我ら

北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。

第605話 対北条戦略と対明経済戦略

天正三年七月二十五日(1574/8/11) 日ノ本大同盟合議所 「皆様、よろしいでしょうか?」  発言したのは里見家家老、正木左近大夫さこんのたいふ(従五位、左近衛将監さこんえのしょうげん)頼忠である。  大同盟合議所では、加盟している大名...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第45話 『江戸参府と洋式調練ならびに秋帆の徳丸原演習』(1841/6/19)

天保十二年五月一日(1841/6/19) |玖島《くしま》城南 久原調練場  天保十一年度の参勤交代を終え、大村純|顕《あき》は藩に戻ってきていた。今回の参府には次郎は願い出て同行はしていない。  もともと大村藩は他藩に比べて長崎警護の任で...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第44話 『高島秋帆、西洋軍備についての意見を上書』(1840/10/5)

天保十一年九月十日(1840/10/5)  ~前略~  唐国に而しかしてエゲレス人に無理非道之事共有之候所のことともにありのそうろうところよりエゲレス国より唐国へ師を出し、エゲレス国は勿論、カアプデホプ(アフリカ州之内)及び印度エゲレス国之...
北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。

第604話 ガレオン船によるセブ-小笠原-アカプルコ貿易

天正三年七月十八日(1574/8/4)  そのころ、北関東の下野と常陸においては、北条が攻勢を強めていた。  結城氏はすでに降伏して北条の軍門に降っており、常陸の佐竹と下野の宇都宮は同盟を組んでいたものの、北の那須家と組んだ北条に圧倒されて...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第603話 石山本願寺包囲戦(1574/5/21)

天正三年五月一日(1574/5/21)  純久からの連絡を受けた純正の行動は早かった。    三好の淡路水軍を用いて木津川口を封鎖し、海上からの補給路を断ったのだ。摂津の三好軍も動員して北側を封鎖し、南側は織田領で逃げ場はない。  京都の独...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第602話 東西本願寺と加賀、紀伊の服属(1574/5/11)

天正三年四月二十一日(1574/5/11)  太田和利三郎(治部少輔)政直や日高甲斐守喜、伊集院掃部助忠棟をはじめとした小佐々家外務省の渉外担当官は、多くを語らず、ただ聞かれた事のみを答えた。  これは可、これは非という形の説明に終始したの...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第601話 本願寺、割れる? 大激論の末に

天正三年二月十三日(1574/3/6) 近江 比叡山延暦寺  越前の朝倉義景を滅ぼす前、元亀二年十一月に、信長は勅書に基づいて畿内の反織田勢力に和睦の条件を通達していた。  信長も各勢力が素直に応じるとは思ってはいなかったが、朝倉攻めのため...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第600話 戦争と平和(1574/2/17)

天正三年一月二十六日(1574/2/17) 摂津 石山本願寺 「なんと! そのような事できようはずがない」  本願寺顕如は七里頼周の報告を聞き、鼻で笑うかのように言い放った。 「されど従わねば、われらは小佐々の敵となりますぞ」 「わかってお...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第599話 加賀一向宗、騒乱の幕引き(1574/2/10)

天正三年一月十九日(1574/2/10) 加賀 「では三河守殿、どうあっても織田家との|諍《いさか》、弓を伏せて越前討ち入りを取りやめる気にはなりませぬか」  太田和利三郎政直はもう二刻(4時間)も話し込んでいる。それでも七里三河守|頼周《...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第597話 馬場信春の秘策と三十年後、五十年後を見据えて

天正二年九月十日(1573/10/5) 安芸日野山城 吉川元春居城 「殿、武田大膳大夫様が郎党、曽根九朗右衛門尉様がお見えにございます」 「うむ、通すが良い」  日野山城は中世山城でありながら、堀切や竪堀といった一般的な防御施設が見あたらな...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第596話 尾甲同盟と加賀紀伊討ち入りの策

天正二年八月十九日(1573/9/15) 甲斐 躑躅ヶ崎館  信長は加賀・紀伊侵攻作戦の合議対策をするための策を練るとともに、必須条件である甲斐の武田家との通商・安保同盟を結ぶために光秀を武田家に送った。 「はじめて御意を得ます。織田兵部卿...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第35話 『耐火レンガと佐賀藩・唐津百姓一揆』(1839/09/26)

天保十年八月十九日(1839/09/26) 波佐見  奥村|嘉十《かじゅう》は近隣の炭焼き職人の中でも、良質の炭をつくるという職人を集めて話をしていた。 「今日集まってもらったのは、御家老様からの命により、木炭に代わる石炭の純なるものを造る...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第595話 織田家の技術革新と加賀・紀伊問題 

天正二年六月二十八日(1573/07/26) 志摩国答志郡とうしぐん 船津村 「ふふふ、壮観よの、嘉隆。あの一番大きな船はいかほどあるのだ?」 「は、大型の安宅船程はございましょうか。他の船は小早と関船の中ほどにございます。しめて十隻にあい...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第593話 女真派遣団の帰国と蝦夷地開拓

天正二年四月十二日(1573/5/23) 諫早城  二年前の夏に始まった蝦夷地の開拓と入植は順調に進んでいた。  蝦夷地交易を独占的に任せている太田和屋弥次郎の交易船の運航とあわせて、人員の輸送も行われたのだ。  まずは大首長チパパタインの...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第591話 北方探険艦隊の帰還と暗躍・北条氏政(1573/3/31)

天正二年二月十八日(1573/3/31) 肥前 諫早 「よう戻ってきたな三郎右衛門に清右衛門。大義であった」  北方探険艦隊司令の伊能三郎右衛門忠孝と副将の間宮清右衛門森蔵である。  2人は探検艦隊を率いて北海道を西岸から北上し、樺太を発見...
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第590話 信長の悪あがきと純正の妥協

天正二年 一月十七日(1573/02/19) 近江国蒲生郡  日ノ本大同盟合議所 「拒否権の儀、ならびにその他の題目についてもおおよそ得心しておる。然れど一つだけ、一つだけ発議いたしたい」 「なんでござろう」  信長は拒否権にしばりをつけら...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第588話 報復行動の可否と恩賞の基準

天正二年 一月十六日(1573/02/18) 近江国蒲生郡  日ノ本大同盟合議所 「では敵から討ち入られた時は如何いかが致すのでしょうか」  徳川家の青山忠成が発言し、石川数正もそれを後押しする。  これは何も軍事行動だけとは限らない。  ...
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第587話 織田信長と武田勝頼の密談会盟。軍事行動合議制の可否

天正二年 一月十四日(1573/02/16) 夜 近江国蒲生郡 武佐宿村 織田宿舎 「殿、いかがなさるおつもりですか?」 「左様、このままでは織田は完全に小佐々の下風に立ち、顔色をうかがわねばならなくなりますぞ」  光秀の言葉に秀吉が同調す...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第586話 何が軍事行動か?その定義

天正二年 一月十四日(1573/02/16) 近江国蒲生郡 武佐宿村 小佐々織田合議所  年が明けて天正二年、純正は朝廷への新年の挨拶と義父への挨拶を終え、合議所にいた。藤子と娘の篤は二条晴良宅に預けている。  小佐々織田合議所という仮称だ...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第585話 合議制による銭の力で日ノ本一統。(1572/12/05)

天正元年 十一月一日(1572/12/05) 諫早城  「すなわち知行ではなく、銭にて報いると?」 「その通り」 「然されど、銭の配分なり、いずれの大名に如何いかに銭をまわすかなど、後々差し障りがございませぬか?」 「無用じゃ」  純正には...
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第584話 純正の大義名分と信長の大義名分(1572/12/05)

天正元年 十一月一日(1572/12/05) 諫早城  「さてみんな、集まってもらったのは他でもない。例の如く小佐々家の今後の基本方針と、織田・武田・徳川・浅井・畠山・里見に対する外交姿勢について論じたいからである」  集まった閣僚の表情は...
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第582話 房総の雄 里見佐馬頭義弘

天正元年(1572)九月二十八日 上総 久留里城 「殿! 安房勝山城より急使にございます!」 「なんじゃ、騒々しい。通せ」  上総久留里城主であり、安房と上総を治める里見佐馬頭さまのかみ義弘のもとに、安房国平郡勝山城より急ぎの知らせが入った...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第581話 織田信長&徳川家康&浅井長政の野望

天正元年(1572)九月十一日 岐阜城 「さて、小佐々が謙信と軍いくさをしておる間、荷留と津留のみであるが、われらも助力いたした。その間、伊賀と紀伊において進展はあったか?」 「は、伊賀においては最低限の権益を与えることで服属をさせました。...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第580話 武田大膳大夫勝頼の野望

天正元年(1572)九月二日 甲斐 躑躅ヶ崎館 「わしは、其方そなた達あっての武田じゃと思うておる」  武田家第十七代当主で、甲斐源氏二十代目である武田勝頼は、重臣を前にそう言った。  馬場美濃守(信房)に山県三郎兵衛尉(昌景)、高坂弾正(...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第579話 純正の同盟国の事情。畠山義慶と佐渡の儀。

天正元年(1572)八月十五日 能登 七尾城   発 修理大夫 宛 権中納言  秘メ……○▽■ぐしゃぐしゃぽい……。    平九郎、元気ですか?   いや、最初は例の通信文で書こうとしたんだけど、あれ、いくら暗号っつったってダダ漏れでしょ?...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第578話 松前異変

天正元年(1572)八月二日 京都 越後屋近江屋敷  組屋源四郎は気が気ではない。  屋敷の中で待たされてはいたものの、立ち上がっては座り、立ち上がっては座りで、室内をウロウロしている。  やがてゆっくりとした足音が聞こえると、障子があいた...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第574話 上杉戦の反省と留学生の今後

少し遡って天正元年(1572) 三月三十日 諫早城 織田信忠  小佐々の殿様、権中納言様が上杉と軍いくさをなさっているさなか、春休みという事でわれらはいったん故郷へ帰り、元服を済ませた。  父は今年の三月が中学の終わりで、小佐々の領民は卒業...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第570話 決着!上杉戦和睦交渉。大きく動く勢力図。

天正元年(1572) 四月十六日 富山城   口入れとはつまり、介入の事である。  越中はもとより、このまま謙信の勢力が増大すれば、加賀まで及ぶのはわかりきったことである。  また、背後の能登は、そのためには謙信の勢力下にある必要がある。 ...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第567話 国内と国外~ヌルハチの祖父とフェリペ二世~

天正元年(1572) 四月十四日 岐阜城  「ははっ」  長秀が苦笑いし、光秀や秀吉はわからないようにため息をしている。 「さて、加賀の、本願寺の動きはどうか?」 「は、謙信からの計略によって引き起こされた一揆にございましたが、それにより本...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第564話 和睦の題目と謙信の最後の秘策

天正元年 四月九日 京都 大使館  発 道雪 宛 権中納言  秘メ 上杉ヨリ 和睦ノ 申出 アリ 然レドモ 戦況 優位ニテ 御裁可 ナラビニ 題目ヲ 知ラサレタシ 秘メ ○四○六 「御屋形様、これは……」 「ふむ、和睦の申出であるな。必ず勝...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第561話 和睦交渉を左右する所口湊の海戦と七尾城の戦い

天正元年 四月六日 巳の一つ刻(0900) 「なんぞ(何だ)あれは? 如何いか様にも(どうみても)兵船ではないか! 然しかも、上杉の兵船、船手衆ではないか!」  来島通総と得居通幸が、七尾湾に停泊する三百艘の上杉水軍の軍船を発見したのだ。 ...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第560話 城生城の落城と鎌田政年の討死。両軍、和議となるか?

天正元年 四月五日 酉四つ刻(1830) 越中 戸波村~鷲塚村 島津軍  巳の四つ刻(1030)から始まった島津軍と上杉軍の戦闘は、巧みに離合集散を繰り返して互角のまま推移していたが、もう間もなく日没になろうかという頃、唐突に終わりを告げた...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第558話 激突! 島津vs.上杉と七尾城の陥落

天正元年 四月五日 午三つ刻(1200) 越中 水戸田村 道雪本陣 「申し上げます! 敵勢六千! 島津勢に掛かりけり候(攻撃しました)!」 「何? 案に違えて(予想外に)早いの。敵将は誰じゃ?」 「は……それが、謙信自らかと思われます!」 ...
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第557話 島津軍の混乱 毘沙門天・上杉謙信は何処?

天正元年 四月五日 辰四つ刻(0830)能登 鹿島郡  「なんと……誠であったか……」 「はは、所口湊には数多の兵船があり、城下は無論の事、湊も上杉の兵で溢れておりました」  畠山義慶よしなりは阿尾城を襲った敵に備えるため、道雪本隊から離れ...
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第555話 反転攻勢の立花道雪

天正元年(元亀三年・1572) 四月五日 岐阜城  発 権中納言 宛 兵部卿  秘メ 守護代ノ勢 加賀ヘ 討チ入リケリ(攻め入った)ト 聞キ及ビ候ヘドモ ソハ(そこは)貴殿ノ所領ニ非ズ 難かたシ事ナレド マズハ言問こととい(話し合い)ニテ ...
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第554話 上杉謙信に後手後手の小佐々純正。起死回生、なるか?

天正元年 四月四日 日本海 「(おい、誠に、これは同じ、海なのか?)……!」 「ははは! だらしねえなあ旦那! それでも同じ海賊か? こんなもん凪なぎだ!」 「やかましい! 何も言うておらぬではないか! いささか驚いておるだけじゃ! 軍いく...
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第553話 享年六十四歳

天正元年 四月四日 午一つ刻(1100) 能登 七尾城 「待たれよ。降るとして、殿(畠山義慶)は小佐々に与するとして越中へ向かったのだぞ。謙信も殿が小佐々に与しているなど、とうに知っておるであろう。如何様にして取り繕うのじゃ?」  温井景隆...
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第552話 阿尾城陥落の真実と能登所口湊

天正元年 四月四日 辰一つ刻(0700) 能登 射水郡 千久里城 「おお! 無事であったか!」  庄川東岸(広上村)の道雪本陣で報告してきた家臣より、妻と嫡男の無事は聞かされていたが、実物を見てほっと胸をなで下ろす菊池武勝である。  千久里...
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第551話 信長の計略と上杉包囲網なるか?

天正元年 四月四日 京都 大使館  発 在能番所(能登所口湊) 宛 権中納言  秘メ 立花殿 出立 畠山殿 合力 越中へ 向カフ 秘メ ○三三○  秘メ 第四艦隊 出港後 帰港セズ ナホ 天気晴朗ナリ 秘メ ○三三一  発 越前堀江館 宛 ...
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第549話 謙信を囲む

天正元年 四月三日 卯の一つ刻(0500) 庄川東岸(大門新村) 上杉軍本陣 小雨 「申し上げます! 一里(3.927km)南に敵多数! 川を渡ってございます!」 「何い! ? 馬鹿な! 夜のうちに渡ったと申すか?」  昨日、日没後から降り...
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第548話 織田と一揆と、隠尾城と千代ヶ様城

天正元年 四月二日 未二つ刻(1330) 庄川西岸(二塚村) 道雪本陣 曇りときどき雨 「申し上げます! 一条隊が布陣を終え、龍造寺隊は千代ヶ様ためし城に掛かりけり(攻撃した)候!」  道雪の本陣とわかれ南へ向かった二隊も、一条隊は布陣し、...
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第547話 『晴天の霹靂 越前での一揆と書状。純正、謙信に敗れけり?』

天正元年 四月二日 京都 大使館 純正の顔はいつになく険しい。対上杉戦に舵をきったものの、いったいどれくらいの期間戦が続くのか? 早く終わるに越した事はない。 もちろん、本当は長期戦というよりも経済戦で徐々に謙信を締め付け、撤退させる事が目...
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第544話 緊急事態に立花道雪の決断と秘密兵器

天正元年 四月二日 巳みの二つ刻(0930) 庄川西岸(出来田村) 立花道雪移動中 「申し上げます! 敵別働隊が放生津城に入っております!」  道雪を驚愕きょうがくさせる報告がはいったのだ。 「何? 数は?」 「は、およそ二千の上杉兵! さ...
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第543話 三好長治の試練と上杉方・放生津城の異変

天正元年 四月二日 巳みの一つ刻(0900) 庄川西岸(枇杷首びわくび村) 三好長治陣 「申し上げます! 最左翼の島津軍、川を渡りて敵と一戦を交える構えにございます!」 「なに! ? 我らも負けてはおられぬ! 直ちに徒渉としょう(徒歩での渡...
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第542話 庄川決戦:島津義弘の挑戦

天正元年 四月二日 辰三つ刻(0800) 庄川西岸(能町村) 島津義弘陣 「申し上げます! 敵、南一里半(約5.8km)の大門新村に陣を構えてございます!」 「何? 南だと? やつら、我らを思い消ちたるや(無視しているのか)! ?」  物見...
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第540話 満身創痍の第四艦隊、鼠ヶ関湊にて

天正元年 四月一日 酉とり四つ刻(1830) 出羽 田川郡 鼠ヶ関湊  第四艦隊は死傷者の処置とマストと帆の補修を行った。  ようやく航行が可能となって出羽の側の越後国境の湊に入港したのは、日没直前である。 「なんという事だ、わが第四艦隊が...
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第539話 接舷乗艦と火矢攻撃、第四艦隊壊滅??

天正元年 四月一日 午一つ刻(1100) 立花道雪 陣中 「殿、杉浦壱岐守様がお見えです」 「何? 壱岐守殿が?」  九州の武士である道雪にとって、杉浦玄任(1517~)は見知らぬ人物である。道雪以外の、一番近い摂津三好衆にとっても知ってい...
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第537話 上杉水軍襲来す!海上の危機と立花道雪の庄川渡河作戦

天正元年 四月一日 越佐海峡 霧島丸 巳の三つ刻(1000) 「単縦陣とする! 我につづけ」  第四艦隊司令長官である佐々清左衛門加雲少将の号令を合図に、陣形を変え、先頭に霧島丸、次いで二番艦足柄・三番艦羽黒と続いた。  小佐々海軍では二隻...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第536話 上杉謙信の離間の計と海上戦略

天正元年 四月一日 越佐海峡 霧島丸 巳の二つ刻(0930) 「長官、入られます!」  艦橋の当直下士官が告げる。 「どんな具合だ?」  長官の加雲は艦長に確認する。初日に数隻を拿捕だほして以来の艦船である。意気が上がり全艦に緊張が走る。 ...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第535話 決戦前夜 上杉軍28,000(?)vs.立花道雪軍50,000

天正元年 四月一日 越中 増山城 巳の一つ刻(0900) 「おや? 孫三郎殿、いささか勢ぜいが少ないのではないか?」  越中における上杉勢の最前線である神保氏の居城増山城で、到着早々謙信は、神保の現当主である長住に尋ねる。 「面目次第もござ...