太田和

転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第216話 『江戸出府と将軍継嗣問題』

安政四年十一月九日(1857/12/24)  下田、箱館、長崎を開港地としてアメリカ人を居住させ、長崎において限定的な交易を行うという成果をあげたハリスの残りの目的は、江戸へ出府して将軍家定と謁見し、大統領の親書を渡す事であった。「太田和殿...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第214話 『咸臨丸とハリスの江戸出府』

安政四年八月六日(1857/9/23) 江戸城「なりませぬ! なりませぬぞ! それだけは絶対になりませぬ!」 大声でまくし立てるのは海防参与の水戸藩主、徳川斉昭である。アメリカの大使(日本領事予定)が艦隊を率いて再び下田へ入港したというのだ...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第205話 『交渉開始』

安政三年九月十五日(1856/10/13)  紆余うよ曲折を経て、次郎の軽快なジャパニーズブラックジョークから始まった日本の対4か国協議は、関係国が5か国で参加したという事もあり、序盤から難航を極めた。 ■日本側参加メンバー 全権 下田奉行...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第204話 『サー・タンゴノカミの実力』

安政三年九月十五日(1856/10/13) ~の半月前 江戸城「な、なんだこれは……」 老中首座を退いたとは言え、いまだ幕閣の中で発言力のあった阿部正弘は目を疑った。 確かに、意見は聞いた。幕政の参考にと、聞きはしたのだ。 立秋の候、伊勢守...
天下百年の計?

第734話 『北加伊道、小樽』 

天正十六年三月十日(1587/4/17)北加伊道地方 小樽総督府「寒い、寒すぎるな。まじで寒いぞ」 もう26年いる純正でも、現代語がでてしまう時がある。いわゆる感情が高ぶった時やその逆の時だ。 無意識なのだろうか、幼少時というか50才までの...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第203話 『通商条約の前に和親条約の改正』

安政三年八月十七日(1856/9/15)   イギリス・アメリカ・フランス・オランダの4か国艦隊が、各国の領事予定者を乗せて下田に着いた頃、中国では太平天国の乱が継続中であった。 イギリスは太平天国の首都(建都された南京・天京)を公使である...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第201話 『山内容堂と大村藩海軍増強計画』

安政三年六月十六日(1856/7/17)  金属薬莢やっきょうの製造にあたり、その他の金属加工製品と同じく、それを加工する加工機械は、研究開発ならびに輸入が並行して行われていた。圧延機やプレス機の精度向上と大量生産である。『全ては模倣から始...
天下百年の計?

第732話 『吉原県吉原湊』

天正十六年一月十八日(1587/2/25) 地震発生から1年と2か月が経ったが、純正は地震が発生してすぐに決定をした。 向こう10年間を復旧期間とし、全域の復旧ならびに新規の高層建築の建造を禁止したのだ。もちろん、計画していた大阪城も例外で...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第196話 『一触即発、大村藩改易か?』

安政二年十二月二十五日(1856/2/1) 江戸城 老中御用部屋「本音が、でたな」 堀田正篤まさひろの言葉に次郎は心の中で深呼吸をする。表情を崩さぬよう注意しながら視線を合わせると、正篤は手にしていた扇子を膝の上に置き、じっと次郎を観察した...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第195話 『対談、老中首座堀田正篤』

安政二年十二月二十五日(1856/2/1)~の数日前 <次郎左衛門>「あーもう面倒臭えなあ、あそこ息が詰まるんだよ。魑魅魍魎ちみもうりょうが跋扈ばっこするっていうの?」「なに21世紀の人間が非科学的な事を言ってんだよ」「いや、いま令和じゃね...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第194話 『堀田正睦老中首座となり、蝦夷地上知再燃す』

安政二年十一月十七日(1855/12/25) 神に祈るしかない、というのはこの事なのだろう。 次郎は消火器や雲龍水の設置によって地震の被害を少なくしようと試みたが、確かに効果がなかったとは言えない。しかし、藤田東湖らの死因は倒壊による圧死で...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第191話 『鉄道が欲しい!』

安政二年七月十二日(1855/8/24)  大村藩ではライケンらオランダの教官による授業を受ける前から、洋式木造帆船の建造を行い、その航海技術の習熟を次郎の経験と知識、そして深澤組(捕鯨)の協力で行っていた。 それを海軍の創設と考えると、十...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第190話 『飛龍丸献上』

安政二年五月二十九日(1855/7/12)  次郎は松前藩への軍事教練と併せて、共同で北方の警備体制を整えた。 ・久春古丹クシャンコタンのロシア軍陣地を焼却。 ・南樺太のクシャンコタンを大泊と名づけ、整備。 ・択捉島単冠ヒトカップ湾と国後島...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第188話 『次郎、ロシアへ』

安政二年二月十八日(1855/4/14) 江戸城「何故なにゆえにございましょうや」「控えなされ太田和殿」 次郎は安政東海地震の際の救援活動も人道的に行った。  医療物資の運搬やけが人の治療など諸々である。次郎はそれを誇示するつもりは毛頭なか...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第187話 『安政二年の正月』

安政二年一月二日(1855/2/18) 日本は去年、まずアメリカと三月三日に和親条約を締結した。  次いでイギリスとは八月二十三日に結び、オランダとは十一月二十三日に締結。ロシアとは元号が替わって安政元年となる十二月二十一日に締結した。 ま...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第180話 『幕府対松前・大村藩。松前征伐とかならんよね?』

嘉永七年七月五日(1854/7/29) <次郎左衛門> さて、幕府はどうでるかな? 江戸時代の奉行は寺社奉行・勘定奉行・町奉行の三つに分かれていて、そのうち領内の都市部(町方)の行政・司法を担当する役職が町奉行。 幕府以外にも各藩に寺社奉行...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第179話 『攘夷論者徳川斉昭』

嘉永七年六月十一日(1854/7/5) <次郎左衛門> なんとか和親条約は落ち着いたけど、幕末日本史はこっからなんだよね、本番。幕府の中身はちょっとわからんけど、朝廷も今のところは開国肯定佐幕派だし、西国諸藩もおとなしいもんだ。 俺の仕事は...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第177話 『ベッセマー法と風の便り』

嘉永七年四月二十七日(1854/5/23) 大村藩 精煉せいれん方 ※大村藩内、特に科学者同士の会話には現代用語(専門用語)が頻繁に使われます。「全く新しい炉をつくらなければならない」 信之介の言葉に、場がしいん、と静まりかえった。室内に漂...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第174話 『黒船再来と坂本龍馬』

嘉永七年二月六日(1854年3月4日) 「Admiral Perry, what in the world are you doing here?(ペリー提督、あなたは一体、ここで何をしているのですか?)」 憮然ぶぜんとした表情で、笑顔ひと...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第173話『鋼鉄艦とベッセマー転炉。蒸気機関の改良と800トン級2隻建造へ』

嘉永七年一月二十四日(1854年2月21日)  現在の大村藩の造船所の利用状況は、下記の通りである。 零号ドック(ポルトランド・長さ62m幅21.5m深さ6m)……修理用。 壱号ドック(長さ122.5m幅25m深さ8.4m)壱(半分)……至...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第172話 『武士と町民、士官と下士官兵。身分と階級』

嘉永六年十二月二十六日(1854年1月24日) 「うーん……」 5分後……。「むむむむむ……」 次郎は頭を抱えていた。頭では分かってはいたものの、物事には順番と優先順位、それから段階を経て取り組んでいかなければならない事が多々ある。 藩内の...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第170話 『江戸表にてプチャーチンと幕閣』

嘉永六年十月二十六日(1853年11月26日) 佐賀城「よし、それで大村家中とはつつがなく、渡りをつけた(交渉した)のだな?」「はは。大村家中は既に時津から伊木力村までは完工しております。我が家中としましては、伊木力から喜々津を経て、三浦村...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第169話 『次郎を呼べよ』

嘉永六年九月二十四日(1853年10月26日) 「それで讃岐様、琉球はいかなる仕儀に御座いましょうや」「うむ、なんとか大村家中の御助力のお陰で面目を保つ事ができた。然れど以後如何いかが致すかは、よくよく考えねばならぬ」 讃岐とは島津家の一門...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第168話 『洋上での対プチャーチン。交渉せずとも進言す』

嘉永六年八月二十二日(1853年9月24日) 肥前 外海沖 「Я встречаюсь с вами впервые. Меня зовут Ота Ва Дзиродзаэмон, я главный помощник клана Ому...
Uncategorized

第165話 『公儀からの質し状と登城命令』

嘉永六年七月三日(1853年8月7日) 大村政庁「また、でございますか」「……まただ。次郎、お主がJantje(オランダ語のヤンチェ……やんちゃの語源とする説あり)をやらかすから、こうなったのだぞ」 純顕すみあきはいたずらっぽい顔をして次郎...
天下百年の計?

第713話 『第一回国際天文学会が開催される』

天正十二年十二月十五日(1584/1/27) 諫早城天文台 特設会場「さて皆様、ここに、第一回国際天文学会が開ける事にこの上ない喜びを感じます。今回は皆様と新たな論文の発表とあわせて大いに意見を交わし、さらなる天文学の発展につなげましょう」...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第164話 『幕閣と親書の受領。至善丸へのスクリュー艤装』

嘉永六年五月二十三日(1853年6月29日) 江戸城「なんじゃと! ?」 近習から書状を受け取り、読み上げた老中首座の阿部正弘は驚きの声を上げた。ペリー来航の知らせから城内は緊迫しており、そんな中で、幕閣を驚愕きょうがくさせる出来事があった...
天下百年の計?

第712話 『大日本国銀行』

天正十二年十一月二日(1583/12/15) 肥前国庁舎 最上義光に送った質問状については、予想通りの回答がきた。要するに単なる軍事訓練であり、他領への侵攻の意図はまったくない、という事である。 真偽のほどは別として、純正は念のため、義氏に...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第163話 『次郎vs.ペリー 日本の事情とアメリカの事情』

嘉永六年五月二十日(1853年6月26日) 浦賀沖 サスケハナ号艦上「これは心強い。よろしくお願いいたす」 栄左衛門はそう言って、純顕と次郎の一行とともに改めてペリーに向き直る。日本側は純顕、次郎、香山栄左衛門の三名で、アメリカ側はペリー・...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第162話 『サスケハナ艦上にて対峙する』

嘉永六年五月二十日(1853年6月26日) 浦賀沖「提督、奴らはどうするでしょうか」 ブキャナンがペリーに尋ねると、ペリーは葉巻をふかしながら静かに言う。「ふむ。琉球の件があるので慎重に行動しなければならないが、臆することはない。奴らにはこ...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第161話 『13日早まったペリー来航』

嘉永六年四月二十四日(1853年5月31日) 奄美大島「重畳ちょうじょう重畳。予想通りだ。さすが薩摩隼人、よくやってくれた。これでペリーも強硬な態度は出来ないだろう。琉球でこうなのだから、わが国に対しては対応を和らげてくるはずだ」 就役した...
天下百年の計?

第711話 『最上の馬揃えと商人の動き』

天正十二年九月十八日(1583/11/2) 新政府庁舎 武田州……清水湊8万貫 徳川州……大浜湊10万貫 浅井州……小浜湊7万貫 里見州……館山湊9万貫 畠山州……七尾湊8万貫 大宝寺州……酒井湊6万貫 各州から港湾整備の予算申請が出たが、...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第159話 『一触即発! 琉球にて』

遡る事嘉永六年二月十九日(1853/3/28)  鹿児島城「おお! これは肥前の宰相、太田和次郎左衛門殿! お会いしとうござった!」 少し|慇懃《いんぎん》無礼気味に見えるが、次郎はそれを感じつつも低姿勢で応対する。「はは。英明なる豊後殿に...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第156話 『蒸気機関の改善と消火器』

嘉永六年一月十九日(1853/2/26)  次郎は越後の油田の開発を続けていたが、どうしても運上金がネックであった。 石油の産出98石につき米48石(77両)の比率なのだ。これが本来ならいくらになるかというと、臭水くそうず(石油)1石で3....
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第155話 『アーク灯・ガス灯・ランプの棲み分けと石油コンビナート』

嘉永五年十二月十日(1853/1/19)  精煉せいれん方の電力開発方は、信之介が残した初期のダイナモ(発電機)の改良を続けていた。 アーク灯の点灯には成功したものの、膨大な電力が継続的に必要なために電池では限界があり、安定した電力の供給が...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第151話 『スクリューと九条幸経』

嘉永五年六月七日(1852/7/23) 大村藩 精煉せいれん方 スクリュー研究室  象山が加硫によるゴムの安定化に成功した事と、潤滑油の開発が終了したことで、スクリュー製造の目処がたってきた。研究室内では実験結果を詳細に記録しながら、象山が...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第149話 『浦賀と朝廷』(1852/4/20)

嘉永五年三月二日(1852/4/20) 浦賀湊みなと シュッシュッシュッシュッ、ガシャンガシャンガシャンガシャン……。 幕府の命を受けて次郎たちは浦賀湊で停泊し、使者を待っている。湾内には幕府が建造した晨風しんぷう丸をはじめとした小型の洋式...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第148話 『江戸と打抜き蓋底の発明(開発)』(1852/4/18)

嘉永五年閏うるう二月二十九日(1852/4/18) 数ヶ月前の夜、仕事を終えた二人はいつもの料亭『川棚屋』で一杯やっていた。 佐久間象山は酒は飲むが、最近は研究所に入り浸りで、それどころではなかった。それでも気晴らしの必要性を感じたので、同...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第147話 『万次郎の帰国と大阪』(1852/2/29) 

嘉永五年二月十日(1852/2/29) <次郎左衛門>  万次郎さんは年末を待たずに、去年の11月に土佐に帰っていった。  商人同士のやり取りは、乾堂くんと慶ちゃんに任せてはいるんだけど、やっぱり面通しはやったほうがいいらしい。二人ともけっ...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第145話 『その頃の幕府と各藩』(1852/1/31)

嘉永五年一月十一日(1852/1/31) 江戸城 この頃の幕府と言えば江戸湾の台場構築と、大村藩へ盛んに幕臣を派遣して、技術の吸収に邁進まいしんしているところであった。しかし肝心の財政再建は遅々として進まず、第七台場まで造成予定の台場は、第...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第144話 『アーク溶接と場所請負商人』(1852/1/11)

嘉永四年十二月二十日(1852/1/11) 精煉れん方 理化学・工学研究所 信之介研究室  信之介は夜も眠らずに研究室にこもっていた。目の前には、数ヶ月かけて組み立てた発電機がある。手のひらで優しく機械をなぞりながら、信之介はこれが次世代の...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第139話 『蒸気缶と工作機械。台場造成と海軍伝習所』(1851/9/19)

嘉永四年八月二十四日(1851/9/19) この月の17日に、上野俊之丞が亡くなった。陽気で明るく、ムードメーカー的な存在で、年齢を感じさせない気さくな性格は、誰からも好かれていたのだ。  葬儀はしめやかに行われた。上野彦馬は14歳。五教館...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第692話 『ウラジオストク(北領掌)、オホーツク(狩海)、ペトロパブロフスク・カムチャツキー(勘察加市)』

天正十年十二月十二日(1582/1/6) 織田信忠はスペインとの海戦以降、信長の命により美濃に戻り、家督を継いでいた。織田家の当主としてはまだ3年目ではあったが、信長は徐々に権限を委譲していったのだ。 これは何も信忠に限った事ではない。 小...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第135話 『大村修理とジョン万次郎』(1851/5/16)

嘉永四年四月十六日(1851/5/16) 大村城下 <次郎左衛門>「なんと! ……これは、なんと様変わりしたものよ……」 殿の出府とあわせて江戸を発った弟君の修理様(大村純熈ひろ・当時は利純)は、嫡男の甲吉郎様が家督を継ぐとなってから、甲吉...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第686話 『おーやじ、なんばしょっとね?』(1581/2/7)

天正十年一月四日(1581/2/7) 肥前飯盛城 <純正> 昨年末、松浦の爺様が亡くなった。享年八十八。 史実より3年長く生きたけど、人間五十年の二人分の大往生だ。史実にいない俺が統一を推し進めたものだから、喪主は平戸松浦からの養子ではなく...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第685話 『大日本政府、初年度予算(負担金)と電池』(1581/1/4)

天正九年十一月二十九日(1581/1/4) 肥前国 純アルメイダ大学 医学部研究室 東玄甫は解剖台の上のカエルに向かって立っていた。手に持っているメスの1本は切断用、もう1本は固定用だ。カエルの足を慎重に切り開き、筋肉を露出させる。 人体解...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第129話 『江戸城御用部屋、上の間にて』(1850/12/2)

嘉永三年十一月十七日(1850/12/2) 江戸城御用部屋 上の間「大村丹後守純顕あき、命により登城いたしましてございます」「大村家中、太田和次郎左衛門にございます」 二人は老中首座の阿部正弘より呼び出しをうけ、江戸城にいた。  9月28日...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第128話 『江戸参府の儀と製茶』(1850/11/2)

遡って嘉永三年三月一日(1850/4/12) 大村政庁「さて、此度こたび皆を呼んだのは、来る九月の江戸参府の儀にて、大いに諮らねばならぬ題目があっての事じゃ。次郎左衛門、よいか」 いつも柔和な純顕あきには珍しく、少し険しい顔をしている。「は...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第680話 『紡績機の改良・発明。人類、空へ』(1580/9/15) 

天正九年八月七日(1580/9/15) <純正> 俺が今世に転生して19年がたった。 その間に技術革新が発生し、その分野は多岐にわたった。軍事技術や兵器ばっかりに目が行くけど、昔の日本の明治維新と同じで、忘れちゃならない物がある。 紡績だ。...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第678話 『艦隊の帰還と世界地図。大同盟の財源は?』(1580/6/27) 

天正九年五月十六日(1580/6/27) 京都 大使館 発 南四(南遣第四艦隊) 宛 屋形 メ 籠手田湊(ポートモレスビー)ニテ 婆羅島(ボルネオ島)ヨリ南ヲ 随時哨戒中 新幾内亜ニューギニア島ヨリ東ノ島々ノ 沖合ニテ イスパニアノ艦影 見...