密約

転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第217話 『長崎亜墨利加商館と管理貿易』

安政四年十二月二十四日(1858/2/7)  「おい、そこの本棚はもう少し左だ。そう、角に台を置くからな。ああ、それそれ、その花瓶を台に置いてくれ。何もないと殺風景だからな。後で花を生ける」 「はい、かしこまりました」  1854年に長崎に...
天下百年の計?

第733話 『北常陸県、那珂湊にて三大名と』

天正十六年二月二十五日(1587/4/2)北常陸県 那珂湊 湊御殿  那珂湊は下野国那須郡から常陸国を貫流して太平洋に注ぐ那珂川の河口部に位置し、水戸などの同河川流域と海路を結ぶターミナルとして栄えていた。  とは言っても、規模で考えれば堺...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第187話 『安政二年の正月』

安政二年一月二日(1855/2/18)  日本は去年、まずアメリカと三月三日に和親条約を締結した。  次いでイギリスとは八月二十三日に結び、オランダとは十一月二十三日に締結。ロシアとは元号が替わって安政元年となる十二月二十一日に締結した。 ...
天下百年の計?

第702話 『公方の京都帰還と北条の減封、佐竹と宇都宮』

天正十一年十二月二日(1582/12/26)  小田原御所 「嫌じゃ嫌じゃ! 何ゆえ余が官を辞して上洛し、信長と純正に頭を垂れねばならぬのだ!」  新政府からの通達を聞いた義昭は、書状を破り捨て、激昂げきこうしている。  新政府の情報を探り...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第134話 『魚油・干鰯の増産と藩士続々』(1851/4/16)

嘉永四年三月十五日(1851/4/16) 江戸城御用部屋 上の間  江戸城には緊張感が漂っていた。  大村藩主純顕あきと家老の次郎が数名の幕閣と対峙じしている。老中首座である阿部正弘が静かに口を開いた。 「大村丹後守殿、本日はお越しいただき...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第660話 『明国と北条』(1578/12/2) 

遡って天正七年八月十七日(1578/9/18)  「申し上げます! 呂宋にて、シーバンニャ(西班牙・Hispania・イスパニア)艦隊壊滅! 小佐々に敗れたそうでございます!」  紫禁城にて首輔である張居正は忙しく業務をこなしていた。  税...
北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。

第631話 『開戦か交渉か』(1577/8/15)

天正六年閏うるう七月二十四日(1577/8/15) 諫早城 「御屋形様、それがしは開戦の時と存じます」  会議が始まって、純正は全員に南遣艦隊からの通信文を見せた。 発 第一艦隊司令長官 宛 御屋形様  秘メ 明国 張居正 ト イスパニア ...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第597話 馬場信春の秘策と三十年後、五十年後を見据えて

天正二年九月十日(1573/10/5) 安芸日野山城 吉川元春居城 「殿、武田大膳大夫様が郎党、曽根九朗右衛門尉様がお見えにございます」 「うむ、通すが良い」  日野山城は中世山城でありながら、堀切や竪堀といった一般的な防御施設が見あたらな...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第591話 北方探険艦隊の帰還と暗躍・北条氏政(1573/3/31)

天正二年二月十八日(1573/3/31) 肥前 諫早 「よう戻ってきたな三郎右衛門に清右衛門。大義であった」  北方探険艦隊司令の伊能三郎右衛門忠孝と副将の間宮清右衛門森蔵である。  2人は探検艦隊を率いて北海道を西岸から北上し、樺太を発見...
緊迫の極東と、より東へ

第504話 加越同盟と越前の未来

天正元年(元亀三年・1572年) 二月六日 「敵大軍なれども われに地の利あり 心配に及ばず 一乗谷で 督戦 あれ」  一乗谷にあって全体を指揮していた義景のもとに、巳の一つ刻(09:00)に戦端が開かれたとの一報が入ったのは申一つ刻(12...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第485話 武田勝頼の両目、真田昌幸と曽根虎盛

遡って元亀二年 九月十二日 甲斐 躑躅ヶ崎館 「誠に! 誠に御屋形様は、生きておられるのですか?」  勝頼は武田の重臣である馬場美濃守信房に訊いた。 「誠だ」 「では何故、それがしには身罷られたなどど、嘘をおっしゃったのですか」 「お主、御...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第477話 曽根九郎左衛門尉虎盛、小佐々治部少丞純久と相対す。

元亀二年 九月二十一日 京都 在京小佐々大使館 「大使、曽根九郎とおっしゃる方がお見えになっています。お通ししますか?」  曽根、九郎? 左衛門尉? 誰だ? そう純久は思った。思い当たる節がない。 「わかった。通しなさい。ああ、飲み物も用意...
新たなる戦乱の幕開け

第390話 毛利と織田。鍋島直茂の小佐々百年戦略

永禄十二年 十二月二十八日 諫早城 戦略会議室 「みな、聞いてくれ」  純正は直茂、弥三郎、庄兵衛を呼び、清良を紹介する。 「伊予の西園寺配下だった土居式部少輔だ。今日から同じ釜の飯を食う仲間となった。よろしくな」。  清良が一礼し、皆が拍...
新たなる戦乱の幕開け

第386話 毛利との密約と宇都宮豊綱

永禄十二年 十二月十日 伊予 喜多郡 大須城 「やあやあ、これはこれは、左衛門督様。このようなところまで、総大将がどうされたのですか」  宇都宮豊綱は伊予の喜多郡を領しており、小佐々配下となったあとは、仕置きにより東部のみを領すことになって...
西国の動乱、まだ止まぬ

第382話 永禄十二年 十二月一日 庄内の乱、東郷の乱。

永禄十二年 十二月一日 巳の一つ刻(0900)薩摩  薩州島津家当主、※島津義虎が動いた。  南下して、二十年も抗争を続けてきた東郷氏の旧領を攻めたのだ。  東郷氏は渋谷一族の分家で、祁答院氏や入来院氏とともに島津家と戦ってきたが、すでにす...
西国の動乱、まだ止まぬ

第361話 予土戦役、黒瀬城攻防戦④藤原千方景延と空閑三河守光家

永禄十二年 十月二十七日 諫早城 戌二つ刻(1930) 「申し上げます!」  近習が慌てて駆け込んで声をかけてくる。純正は夕食を終えて、本を読んでいた。暗い。ガス灯が欲しいな、と考えていた頃だ。 「なんだ」 「四国の大友様より通信です」 「...