進軍

転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第159話 『一触即発! 琉球にて』

遡る事嘉永六年二月十九日(1853/3/28)  鹿児島城 「おお! これは肥前の宰相、太田和次郎左衛門殿! お会いしとうござった!」  少し|慇懃《いんぎん》無礼気味に見えるが、次郎はそれを感じつつも低姿勢で応対する。 「はは。英明なる豊...
北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。

第648話 『嵐の前の静けさ……レイテ沖海戦プロローグ』

天正七年五月五日 マクタン島 マゼラン湾 砲撃直後  砲撃の轟音ごうおんが響く中、偵察艦は全速力で退却を開始した。水しぶきを上げながら、急いで安全な距離を保つことを目指す。小佐々艦隊の圧倒的な火力に直面し、フアン艦隊の偵察艦内では怒号が飛び...
北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。

第646話 『ファーストコンタクト イン レイテ』

天正七年五月三日 レイテ島 カバリアン湾 スペイン軍基地  フアン艦隊からは3隻の偵察部隊が出港し、ゴイチの艦隊からは目が良い人員を厳選して見張り要員として派遣した。カバリアン湾のスペイン軍陣地からサンリカルドの岬までは約60kmである。 ...
北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。

第643話 『スペインの要塞、陥落続く』(1578/5/26)

天正七年四月二十日(1578/5/26) セブ島-ボホール島海域  ネグロス島のシブラン堡塁ほうるいと、セブ島南のリローン堡塁を壊滅させた第一・第二連合艦隊は、マニラにて補給と同時に乗組員を休息させ、残りの堡塁と要塞の壊滅に向かっていた。 ...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第603話 石山本願寺包囲戦(1574/5/21)

天正三年五月一日(1574/5/21)  純久からの連絡を受けた純正の行動は早かった。    三好の淡路水軍を用いて木津川口を封鎖し、海上からの補給路を断ったのだ。摂津の三好軍も動員して北側を封鎖し、南側は織田領で逃げ場はない。  京都の独...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第560話 城生城の落城と鎌田政年の討死。両軍、和議となるか?

天正元年 四月五日 酉四つ刻(1830) 越中 戸波村~鷲塚村 島津軍  巳の四つ刻(1030)から始まった島津軍と上杉軍の戦闘は、巧みに離合集散を繰り返して互角のまま推移していたが、もう間もなく日没になろうかという頃、唐突に終わりを告げた...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第554話 上杉謙信に後手後手の小佐々純正。起死回生、なるか?

天正元年 四月四日 日本海 「(おい、誠に、これは同じ、海なのか?)……!」 「ははは! だらしねえなあ旦那! それでも同じ海賊か? こんなもん凪なぎだ!」 「やかましい! 何も言うておらぬではないか! いささか驚いておるだけじゃ! 軍いく...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第541話 両軍激突直前! 両越騒乱、庄川の戦い、始まる。

天正元年 四月二日 寅三つ刻(0400) 越中 庄川周辺 曇り  庄川を渡河するにあたって、四つの地点があったが、道雪は一番近い中田村の瀬からの渡河は選択肢から外した。  一度に大量の兵が渡河することは可能だが、深いために身動きがとれない。...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第539話 接舷乗艦と火矢攻撃、第四艦隊壊滅??

天正元年 四月一日 午一つ刻(1100) 立花道雪 陣中 「殿、杉浦壱岐守様がお見えです」 「何? 壱岐守殿が?」  九州の武士である道雪にとって、杉浦玄任(1517~)は見知らぬ人物である。道雪以外の、一番近い摂津三好衆にとっても知ってい...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第536話 上杉謙信の離間の計と海上戦略

天正元年 四月一日 越佐海峡 霧島丸 巳の二つ刻(0930) 「長官、入られます!」  艦橋の当直下士官が告げる。 「どんな具合だ?」  長官の加雲は艦長に確認する。初日に数隻を拿捕だほして以来の艦船である。意気が上がり全艦に緊張が走る。 ...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第518話 軍神・上杉謙信との対決 島津義弘はじめ島津家はやはり戦闘民族だった?

天正元年 三月十四日 能登国鹿島郡 在能所口湊番所  原田孫七郎は能登在番として、七尾城への兵糧の搬入と、それを隠れ蓑にして鉄砲、武具、弾薬などの搬入も行っていた。  ちなみに滞在と活動資金に関しては、能登を通る小佐々商人から受け取っている...
緊迫の極東と、より東へ

第504話 加越同盟と越前の未来

天正元年(元亀三年・1572年) 二月六日 「敵大軍なれども われに地の利あり 心配に及ばず 一乗谷で 督戦 あれ」  一乗谷にあって全体を指揮していた義景のもとに、巳の一つ刻(09:00)に戦端が開かれたとの一報が入ったのは申一つ刻(12...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第466話 青銅砲から鋳鉄砲へ、純正、難題を一貫斎に投げかける

元亀二年 七月十七日 諫早城  純正は先日、野田城陥落の報をうけ、京都の大使館内が騒然となったという報せを受けた。いや、野田城の陥落自体は問題ではない。問題はその後なのだ。  将軍義昭が挙兵した。  やっぱりか、と純正は思ったが、こればかり...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第465話 小佐々純久とグネッキ・ソルディ・オルガンティノ

元亀二年 七月十六日 京都 大使館 「おお、これはオルガンティノ殿、久しいですね。どうされたのですか?」  京都でフロイスとともに布教をしているオルガンティノが訪問してきた。  オルガンティノはイエズス会の宣教師で司祭である。  昨年の元亀...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第454話 伯耆国岩倉城と備前国天神山城の行方

元亀二年 四月十七日 伯耆国 岩倉城 「おお、見よ! 駿河守様が後詰めとしてこられたぞ!」  城主の小鴨元清は、丸に三つ引両の吉川の旗印に小躍りして喜んだ。河村郡と久米郡、八橋郡の大部分を治める、国人領主の南条元継の弟である。  今回の一斉...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第450話 雑賀党と太田党、そして西国では嵐の前の静けさ

元亀二年 三月二十一日 京都大使館 「さて、まったく変なやつだと昔から思っていたが、その変わったやつが、ここまで家中を大きくしたのだからな。こたびの差配も、考えたら的を得ている」  小佐々治部少丞純久は、純正の書状をみながら、つぶやく。  ...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第448話 信玄、動く。

元亀二年 三月四日 諫早城  発 純久 宛 近衛中将  秘メ ◯二二六 信玄 甲府ヲ 発テリ 東美濃ヨリ 三河 ナラビニ 駿河ヨリ 遠江ヘ 二手ニ ワカレ 進ム模樣 コノ報セ 弾正忠様ニモ 送リケリ 秘メ ◯三◯一  京都大使館の純正から、...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第442話 武田信玄の3つの選択肢

元亀元年 十二月二十日  甲斐の武田信玄には、どこに侵攻するか、三つの選択肢があった。一つは越後、もう一つは美濃、そしてもう一つは遠江三河である。  一つ目の越後の上杉謙信だが、昨年の永禄十二年の八月には和議が成立している。  しかし開戦の...
新たなる戦乱の幕開け

第396話 第一次信長包囲網……ならず?

元亀元年 四月  結局連合軍は義景に打撃を与えることなく、浅井長政は朝倉義景と和議を結び、近江へ戻った。  それに対し信長は何も言わなかった。義景は目の上のたんこぶであったが、いますぐに排除しなければならない敵ではない。  それに加賀の一向...
新たなる戦乱の幕開け

第394話 六分儀の完成と、果てしなき正確な時計への渇望

元亀元年(1570) 三月 諫早城  三好日向守(長逸)殿、並びに三好下野守(宗渭)殿、岩成主税助(友通)殿  既に御聞きと存じ候えども、先の先の将軍を弑し奉りし大罪のため、御幕府より追討の命を受け候。その執行はそれがしの一任となる旨、肝に...
西国の動乱、まだ止まぬ

第383話 鎮西平定ナレドモ四国ハ西園寺ガ残リケリ

永禄十二年 十二月二日 丑一つ刻(0100)諫早城  隣国に攻められたり飢饉の発生や疫病など、一刻をあらそう場合は、深夜であれ純正の元には緊急通信が入ってくる。迅速な対応が求められるからだ。  発 石宗衆 宛 総司 秘メ ※島津義虎謀反 東...
西国の動乱、まだ止まぬ

第382話 永禄十二年 十二月一日 庄内の乱、東郷の乱。

永禄十二年 十二月一日 巳の一つ刻(0900)薩摩  薩州島津家当主、※島津義虎が動いた。  南下して、二十年も抗争を続けてきた東郷氏の旧領を攻めたのだ。  東郷氏は渋谷一族の分家で、祁答院氏や入来院氏とともに島津家と戦ってきたが、すでにす...
西国の動乱、まだ止まぬ

第353話 予土戦役、黒瀬城攻防戦①恐るべき元黒瀬七城と新しき防衛戦法

永禄十二年 十月二十三日 伊予南西部 宇和郡   伊予の国人の調略は順調に進んでいたものの、西園寺の攻略が遅々として進んでいなかった。  宗麟の本隊は宿毛城から伊予に入った。  別働隊は鷲が森城より伊予に入っていたのだが、敵の防御が妙だった...