横瀬

転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第201話 『山内容堂と大村藩海軍増強計画』

安政三年六月十六日(1856/7/17)   金属薬莢やっきょうの製造にあたり、その他の金属加工製品と同じく、それを加工する加工機械は、研究開発ならびに輸入が並行して行われていた。圧延機やプレス機の精度向上と大量生産である。 『全ては模倣か...
天下百年の計?

第724話 『会合衆の世界進出と九州五傑』

天正十四年一月十五日(1585/2/14) 堺 「そう、それが最も難し事なのだ」  会合衆の議論は連日続き、白熱していった。  千宗易(利休)の提案に多くの者が興味を示す一方で、実現に向けての課題も浮き彫りになっていた。  山上宗二は腕を組...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第143話 『横瀬参号船渠と七ツ釜四号船渠並びに幕臣報告書』(1851/12/20) 

嘉永四年十一月二十八日(1851/12/20)   次郎は2号ドックが8月に完成した後、新たに予算を計上した。  ・横瀬村(横瀬浦)に3号ドック(長さ156.5m幅28.78m深さ8.4m工期4年)、七ツ釜村に4号ドック(長さ158.4m幅...
緊迫の極東と、より東へ

第492話 明への外交対策……別に、いらんよな?

元亀二年 十二月十二日 諫早城 「御屋形様、台湾総督の若林中務少輔様より使者がお越しになっています」 「総督の? わかった、通すが良い」  純正は以前台湾問題を閣議で話し合った事を思い出した。  永禄十一年の事件の際、台湾出兵と再度の入植の...
新たなる戦乱の幕開け

第406話 正確な時計とライフル銃と気球と石炭ガスにコークス①

元亀元年 六月のある日 諫早城 時計製作研究会  小佐々領内では、永禄五年(1562年)に南蛮船が横瀬に寄港してから、機械式時計の研究と開発が進められてきた。  最初に宣教師よりもたらされた時計には分針がなく、一日に半刻(1時間)以上のズレ...
新たなる戦乱の幕開け

第385話 1568年のポルトガルとフリントロック銃

遡ること一年、1568年8月 リスボン王宮  永禄十年(1567年)に派遣した第六回遣欧留学生の代表者が、ポルトガル国王セバスティアン一世に謁見した。  セバスティアン一世にとっては、日本人の留学生の使者に会うのは六回目であるが、滞在してい...
対島津戦略と台湾領有へ

第290話 ルイス・フロイス meets with 信長

永禄十二年 四月 京都 妙覚寺  数日前二条城の造営をしている現場を視察に行った際に、信長は布教をしている宣教師の一行に出会った。  それを見て信長は思い出した。  フロイスという宣教師が訪ねて来たら、話を聞いてほしいと小佐々純正から紹介さ...
北九州を二分する 二つの二虎競食の計

第160話 対信長外交団③

永禄十年 十一月 堺湊 鍋島直茂 「それはいったいどういう事でしょうか」  私は聞いた。 「はい、堺湊はご存知のように奈良平安の昔から、隋や唐への使臣派遣や貿易、国中の産物が行き交う湊として賑わってまいりました」  私と常陸介どのは真剣に聞...
北九州を二分する 二つの二虎競食の計

第159話 対信長外交団②

永禄十年 十一月 堺湊 鍋島直茂  堺湊についた。少しだけ、寒い。コタツが恋しくなる季節です。コタツは小佐々の名物ではないか。  なぜ商品化して売っていないのだろう? 冬場だけだからか? もっと北にいけばもっと売れる。間違いない……。  京...
北九州を二分する 二つの二虎競食の計

第158話 宗義調と吉岡長増

同年十一月 対馬 金石城 吉岡長増 「お初に御意をえまする。吉岡左衛門大夫長増にございます」。  目の前には対馬と壱岐七万石を治める宗讃岐守義調様がいる。今回は小佐々との関係を探り、離間の計が能うかどうか見極めにきたのだ。 「面をあげよ。吉...
北九州を二分する 二つの二虎競食の計

第155話 トーレスとマカオ市長とインド総督と

永禄十年 十月 小佐々城 小佐々弾正大弼純正  東南アジアとインド洋、そしてアフリカ東岸・西岸の航行の自由を確保するために、有力者のお墨付きが必要だ。  トーレスとは久しぶりに合う。以前は豊後府内を根拠地に布教をしていたが、今年の始めに居を...
5強まであと7,000石(現在36,824石)

第89話 龍造寺隆信と鍋島直茂

永禄七年 四月 佐賀龍造寺城 龍造寺隆信 「直茂よ、やっと落ちたの」 「はは」  肥前中野城に籠もっていた少弐政興を降したのだ。 「少弐め。滅んだのだから大人しくしておればいいものを、大友なんぞに担がれおって」  少弐政興は大友氏によって擁...
5強まであと7,000石(現在36,824石)

第82話 イエズス会と南蛮貿易

永禄六年 七月 小佐々城 小佐々弾正  千方が手の者を使って盗ませた、インドの管区長あての書簡(もちろん戻したが)にはこう書いてあった。  インド管区長様  その者、平戸の松浦を屈服させ、再び港として、使ってほしいと申しております。  ドン...
5強まであと7,000石(現在36,824石)

第81話 さて、どうする? 

さて、どうする?  某歴史ゲームなら、間違いなくセーブして一休みするか、じっくり今後の戦略を立てるところだ。  まず相神浦松浦あいこうのうらまつら家だが、爺様はまだ隠居しておらず、有馬からの養子、盛がいる。平戸の力を弱め、嫡男と次男は幽閉し...
横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に

第70話 阻止せよ! 横瀬浦上陸!② 

同刻 横瀬浦   ひゅうううううん、どがしゃああん。ひゅううううん、どすん。 「なんだ? なんの音だ!」  針尾伊賀守は乱戦のなか、兵卒に尋ねる。 「わかりませぬ。なにやらお城の方から聞こえてくるようですが……」 「何? 城から?」  伊賀...
横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に

第68話 阻止せよ!横瀬浦上陸!

「距離、ロクサンテンマル! (六十三町・約6,867メートル)」  測距員が叫ぶ。 「やはりか。まったく足りぬな。まだ時間がかかるか」  深作治郎兵衛兼続は、戦況を一変させる可能性はないかと淡い期待を寄せて、針尾城まで砲撃できぬかと考えたよ...
横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に

第67話 佐志方杢兵衛、造反す。 

■龍岩城 佐志方杢兵衛 「殿! ご覧ください!」  眼下には南風崎から上陸した松浦軍が、ウンカの如く小佐々砦を攻めているのがはっきり見える。 「殿! ここに至ってはお家の為に造反も止むなし! 我らも共に小佐々を攻めましょう!」  筆頭家老が...
横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に

第63話 死闘!葛ノ峠の戦い①

永禄六年二月 小佐々城 小佐々純勝 「申し上げます! 宮村城の大村純種様、ご謀反にございます!」 「なに?」  おそらく、単独ではない。背後に後藤か松浦が控えているのであろう。  いずれにしてもこちらも出なければ、南風崎はえのさきの砦があぶ...
横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に

第57話 キリストVS仏教 白熱?の彼杵問答

永禄五年 九月 沢森城 太田小平太  殿は戦を嫌われております。もちろん、某も嫌いにございます。  他国になめられない様に国力を高め、調略によって情報を集め盟を駆使し、なるべく他国に攻め入らなくても済む様に、とお考えです。  しかし、世はそ...
横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に

第55話 本当にあった奴隷貿易 姉上と、おれと、いもうと

同年 八月  沢森領は少しずつ豊かになっている。  石けん、鉛筆、塩、醤油、味噌など、コタツや布団など耐久品も含めた生活必需品が充実している。(もちろん、領内の城は簡易水洗にしているよ!)  なにより人口が増えた。  転生時の永禄四年四月に...
横瀬浦開港 敵が味方 味方が敵に

第51話 永禄遣欧使節団、渡海する。

同年 五月    ついに! ついに決まった! 横瀬浦開港! 史実より三ヶ月早い開港である。豊後から布教長トーレスが大友宗麟の書簡をもって横瀬浦へ到着。トーレス自身が書簡を持ってきた事が大きい。  やった! 薩摩に勝った! !  俺は不死身で...
二島五ヶ村の領主 無双≠生き延び スタート

第50話 横瀬港の整備と石原岳堡塁

豊後に忍ばせてあった石宗衆から報告があった。  大友宗麟が横瀬浦への誘致に前向きらしい。いいニュースだ! 石宗衆の報告は定期的に千方に集められ、俺に伝わる。  正式に抱えて以来、資金の援助は惜しんでいない。各大名の城下町はもちろん、京大阪は...
二島五ヶ村の領主 無双≠生き延び スタート

第49話 ルイス・アルメイダ IN 横瀬浦

永禄五年 四月末 横瀬浦  来た! きたきたきたきたきた! ! !  史実より、3ヶ月早い! 横瀬浦にルイス・デ・アルメイダが到着した。いわゆる下見? なんだろうか。で、文献通りその数日前から船も停泊している。  この時のために、できる限り...
二島五ヶ村の領主 無双≠生き延び スタート

第47話 後藤家嫡男の誕生と暗雲

「殿、至急お知らせしたき儀がございます」  なんだ? いい話か悪い話か? 「武雄後藤家、嫡男誕生の由にございます」 「なに?」    俺は声に出してしまったが、何かを心の中でぐっと押しつぶした。それは感情を押し殺すとかではない。歴史通りに動...
二島五ヶ村の領主 無双≠生き延び スタート

第41話 戦乱の足音 藤原千方の報告

「千方か、入れ」 「はは」  相手が千方だと無駄な話がない。性格が生真面目、ではなく、主従の関係がそうさせているのだろう。 「それで、どうであった?」  言葉少なに聞く。 「は、されば先日の曲者ですが、やはり針尾伊賀守の手の者に間違いござい...
二島五ヶ村の領主 無双≠生き延び スタート

第37話 民部大輔、大村純忠

永禄四年(1561年)九月 大村館 沢森政忠 「平九郎よ。おぬしの言った通りになったのう」。  八月、宮の前事件は、史実通りに起きた。本当は事件前に、準備万端で横瀬浦誘致を進める予定だったけど、仕方ない。 「は、また今回の件は、三年前の宣教...
二島五ヶ村の領主 無双≠生き延び スタート

第36話 針尾伊賀守の苛立ち

同年 七月  驚いた。まさか本当に、こんなに早く利益を出すとは。  最高級の椿油を五島から仕入れて作ったので、原価が十倍に跳ね上がった。しかし、売価も跳ね上がったので、利益も当然あがる。 (椿、栽培しよう♪多分ほぼ全国域で育つから問題ないは...
二島五ヶ村の領主 無双≠生き延び スタート

第30話 灰も油も絶対数が全く足りない。

足りない足りない足りない。まあああったく足りない。  現状で並行してやっている事といえば、陸路では中浦-多比良と横瀬-川内の関所の廃止。(EUみたいな感じ?)  商人の往来を増やすためだが、小佐々とは寄り親寄り子に近い存在。関銭はもともとな...
二島五ヶ村の領主 無双≠生き延び スタート

第29話 利三郎と忠右衛門

永禄四年(1561年) 五月 岳の城 沢森利三郎政直  どたどたどたどたどた!    忠右衛門と二人で主殿に向かう。なんでまた、いきなりなんだ? 「殿!」 「殿!」  主殿の下座には先日家督を相続したばかりのわが殿、平九郎様がいらっしゃった...
二島五ヶ村の領主 無双≠生き延び スタート

第27話 神!まじ神!!おばあちゃんの知恵袋

さて、さっきの四項目にいろいろと当てはめて考えてみよう。  一、重要で緊急性の高い仕事。  二、緊急ではないけれども重要度が高い仕事。  三、重要度は低いけれども緊急性が高い仕事。  四、重要度と緊急性が低い仕事。  この中で重要な事、それ...
歴史改変仕方ない。やること多すぎです。

第16話 水軍拠点の城下町、ビワと農産物の可能性

沢森城は角力|灘《なだ》が一望できる丘の頂上にあった。もともと海賊の|砦《とりで》のような役割からできた城を、改修増築して現在のかたちになったようだ。  馬に乗って坂道を下る。(初めてだけど乗れたぞ! 体が覚えているのかな)  これはもう、...
歴史改変仕方ない。やること多すぎです。

第15話 領主の決断 ~平戸の南蛮貿易と水軍の役割~

「どういう事だ?」  親父が聞いてきた。 「大村様は周りを敵に囲まれております。東の西郷は義理の兄弟で、島原の有馬様の陣営にありますが、いつ敵方になるかわからない状況です。武雄の後藤は大村様に敵対心を持っておりますし、北の諸勢力は日和見です...
歴史改変は悪だけど、死ぬのはいやです。

第11話 横瀬浦の秘密 ~ 歴史改変と南蛮貿易の舞台~

たった1年とはいえ、前世では戦国時代に南蛮貿易港として賑にぎわった横瀬浦。  確か史実では横瀬浦は大村領で、来年の永禄5年(1562年)、歴史の檜ひのき舞台に姿を現す。現世ではそれさえもかなわないのか?  横瀬が沢森領になったのは去年だけど...
歴史改変は悪だけど、死ぬのはいやです。

第10話 674石のしょぼ領主

親父と話をしに行く前に、いろいろと整理しておこう。    状況を分析し、最善の提案をして領内を豊かにしなくてはならないからだ。舐められないためには武力が必要。    しかしそのためには、鉄砲や弾薬、大砲はもちろん、人員も必要だ。戦のための食...
歴史改変は悪だけど、死ぬのはいやです。

第9話 転生した少年の覚悟―戦国時代での新たな使命と決意

「ちーちー、ちーち」  ん? なんだ?  とてとてとてとて。2歳児が近寄ってきた。甥の幸若丸だ。2歳くらいって、かわいいと思わない大人がいるんだろうか? (中身だけ) 「ちーち、ちーち、だあこ、だあこ」  ん? だっこしてほしいのか?  よ...
歴史改変は悪だけど、死ぬのはいやです。

第7話 転生者の目覚め―父との対話で明らかになる歴史の変遷

え? ええ? 今なんて? 横瀬浦がうちの領地? それやったらもう歴史変わってるやん! サワノモリ村の名前どころじゃないぞ! 「それはいったいどういう……?」 「どうもこうもあるか! !」  そう言って親父は、机をドン! と叩いた。   「生...
歴史改変は悪だけど、死ぬのはいやです。

第6話  未来人の言葉「父に伝えるべき重要な情報」とは?

翌日、父の部屋を訪れた。  なんて切り出そう? どう説明しよう? 結局昨日はあまり寝られなかった。 (実は僕、450年後の未来から転生した未来人で……)  あほか。怪我の後遺症だから、もうだめだ! と次男の弟に期待がかかるだけだ。 (父上、...
歴史改変は悪だけど、死ぬのはいやです。

第5話 戦国にて初の決断の時〜横瀬への南蛮船寄港計画〜

鋭い! 絶妙に鋭い! ベタすぎるくらい鋭い! ていうか、意味不明なこと書いてぶつぶつ言ってたら誰でも(どうした?)ってなるよね。  前世でも弟いたけど、どっちかって言うと無口で職人気質しょくにんかたぎだったから、新鮮っちゃ新鮮。……いやいや...
歴史改変は悪だけど、死ぬのはいやです。

第4話 宮の前事件と平戸の南蛮船〜永禄4年の謎に迫る〜

永禄4年4月 沢森城 自室にて   ※宮の前事件※  永禄四年(1561年)八月、長崎県平戸(以降平戸と記述)に停泊中の、ポルトガル船のフェルナン・デ・ソーザ船長と16名の乗組員が平戸港宮前で殺害された事件。  多分、商取引のトラブルが原因...
年表・統治機構

1566年~1570年(忘備録)

1566年(永禄九年) 1月 小佐々領 人口十二万人 石高 十八万三千七百五十二石 波多家 十四箇条の定めにより保護国化 2月 沢森家 第三子 吉法師誕生 第四子 愛姫誕生 3月 海軍伝習所 第一期生卒業 計百二十八名(松浦郡十六名・彼杵郡...
年表・統治機構

1561年~1565年(忘備録)

1561年(永禄四年) 4月  転生 蠣浦の海戦 5月 石けんの製造・販売開始 鉛筆の研究製造開始 綿花増産計画(同時にふとん製造) 硝石製造の研究開始 「ナタ目」法による椎茸試験栽培 同「種駒」式栽培研究開始 切り干し大根の生産製造・研究...
人物紹介

人物紹介②(12話~50話)

( )内は転生時、永禄4年(1561年)時点での数え年齢です。基本的に架空・史実の両方記載しますが、史実の人物の生没年、内容、記載の有無は筆者の任意なのでご了承ください。※は史実人物(本作ストーリー上内容修正あり) 沢森吉野(32) 沢森平...