武雄

転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第75話 『東彼杵工業地域と佐賀藩』(1846/4/17)

弘化三年三月二十二日(1846/4/17) 京都 <次郎左衛門>  2月に孝明天皇が践阼せんそし、俺が岩倉具視の紹介で朝廷の公家と親交を深めている頃、幕府では伊豆|韮《にら》山代官の英龍さんが、海防意見書を提出していた。  もうどこにも耀蔵...
肥前争乱、淘汰するものされるもの

第91話 後藤惟明の苦渋の決断

永禄七年 六月 武雄城 後藤惟明  父上が殺され、兄上も弟も幽閉されている。今の武雄後藤に、俺の居場所はない。養子の意味がないのだ。  ただでさえ疎んじられてきた。実子も問題なく成長している。このままではいずれ廃されるか、もしくは……。  ...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第67話 『大村藩、全国に先駆け、種痘を推奨す(コレラ・麻疹・天然痘撲滅へ!)』(1845/6/18)

弘化二年五月十四日(1845/6/18) 次郎邸 <次郎左衛門> 「これ、御家老様はお忙しいのだ! お手を煩わせるでない! 申し訳ありませぬ御家老様! なにぶんまだ子供ゆえ、お許しいただきたく存じます」 「ははははは! よいのです俊達先生。...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第27話 『高島秋帆の一番弟子、平山醇左衛門との出会い』(1838/1/10)

天保八年十二月十五日(1838/1/10)玖島くしま城 「佐賀武雄鍋島家が郎党、平山醇左衛門じょうざえもんと申します。このたびは謁見の栄誉を賜り恐悦至極に存じます」  長身である。  とは言ってもこの時代で考えればというくらいで、165cm...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第26話 『佐賀藩、大村藩に遣いを送り、探りを入れる』(1837/11/12)

天保八年十月十五日(1837/11/12) 佐賀城  次郎左衛門が藩主大村純顕あきにゲベール銃の複製を申請し、硝石と火薬の藩内での大規模な製造を進言している頃、肥前一の大藩である佐賀藩、佐賀城で会見が行われていた。  会見、といっても仰仰し...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第25話 『ゲベール銃』(1837/10/01)

天保八年九月二日(1837/10/01) 長崎 次郎左衛門 『ゲベール銃』  1670年代にフランスで開発されて1777年にオランダが正式採用した小銃で、一般的に言われる火縄銃と同じように火薬と弾を銃口から込めるが、点火方式が火縄ではない。...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

人物紹介

※()内の年齢は1837/1/6時点の年齢(数え)です。 ※随時更新します。 ※印の人物は実在の人物ですが、作中では史実とは違う行動思想かもしれません。  太田和次郎左衛門武秋(15)1822生まれ。 本作品の主人公。前世名は清水亨(50)...
北九州を二分する 二つの二虎競食の計

第154話 筑前仕置 驚愕の元就と宗麟

永禄十年 十月 小佐々弾正大弼純正  結局、立花鑑載と高橋鑑種、秋月種実は本領安堵の国人衆の二を選び、宗像氏貞と原田隆種は四を選んだ。  立花鑑載が糟屋郡と広田郡と嘉麻郡の三郡、鞍手郡の四十五ヶ村で十五万五千石。  高橋鑑種は那珂郡と御笠郡...
肥前争乱、淘汰するものされるもの

第95話 北がダメなら南にすすめ 俵石城攻略戦

十一月 小佐々城 小佐々弾正大弼純正 「さて、どうする?」  俺は深沢義太夫、深作治郎兵衛、藤原千方、沢森利三郎の四人と、特別参謀として佐志方杢兵衛を加えた五人で、戦略会議を行っていた。 「外務大臣、どうだ、外交状況が悪いところはあるか?」...
肥前争乱、淘汰するものされるもの

第96話 後藤惟明、命に服す

同年 十一月 武雄城 後藤惟明  義父上である後藤貴明の命令は絶対である。私が反抗できるはずもない。私は後ろ盾を失った、ただの十九の居候である。しかし、此度こたびばかりは……。 「義父上! いらっしゃいますか?」  私ははっきりと在室を確認...
5強まであと7,000石(現在36,824石)

第87話 空閑三河守光家、暗躍す。

永禄六年 十月 伊万里城下 「ごめんよ~」 「へい、らっしゃい! 何にしますか?」 「そうだなあ。まず酒一合と、あと、とりあえず何かみつくろって」 「かしこまりました~。酒一合におまかせ一丁~」  旅人だろうか。いくつもある飯屋で食事と一緒...
横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に

第71話 死闘! 葛ノ峠の戦い③

永禄六年 四月 肥前国 宮の村 葛の湊沖 沢森政忠  殿、何か変ですぜ。  勝行が言う。 「確かに変だな。まったく、ではないが誰もおらぬ」  海岸から宮の城まで起伏はなく、蓮輪城は見えないが、連なって建っている小峰城も、両方が望遠鏡から見え...
横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に

第65話 死闘!葛ノ峠の戦い②

「ええいまだか! まだ宮村城は落ちぬのか?!」  大村純忠は焦っている。  謀反と聞いて急いで討伐にやってきたが、正月の戦も癒えていない。兵糧の準備も完全ではないし、続く戦に兵の士気もあまり高くはない。 「申し訳ありませぬ。小峰城、蓮輪はす...
横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に

第63話 死闘!葛ノ峠の戦い①

永禄六年二月 小佐々城 小佐々純勝 「申し上げます! 宮村城の大村純種様、ご謀反にございます!」 「なに?」  おそらく、単独ではない。背後に後藤か松浦が控えているのであろう。  いずれにしてもこちらも出なければ、南風崎はえのさきの砦があぶ...
横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に

第62話 大友の代理戦争 有馬大村連合軍

永禄六年 正月 沢森城 沢森政忠  有馬義貞と大村純忠の連合軍一万が杵島から小城郡へ侵攻した。  今回の連合軍の意図は明確で、膨れ上がる龍造寺隆信の領土拡張を食い止めるためである。龍造寺は東肥前を統一し、北肥前の松浦衆を降しつつ、多方面で領...
二島五ヶ村の領主 無双≠生き延び スタート

第48話 永禄五年 大友義鎮、動く

同年 四月 沢森城 沢森政忠 「大友義鎮は少弐家を再興すべく、少弐政興を擁立いたしました」  やっぱりかあ!   千方の報告に、文字通りの感情が湧き上がった。これからいよいよきな臭くなるぞ。一歩間違えば家が潰れる。  最悪、相神浦や大村が潰...
二島五ヶ村の領主 無双≠生き延び スタート

第47話 後藤家嫡男の誕生と暗雲

「殿、至急お知らせしたき儀がございます」  なんだ? いい話か悪い話か? 「武雄後藤家、嫡男誕生の由にございます」 「なに?」    俺は声に出してしまったが、何かを心の中でぐっと押しつぶした。それは感情を押し殺すとかではない。歴史通りに動...
歴史改変仕方ない。やること多すぎです。

第15話 領主の決断 ~平戸の南蛮貿易と水軍の役割~

「どういう事だ?」  親父が聞いてきた。 「大村様は周りを敵に囲まれております。東の西郷は義理の兄弟で、島原の有馬様の陣営にありますが、いつ敵方になるかわからない状況です。武雄の後藤は大村様に敵対心を持っておりますし、北の諸勢力は日和見です...
歴史改変は悪だけど、死ぬのはいやです。

第5話 戦国にて初の決断の時〜横瀬への南蛮船寄港計画〜

鋭い! 絶妙に鋭い! ベタすぎるくらい鋭い! ていうか、意味不明なこと書いてぶつぶつ言ってたら誰でも(どうした?)ってなるよね。  前世でも弟いたけど、どっちかって言うと無口で職人気質しょくにんかたぎだったから、新鮮っちゃ新鮮。……いやいや...
歴史改変は悪だけど、死ぬのはいやです。

第3話 生き残れ!若き武将の戦国九州サバイバル

永禄と言えば永禄の変! 室町幕府十三代将軍の足利義輝が、三好三人衆に殺害された事件。もうこれで戦国時代確定ね。ははは。  四年ということは、まだ始まったばかりだから当分は大丈夫かと思いきや、永禄の変は八年。  つまりあと4年で将軍義輝は暗殺...
年表・統治機構

1566年~1570年(忘備録)

1566年(永禄九年) 1月 小佐々領 人口十二万人 石高 十八万三千七百五十二石 波多家 十四箇条の定めにより保護国化 2月 沢森家 第三子 吉法師誕生 第四子 愛姫誕生 3月 海軍伝習所 第一期生卒業 計百二十八名(松浦郡十六名・彼杵郡...
年表・統治機構

1561年~1565年(忘備録)

1561年(永禄四年) 4月  転生 蠣浦の海戦 5月 石けんの製造・販売開始 鉛筆の研究製造開始 綿花増産計画(同時にふとん製造) 硝石製造の研究開始 「ナタ目」法による椎茸試験栽培 同「種駒」式栽培研究開始 切り干し大根の生産製造・研究...
人物紹介

人物紹介③(51話~126話)

( )内は転生時、永禄4年(1561年)時点での数え年齢です。基本的に架空・史実の両方記載しますが、史実の人物の生没年、内容、記載の有無は筆者の任意なのでご了承ください。※は史実人物(本作ストーリー上内容修正あり) 橘屋又三郎(38)※ 堺...
人物紹介

人物紹介②(12話~50話)

( )内は転生時、永禄4年(1561年)時点での数え年齢です。基本的に架空・史実の両方記載しますが、史実の人物の生没年、内容、記載の有無は筆者の任意なのでご了承ください。※は史実人物(本作ストーリー上内容修正あり) 沢森吉野(32) 沢森平...