援軍

東アジアの風雲

第772話 『朝鮮出兵』

天正二十年五月十三日(1591/7/3) 諫早城「暑い! そして蒸し暑い!」 ぐちぐちと文句を言いながら、その様相とは真逆の立ち居振る舞いで周囲を困惑させる人物が、諫早城の会議場へやってきた。その人物とはもちろん……。 肥前国海軍艦隊総司令...
東アジアの風雲

第771話 『明からの冊封と肥前国からの冊封。肥前国、朝鮮出兵となるか』

天正二十年四月十日(1591/6/1)「その儀とは、一体何であろうか?」 宣祖はわかっている。肥前国からの冊封を受ける時期がきたのではないか、使者はそう言いたいのであろう事を。 明からの使者である沈惟敬しんいけいの要求は朝鮮にとって過大であ...
東アジアの風雲

第767話 『ヌルハチと哱拝と楊応龍、そして純正』

天正十九年十二月二十四日(1591/1/19) 肥前諫早 諫早城にある純正の執務室は、静寂に包まれていた。窓の外を見下ろせば、城下を東西に流れる本明川が穏やかに広がり、見上げると未だ明けきらぬ空がどこまでも続く。 朝靄あさもやが海面を覆い、...
東アジアの風雲

第766話 『哱拝対魏学曽。石嘴山の戦い』

天正十九年九月十七日(1590/10/15) 寧夏鎮ねいかちん 天正十九年四月八日(1590/5/11)に魏学曽が固原鎮こげんちんに駐屯して5か月がたっていた。 哱拝ぼはい軍と明軍の兵力を考えれば、明軍が倍以上であるがその士気は低く、仮に魏...
東アジアの風雲

第761話 『北方三国同盟と明の滅亡への序曲』

天正十九年五月十一日(1590/6/12) 紫禁城「兵はいる。だが動かすことは難しいだろう」 内閣大学士の申時行は誰に告げるわけでもなく、静かに、淡々と述べた。「100万の兵を抱え、各地の衛所にも精鋭がいる。しかし……」「軍餉ぐんしょう(兵...
東アジアの風雲

第760話 『乱、その後』

天正十九年四月八日(1590/5/11) へトゥアラ「申し上げます! 明国、寧夏鎮ねいかちんの副総兵、哱拝ぼはい殿の使者がお越しになっております」「なに? 明の? ……よし、通すがよい」 建州女真の首都であるへトゥアラの政庁で政務をとってい...
大日本国から世界へ

第742話 『籠手田安経と三度、イスパニアの影』

天正十七年二月二十七日(1588/3/28) 純正が向かう東南アジア総督府はカリマンタン島のクチンにあり、ブルネイ県・スラウェシ県・インドネシア県・ニューギニア県・オーストラリア県の広大な領域を統括する総督府である。 陸地面積だけでルソン地...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第674話 『御館の乱の終結と北条からの返事』(1579/10/8) 

天正八年九月十八日(1579/10/8)  徳川勢の奥三河侵攻によって北信より撤退を余儀なくされた武田軍であったが、奥三河がすでに家康の手中となり、奪還が不可能と判断した勝頼は、軍勢を再び北信へ戻す事となった。 景勝・景虎両陣営の和睦を図っ...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第671話 『上洛要請のその後と景勝vs.景虎始まる』(1579/6/15)

天正八年五月二十一日(1579/6/15)  小田原城「……! おのれ純正め! このわしに上洛せよだと? なにゆえわしが、成り上がり者の純正に頭を垂れに京まで出向かねばならぬのだ」 純正からの手紙を読んだ氏政は怒り心頭である。  上杉家の家...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第670話 『氏政の考えと御館の乱。そしてようやく雷酸水銀』(1579/6/5) 

天正八年五月十一日(1579/6/5)  京都 大使館「構いなし、か」 純久は純正からの通信を読んで一言つぶやいた。 要するに主眼が北条への上洛要請であり、上杉に関しては関知しないという事だが、この時点で付き合いはないので、どっちの味方もな...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第666話 『北条軍上総上陸! 義重軍防戦一方となる』(1579/4/30) 

天正八年四月五日(1579/4/30) 上総 椎津城 「申し上げます! 敵襲! 北条にございます!」「なにい! ? 数は?」「数は不明! まず先手として千葉の二千が国境を越えて向かって来ております!」 「急ぎ備えを固めよ! 久留里城に遣いを...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第665話 『房総騒乱、義頼起つ』(1579/4/25)

天正八年三月三十日(1579/4/25) 久留里城 義弘没後 四十九日 義弘の四十九日の法要が終わった。 元服し里見義重となった梅王丸の前に立ち、一礼して去る一団があった。里見義尭たかの息子で義弘の弟であり、義重が生まれるまでは義弘の養子と...
北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。

第653話 『レイテ沖海戦~伍~起死回生と窮途末路』(1578/6/23)12:00

天正七年五月十八日(1578/6/23)12:00 接敵地点より南へ20km カバリアン湾沖東22km地点 「提督! 前方に艦影あり! 敵艦と思われます! 多数!」 ゴイチ艦隊旗艦の見張りが大声で報告する。「ちくしょう。もう来やがったか」 ...
北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。

第652話 『レイテ沖海戦~四~千変万化。機を見るに敏であれ』(1578/6/23) 09:00 

天正七年五月十八日(1578/6/23) 09:00 カバリアン湾沖東18km「司令官! 敵、カバリアン湾ではなくなおも北上、アナハワン沖へ北上しております!」 「なに! ? ばかな! 敵の本隊はカバリアン湾におるのではないのか? なぜ北上...
北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。

第640話 『虚々実々、南海の大戦まで半年か?』(1578/4/18) 

天正七年三月十二日(1578/4/18) マニラ 小佐々軍駐屯地「なに? 知らぬだと? ふ、ふふふふふ。喰えぬ男のようだな、玄蘇げんそよ」「は。なにぶん知らぬ存ぜぬの一点張りでして。されど、やつらは時間稼ぎをするつもりのようです」 景轍玄蘇...
北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。

第639話 『景轍玄蘇、ヌエバ・エスパーニャ副王領、フィリピン総督フランシスコ・デ・サンデ・ピコンと相対す』(1578/4/8)

天正七年三月二日(1578/4/8) ビサヤ諸島 セブ島「何? KOZASAの使者が来ていると? KOZASAというのは、あのKOZASAなのか?」 フィリピン総督のピコンは、伝令に対して聞き直した。「はい。間違いありません。出で立ちはもち...
北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。

第637話 『通商破壊か、要塞各個撃破か、サン・ペドロ要塞壊滅か』(1578/1/9)

天正六年十二月二日(1578/1/9) マニラ 小佐々軍駐屯地 「……さて、こたびの作戦目標であるが、皆も知ってのとおり、明とイスパニアの同盟が明確になった以上、機先を制してこのアジアからイスパニア勢力を駆逐する事にある」 海図を前に、全員...
北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。

第619話 琉球王国、日本(小佐々)に冊封? 明西同盟成立と揺れ動く極東情勢(1575/2/20)

天正四年一月十日(1575/2/20) 諫早城景轍てつ玄蘇は明・朝鮮・琉球・東南アジア・ポルトガル・スペイン他欧州など国外の渉外を管轄している責任者である。「玄蘇よ、その琉球がいかがした?」「は。いよいよもって琉球の明離れが著しく、明の冊封...
北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。

第615話 関東騒乱終結。北条の勢力拡大と、宇都宮と佐竹の弱体化(1574/10/27)

天正三年十月十三日(1574/10/27) 交渉3日目 茂木城「陸奥守殿、そう譲れぬ譲れぬの一点張りでは、決まるものも決まりませぬ。ここは関東の雄、大国としての徳と民への慈愛をもって、為すべき事を為すほうが良いかと存ずるが、いかに」(……肥...
北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。

第606話 新型戦列艦の就役と艦隊編成(1574/8/17)

天正三年八月一日(1574/8/17)小佐々城 一室 小佐々家は本家と中浦小佐々家、そして松島小佐々家の三家がある。 純正が本家の家督を継ぐ前から分かれてはいたのだが、11年前の永禄六年、葛の峠の戦いで本家の世継ぎと分家の当主二人が全て討死...
北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。

第605話 対北条戦略と対明経済戦略

天正三年七月二十五日(1574/8/11) 日ノ本大同盟合議所「皆様、よろしいでしょうか?」 発言したのは里見家家老、正木左近大夫さこんのたいふ(従五位、左近衛将監さこんえのしょうげん)頼忠である。 大同盟合議所では、加盟している大名家の名...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第587話 織田信長と武田勝頼の密談会盟。軍事行動合議制の可否

天正二年 一月十四日(1573/02/16) 夜 近江国蒲生郡 武佐宿村 織田宿舎「殿、いかがなさるおつもりですか?」「左様、このままでは織田は完全に小佐々の下風に立ち、顔色をうかがわねばならなくなりますぞ」 光秀の言葉に秀吉が同調する。珍...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第574話 上杉戦の反省と留学生の今後

少し遡って天正元年(1572) 三月三十日 諫早城 織田信忠 小佐々の殿様、権中納言様が上杉と軍いくさをなさっているさなか、春休みという事でわれらはいったん故郷へ帰り、元服を済ませた。 父は今年の三月が中学の終わりで、小佐々の領民は卒業後は...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第561話 和睦交渉を左右する所口湊の海戦と七尾城の戦い

天正元年 四月六日 巳の一つ刻(0900)「なんぞ(何だ)あれは? 如何いか様にも(どうみても)兵船ではないか! 然しかも、上杉の兵船、船手衆ではないか!」 来島通総と得居通幸が、七尾湾に停泊する三百艘の上杉水軍の軍船を発見したのだ。「なに...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第559話 立花道雪の包囲vs.上杉謙信の包囲

天正元年 四月五日 午三つ刻(1200) 能登 輪島沖「兄上、然れど昨日の三国湊は妙でしたね。煙が上がってました。君子危うきに近寄らずで、通り越して塩屋湊に寄りましたが、なにかあったんでしょうか」「助兵衛(来島通総)よ、いや殿。いい加減慣れ...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第554話 上杉謙信に後手後手の小佐々純正。起死回生、なるか?

天正元年 四月四日 日本海「(おい、誠に、これは同じ、海なのか?)……!」「ははは! だらしねえなあ旦那! それでも同じ海賊か? こんなもん凪なぎだ!」「やかましい! 何も言うておらぬではないか! いささか驚いておるだけじゃ! 軍いくさでは...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第535話 決戦前夜 上杉軍28,000(?)vs.立花道雪軍50,000

天正元年 四月一日 越中 増山城 巳の一つ刻(0900)「おや? 孫三郎殿、いささか勢ぜいが少ないのではないか?」 越中における上杉勢の最前線である神保氏の居城増山城で、到着早々謙信は、神保の現当主である長住に尋ねる。「面目次第もございませ...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第531話 風神・雷神。畠山義慶の苦悩と決断

天正元年(1572) 三月二十八日 京都 大使館 先日十三日の御申出、石山の御坊の御意趣(石山本願寺の意向)にも沿うものにて、お受け致したく存じ候。 以後は幾久しく誼よしみを通わし、盛んに商いを行いたく存じ候。 さて、権中納言様(純正)にお...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第528話 越後の龍 上杉謙信、春日山を発つ

天正元年 三月二十五日 越後 春日山城「御実城様、出立の支度、整いましてございます」 時は今 春の露見し 軍兵と いざ我ゆかん 以後の和のため これも、この世界の後世に残るかわからない。 上越と春日山城周辺の軍勢の集結を聞いた謙信は、白綸子...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第516話 上杉謙信・越後の龍を阻む者達 純正、近江にて織田信長と会談す

天正元年(1572年) 三月十二日 近江国蒲生郡 武佐宿村 小佐々織田合議所 近江国蒲生郡武佐宿村(滋賀県近江八幡市武佐町)に、小佐々家と織田家の会議を行う施設が建てられている。 基本というか、岐阜城であったり小佐々の大使館では、いろいろと...
緊迫の極東と、より東へ

第504話 加越同盟と越前の未来

天正元年(元亀三年・1572年) 二月六日「敵大軍なれども われに地の利あり 心配に及ばず 一乗谷で 督戦 あれ」 一乗谷にあって全体を指揮していた義景のもとに、巳の一つ刻(09:00)に戦端が開かれたとの一報が入ったのは申一つ刻(12:3...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第460話 海軍再建計画と山陰山陽大街道計画

元亀二年 五月二十四日 姫路城 純正は五月十二日には塩置城に入り、赤松義祐と三木道有の仕置をした。 すでに毛利・小早川・三村の連合軍は、播磨北部の国人を制圧して城下に集まっており、宇喜多・陸軍連合軍も沿岸の城を制圧して集結していた。「みな、...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第456話 不完全な信長包囲網

元亀二年 四月二十五日 因幡 鹿野城 発 純久 宛 近衛中将 秘メ 二俣城 危うし 天方城ヲハジメ 北遠江ノ 諸城 コトゴトク 落チリケリ サラニ 北条ノ 援軍アリテ 徳川 後詰メ ナラズ 一言坂ニテ 敗レリ 秘メ 三河の北東部と遠江の北部...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第455話 悪人?吉川駿河守元春

元亀二年 四月二十一日 伯耆国 岩倉城 吉川元春の軍勢が岩倉城を包囲した翌日、美作の小田草城へ向かっていた南条元続は急報を受けた。急ぎ陣払いをして岩倉城の救援に向かったのだが、すでに城は落とされた後であった。 吉川軍の裏切りという事態と明ら...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第454話 伯耆国岩倉城と備前国天神山城の行方

元亀二年 四月十七日 伯耆国 岩倉城「おお、見よ! 駿河守様が後詰めとしてこられたぞ!」 城主の小鴨元清は、丸に三つ引両の吉川の旗印に小躍りして喜んだ。河村郡と久米郡、八橋郡の大部分を治める、国人領主の南条元継の弟である。 今回の一斉挙兵に...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第452話 小早川隆景の苦悩と衝撃の告白

元亀二年 四月八日 吉田郡山城「なるほど。では左衛門佐殿は、兄弟ゆえ、兄である駿河守殿が謀反を起こすはずはない。兄はそのような男ではない、と?」 小早川隆景はまっすぐ純正の顔を見ている。輝元も口には出さないが目で語っている。「しかしのう、左...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第449話 御教書発給と将軍義昭の御内書疑惑

元亀二年 三月十一日 諫早城 発 純久 宛 近衛中将 秘メ ◯三◯三 信玄 兵越峠ヨリ 遠江 入レリ 山県 秋山 奧三河 侵攻セリ 徳川 浜松ニテ 籠城 織田ノ 援軍 待テリ 秘メ ◯三◯六「直茂よ、弾正忠殿はいま、どのあたりであろうか? ...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第448話 信玄、動く。

元亀二年 三月四日 諫早城 発 純久 宛 近衛中将 秘メ ◯二二六 信玄 甲府ヲ 発テリ 東美濃ヨリ 三河 ナラビニ 駿河ヨリ 遠江ヘ 二手ニ ワカレ 進ム模樣 コノ報セ 弾正忠様ニモ 送リケリ 秘メ ◯三◯一 京都大使館の純正から、信玄が...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第439話 第2.5次信長包囲網への序曲 山は動くか

元亀元年 十一月 純正が西日本大会議を開いているそのころ……。 ■石山本願寺「和議に応じぬとはどういうことだ! 信長は本当に長島を滅ぼす気か? あやつは仏罰が怖くないのか?」「上人様、やはり公方はあてになりませぬ。信長になめられて、言う事を...
新たなる戦乱の幕開け

第418話 謀将宇喜多直家の処世術~生き残りのための3つの方策~

元亀元年 十月三日 岡山城「なに? 宗景が小佐々の使者と会っておっただと? いつじゃ?」 宇喜多直家は、決裁書類を読んでいた手を止めて聞く。「は、一昨日、小豆島の小海城山城(おみじょうやまじょう)にて、会談が開かれたもようです」 重臣の戸川...
新たなる戦乱の幕開け

第404話 正四位下近衛中将源朝臣小佐々平九郎純正となる、のか?

元亀元年 六月十日 諫早城 小佐々純正 いや、近衛中将って、俺は検非違使もやってるんだよ? え? 兼任? いいよ、別に。肥前から動かないから。どうせまた叔父上から嫌み言われるんでしょ? いやだよ。 そもそも近衛大将とか中将って誰かやってなか...
西国の動乱、まだ止まぬ

第365話 土佐安芸郡一揆、安芸千寿丸改め弘恒蜂起する。②

永禄十二年 十一月七日 京都 在京小佐々大使館 親泰、我が家中の重き臣として、深き憂いの報せを伝えん。 去る十月三十一日、安芸郡伊尾木村にて一揆起こりて勢い強く、江川村、土居村へと広がりつつあり。 さらには、我が軍がかつて討ち取った安芸国虎...
肥前争乱、淘汰するものされるもの

第94話 西郷 純堯 深堀純賢 動く

永禄七年 十一月 高城 西郷純堯(今しかない。仏敵大村純忠を討つのは、今しかない) 高城城主の西郷純堯は思った。妻は有馬義貞の姉で、妹は大村純忠の妻である。親類縁者でも容赦なく敵になる、それが戦国時代だ。 キリシタンの教えにかまけ、自らもキ...
肥前争乱、淘汰するものされるもの

第92話 龍第造寺、須古城を攻める。

永禄七年 十月 佐賀龍造寺城「出陣じゃ。須古城を落とす」少弐氏滅亡後の事後処理をすばやく終わらせ、稲の刈り取りを待っての出陣である。鍋島直茂はじめ副島左近充、広橋信了のぶひろ、納富のうとみ信景などあわせ、六千名である。「わはははは! 平井経...
5強まであと7,000石(現在36,824石)

第81話 さて、どうする? 

さて、どうする? 某歴史ゲームなら、間違いなくセーブして一休みするか、じっくり今後の戦略を立てるところだ。 まず相神浦松浦あいこうのうらまつら家だが、爺様はまだ隠居しておらず、有馬からの養子、盛がいる。平戸の力を弱め、嫡男と次男は幽閉してい...
横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に

第78話 母、沢森 吉野と妻、沢森 舞

沢森城 沢森政忠 結局、平戸松浦は平戸島内の川内村、大野村、平戸村、小引村、田浦村の三千七百八十石を割譲した。 松浦郡の海岸、街道沿いの二十四ヶ村の豪族たちも、あわせて一万一千五百八石。佐世保と同じやり方なので、ほぼ直轄地。 沢森は二万石程...
横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に

第63話 死闘!葛ノ峠の戦い①

永禄六年二月 小佐々城 小佐々純勝「申し上げます! 宮村城の大村純種様、ご謀反にございます!」「なに?」 おそらく、単独ではない。背後に後藤か松浦が控えているのであろう。 いずれにしてもこちらも出なければ、南風崎はえのさきの砦があぶない。 ...
二島五ヶ村の領主 無双≠生き延び スタート

第48話 永禄五年 大友義鎮、動く

同年 四月 沢森城 沢森政忠「大友義鎮は少弐家を再興すべく、少弐政興を擁立いたしました」 やっぱりかあ!  千方の報告に、文字通りの感情が湧き上がった。これからいよいよきな臭くなるぞ。一歩間違えば家が潰れる。 最悪、相神浦や大村が潰れても、...
二島五ヶ村の領主 無双≠生き延び スタート

第47話 後藤家嫡男の誕生と暗雲

「殿、至急お知らせしたき儀がございます」 なんだ? いい話か悪い話か?「武雄後藤家、嫡男誕生の由にございます」「なに?」  俺は声に出してしまったが、何かを心の中でぐっと押しつぶした。それは感情を押し殺すとかではない。歴史通りに動いている確...
歴史改変仕方ない。やること多すぎです。

第22話 海峡封鎖作戦 蛎浦の海戦④

未の初刻 四半刻後(午後一時半ごろ)「申し上げます! 港の民家は焼失しておりますが、損害は軽く、民の被害もありませぬ」「ほう。むだな殺戮はせぬ、か」 政忠達は島の北端を迂回して島の陰に隠れていたのだが、けもの道から山頂の金毘羅神社を越えて港...