死に、父が逃亡先の平戸で育って、隆信の父興信の代に援助を受けて取り返したのだ。  しか...
5強まであと7,000石(現在36,824石)

第87話 空閑三河守光家、暗躍す。

永禄六年 十月 伊万里城下 「ごめんよ~」 「へい、らっしゃい! 何にしますか?」 「そうだなあ。まず酒一合と、あと、とりあえず何かみつくろって」 「かしこまりました~。酒一合におまかせ一丁~」  旅人だろうか。いくつもある飯屋で食事と一緒...
5強まであと7,000石(現在36,824石)

第82話 イエズス会と南蛮貿易

永禄六年 七月 小佐々城 小佐々弾正  千方が手の者を使って盗ませた、インドの管区長あての書簡(もちろん戻したが)にはこう書いてあった。  インド管区長様  その者、平戸の松浦を屈服させ、再び港として、使ってほしいと申しております。  ドン...
5強まであと7,000石(現在36,824石)

第81話 さて、どうする? 

さて、どうする?  某歴史ゲームなら、間違いなくセーブして一休みするか、じっくり今後の戦略を立てるところだ。  まず相神浦松浦あいこうのうらまつら家だが、爺様はまだ隠居しておらず、有馬からの養子、盛がいる。平戸の力を弱め、嫡男と次男は幽閉し...
横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に

第79話 数字は苦手なんだけどな、文系です。

改めて、周辺の勢力図と領内の状況を分析する。  言うまでもないが、最大の勢力は龍造寺だ。  基肄郡、養父郡、三根郡、神埼郡、小城郡を治めて二十万石。それに加えて従属の江上氏が約九万石だ。  次に有馬。衰えたとは言え、直轄地で六万七千石。  ...
横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に

第78話 母、沢森 吉野と妻、沢森 舞

沢森城 沢森政忠  結局、平戸松浦は平戸島内の川内村、大野村、平戸村、小引村、田浦村の三千七百八十石を割譲した。  松浦郡の海岸、街道沿いの二十四ヶ村の豪族たちも、あわせて一万一千五百八石。佐世保と同じやり方なので、ほぼ直轄地。  沢森は二...
横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に

第77話 艦上にて籠手田安経と日高資

条約締結の手続きが粛々と行われている頃、政忠は招待した松浦党四氏の代表と歓談していた。波多氏は、当主が元服したとはいえ若いので、代表の家老日高資が来ている。  伊万里氏は当主の伊万里純すみ、志佐氏は当主の志佐純昌だ。有田氏は史実では随分前か...
横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に

第76話 条約の落とし所。何を得て何を捨てるか。 

耳をつんざくばかりの轟音と揺れに、一同が態勢を崩したあと、 「ば! ! 何をやっている! やめぬか! 女子供もいるのだぞ!」  平戸松浦の家老達が血相をかえて怒鳴り散らす。刀に手をかけて振り上げようとする者もいたが、周りは味方の兵に囲まれて...
横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に

第75話 松浦へのネーバルプレゼンス 

俺の中で二人の処遇はもうすでに決まっていた。  隆信は切腹で、鎮信は出家。そしてどこかに幽閉する。  そしてこれは、かなり母上に泣きつかれて、情にほだされそうになったが、心を鬼にしてお願いした。  千寿丸を養子に出す。完全に平戸松浦を支配下...
横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に

第74話 平戸松浦氏の処遇 運命の岐路

同年 五月 沢森城 沢森政忠  さて最後は、これが一番の難事で、やり方によっては肥前の情勢を一変させる。我らが生きるも死ぬも、これにかかっていると言っても過言ではない。  ……。  主だった者を城に呼んで評定を開いた。  まずは俺の隣に親父...
横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に

第73話 674石から11,536石へ 佐志方杢兵衛

同年 五月  早岐城主の早岐甚助、日宇城主の日宇舎人とねり、井手平城主の岡甚右衛門、広田城主の遠藤千右衛門、鷹の巣城主の堀江大学らが沢森城に来た。  佐世保から宮の村までの諸豪族を連れて、佐志方城主、佐志方杢兵衛が沢森城へ来たのだ。その他、...
横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に

第69話 激突! 佐世保湾海戦③ 

■佐世保湾上 松浦隆信 「なんだこれは! わしは夢でも見ておるのか?」  八隻あった松浦水軍の船は五隻沈められ、海上は漕手、兵であふれかえっている。  残りの三隻も沢森海軍の関船と小早群に包囲され、海兵に乗り込まれて白兵戦が行われている。も...
横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に

第67話 佐志方杢兵衛、造反す。 

■龍岩城 佐志方杢兵衛 「殿! ご覧ください!」  眼下には南風崎から上陸した松浦軍が、ウンカの如く小佐々砦を攻めているのがはっきり見える。 「殿! ここに至ってはお家の為に造反も止むなし! 我らも共に小佐々を攻めましょう!」  筆頭家老が...
横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に

第66話 激突!佐世保湾海戦②

平戸松浦水軍 旗艦 艦上 松浦隆信 「申し上げます! 南東の方角、南蛮船がこちらに向かっています。その数三!」 「南蛮船だと?」  わしは遠眼鏡を出して覗き込む。たしかに南蛮の船だ。なんの用だ? この湾の港で貿易しているところなどないぞ。 ...
横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に

第65話 死闘!葛ノ峠の戦い②

「ええいまだか! まだ宮村城は落ちぬのか?!」  大村純忠は焦っている。  謀反と聞いて急いで討伐にやってきたが、正月の戦も癒えていない。兵糧の準備も完全ではないし、続く戦に兵の士気もあまり高くはない。 「申し訳ありませぬ。小峰城、蓮輪はす...
横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に

第63話 死闘!葛ノ峠の戦い①

永禄六年二月 小佐々城 小佐々純勝 「申し上げます! 宮村城の大村純種様、ご謀反にございます!」 「なに?」  おそらく、単独ではない。背後に後藤か松浦が控えているのであろう。  いずれにしてもこちらも出なければ、南風崎はえのさきの砦があぶ...
横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に

第62話 大友の代理戦争 有馬大村連合軍

永禄六年 正月 沢森城 沢森政忠  有馬義貞と大村純忠の連合軍一万が杵島から小城郡へ侵攻した。  今回の連合軍の意図は明確で、膨れ上がる龍造寺隆信の領土拡張を食い止めるためである。龍造寺は東肥前を統一し、北肥前の松浦衆を降しつつ、多方面で領...
横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に

第59話 マカオからの貿易船

永禄五年 十一月 沢森城  来た! きたきたきたきたきた~! ! 待望の船がきた! ! !  実はマカオとの定期便に頼んでいた。  その①フランキ砲  これはもう絶対。平戸松浦も所有しているため、同数以上もしくは高性能の大砲が必要だったから...