船乗り

転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第176話 『幕府海軍と通訳と転炉』

■嘉永七年四月一日(1854/4/27)  次郎はあまり幕府のやることに干渉はしたくなかったが(面倒くさいので)、ことこの条約に関しては、日本の未来を左右する重大事なので、大村で黙っている訳にはいかなかった。  純顕は一回目のペリーとの会談...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第142話 『商船学校と海軍兵学校』(1851/11/28) 

嘉永四年十一月六日(1851/11/28)   大村藩で最初の洋式帆船の船乗りは、深澤家の漁師である。  14年前に捕鯨衆深澤組の復活を条件に、出島のオランダ商館に入り浸り、洋式帆船の造船術や操船術、航海術を時間をかけながら習得した者達だ。...
転生したら弱小領主の嫡男でした!!元アラフィフの戦国サバイバル

第141話 『蝦夷地開発の上書と小曽根乾堂』(1851/11/6) 

嘉永四年十月十三日(1851/11/6)  江戸城 「伊勢守殿(阿部正弘)、蝦夷の伊豆守殿(松前崇広)より上書が来たとか。随分と真剣なお顔でござるが、如何いかなる内容だったのでござろうか」  牧野忠雅は、険しい顔をしながら書類を見ている阿部...
北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。

第608話 織田海軍と小佐々海軍(1574/9/16)

天正三年九月二日(1574/9/16)志摩国  小佐々海軍連合艦隊は、深沢勝行大将の指揮の下、航行訓練もかねて8月3日に佐世保湊を出港した。    六分儀を製作し、誤差の少ない時計を完成させたとしても、まだ完全な日本近海の海図はない。  し...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第37話 『鯨組の復活とペニシリン』(1839/11/26)

天保十年十月二一日(1839/11/26) 肥前彼杵そのぎ郡 江島村 『深澤』ではなく『益富』と掲げられた屋敷では、見かけでは20歳になるかならないかという男が、他の男衆に声をかけながら作業を行っていた。 「御免候、こちらに深澤太郎殿はおら...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第17話 『大村藩の食糧事情とその改善。全国平均ってどうなんだ?』(1837/5/19)

天保八年 四月十五日(1837/5/19)  サツマイモ(唐芋)はサツマ(薩摩)、つまり今の鹿児島県に、江戸時代に琉球王国(現・沖縄県)を経て伝来したと言うのが定説だ。  そしてその後、広く栽培されて全国に広まった。  しかし実はそれよりも...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第527話 上杉領経済封鎖 すべての津、浦、湊で津留をいたす。

天正元年 三月二十四日 越後 柏崎沖  佐々清左衛門加雲少将率いる、小佐々海軍第四艦隊の陣容は次の通りである。  旗艦 戦艦 霧島丸(500トン)   二番艦 重巡足柄(400トン)   三番艦 重巡羽黒(400トン)    四番艦 軽巡阿...
緊迫の極東と、より東へ

第512話 能登にて七人衆との会談と、岐阜での一節

天正元年(元亀三年・1572年) 三月五日 能登国 |鳳至《ふげし》郡 天堂城  純正一行は天堂城下で昨日歓待を受け、翌日登城して改めて挨拶を受けた。 「畠山修理大夫義慶よしのりにございます。権中納言様におかれましては、ことさら西国より能登...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第471話 五畿七道から五畿八道へ。蝦夷地開拓事始め。

遡って元亀二年 七月十九日 蝦夷国 松前 「夏だというのに……まったく暑くありませんね。旦那様」 「そうだな、藤兵衛。まあ、これだけ北に来ればそうなるのだろうな。私にとってもここまで北に来るのは初めてなのだ」  九州の肥前から蝦夷地の松前に...
新たなる戦乱の幕開け

第394話 六分儀の完成と、果てしなき正確な時計への渇望

元亀元年(1570) 三月 諫早城  三好日向守(長逸)殿、並びに三好下野守(宗渭)殿、岩成主税助(友通)殿  既に御聞きと存じ候えども、先の先の将軍を弑し奉りし大罪のため、御幕府より追討の命を受け候。その執行はそれがしの一任となる旨、肝に...
西国の動乱、まだ止まぬ

第363話 元第二分隊航海科の純正、六分儀の製作に携わる?

永禄十二年 十一月 諫早城天守 天文台  寒い、しかし冷えて眠気覚ましにはちょうどいい。  九十郎秋政が観測をしていた。諫早城天守に設けられた観測用天文台だ。天守からも渡れる構造になっているが、天文台側からは天守には入れない。  純正の足音...
西国の動乱、まだ止まぬ

第360話 予土戦役、黒瀬城攻防戦③裏切りが裏切りを呼ぶ?宗麟の予感は当たるのか

永禄十二年 十月二十五日 伊予 長浜村(愛媛県大洲市長浜町)  宗麟たちは占領した板島城(愛媛県宇和島市和霊町)より河後森城(北宇和郡松野町富岡)へ抜けた。  その後北上して三滝城(西予市城川町窪野)、さらに北上して宇都宮領の伊予曽根城(喜...
歴史改変仕方ない。やること多すぎです。

第19話 海賊の誇り 初陣への覚悟 蛎浦の海戦①

四月九日 午の正刻 四半刻すぎ(正午十二時半)ごろ  部屋で具足をつけていると、どたどたどた! と廊下を早歩きしてくる音がして、聞き耳をたてる。 「殿!」  どなるでもなく、叫ぶでもなく、ある種強い確認めいた意思を感じる声を、俺は聞いたこと...