なにがし

転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第252話 『長井雅楽と航海遠略策。長州と斉彬に迫る影』

万延元年十月二十五日(1860/12/7) 「馬鹿馬鹿しい。然様な些末な事に頭を使うなら、もっと他に為すべき事も考えるべき事もあるでしょう」 小栗上野介は御大老安藤信正の問いに事もなげに答えた。「ふっ……。些末な事か。相変わらず豊後守(当時...
北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。

第639話 『景轍玄蘇、ヌエバ・エスパーニャ副王領、フィリピン総督フランシスコ・デ・サンデ・ピコンと相対す』(1578/4/8)

天正七年三月二日(1578/4/8) ビサヤ諸島 セブ島「何? KOZASAの使者が来ていると? KOZASAというのは、あのKOZASAなのか?」 フィリピン総督のピコンは、伝令に対して聞き直した。「はい。間違いありません。出で立ちはもち...
北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。

第638話 『調略、そして調略』(1578/3/2)

天正七年一月十四日(1578/3/2) 呂宋国 カラバルソン地方 当たり前だが、小佐々家はスペインとの国交はない。 それでも以前から現地住民とは交易してきた。緩衝地帯ではないが、情報収取を含めて常日ごろからコンタクトをとっておくことで、行動...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第552話 阿尾城陥落の真実と能登所口湊

天正元年 四月四日 辰一つ刻(0700) 能登 射水郡 千久里城「おお! 無事であったか!」 庄川東岸(広上村)の道雪本陣で報告してきた家臣より、妻と嫡男の無事は聞かされていたが、実物を見てほっと胸をなで下ろす菊池武勝である。 千久里城は、...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第462話 友、勝行の変貌と純正の決意:マニラ沖海戦の教訓と課題

元亀二年 七月五日 諫早城「殿、肥前介様がお見えになりました」「うむ、通せ」 諫早城の執務室で政務を執っている純正のもとに、海軍総司令の深沢肥前介勝行が現れた。 勝行は官位には全く関心がなかったが、西国を統べる大国小佐々の閣僚が無位無冠では...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第451話 吉田郡山城にて、一体何を拠所とするのか?

元亀二年 四月八日  三河方面の山県・秋山の別働隊と、遠江の信玄本隊からなる武田の西上軍は、服属を願い出てきた将兵や降伏した城の兵をあわせると、七千人あまり増加していた。 三河では奥三河の山家三方衆、遠江では北遠江の天野景貫らをはじめとした...
新たなる戦乱の幕開け

第392話 三好三人衆と浅井長政

元亀元年 一月十六日 京都 妙覚寺 信長の前には、光秀と秀吉、そして滝川一益の3人が並んで座っていた。光秀は言葉には出さないが、明らかに不満げである。 昨年の6月に光秀と秀吉、そして滝川一益に小佐々の件について意見を聞き、一益にいたっては鉄...
西国の動乱、まだ止まぬ

第373話 土佐安芸郡一揆⑤陰のフィクサー?小佐々治部少丞純久

永禄十二年 十一月十五日 京都 室町御所「公方様、小佐々弾正大弼純正が家臣、小佐々治部少丞純久にございます」 純久は京都にあって大使として各国(各勢力)の重要人物と会うことが多いが、義昭は少し面倒くさいので、必要最小限にしていたのだ。 しか...
西国の動乱、まだ止まぬ

第366話 観音寺騒動ならぬ三雲騒動

永禄十二年 十一月十日 南近江 三雲城 織田信長の圧倒的な軍事力の前に、昨年の永禄十一年、六角氏の主城である観音寺城が落とされた。 実際には支城である箕作城がわずか一日で落とされ、次いで和田山城の城兵の離散にともない、守れぬと判断しての逃走...